DX推進で必要となる2つの視点
今回は「DX推進で必要となる2つの視点」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、DXで直面するカベを突破せよ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
DXに取り組んでいるものの、「思うような成果を挙げられていない」と感じるビジネスパーソンは少なくないのではないか。本連載では全9回にわたって、PwCコンサルティングが取り組んだ過去の事例を基に、DXを成功させるためのポイントを解説していく。紹介する事例はいずれも難易度の高い策を講じた訳ではなく、原点に立ち返り、基本に忠実に取り組んだものばかりである。例えば、利用者目線でサービスを再考することや、外部業者に委託していた作業を一部でも自社の社員で内製化することなどだ。明日から取り組める施策も少なくなく、視点ややり方を少し変えることで、現在直面している壁を突破できる可能性がある。本連載が読者の企業におけるDXを加速させるために、少しでもお役に立てば幸いである。
経済産業省が「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」を2018年に発表してから約5年半が経過したが、日本のDXは順調に進んでいるのであろうか。2023年11月末にスイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表した「世界デジタル競争力ランキング2023」によると、日本は64カ国中32位となり、調査が開始された2017年以降で最低の順位に沈んでしまった。調査結果を詳細に見ると、指標の1つである「企業の俊敏性(Agility of companies)」と「ビッグデータとアナリティクスの活用(Use of big data and analytics)」は、残念ながら最下位の64位という結果であった。
IMDの調査は行政サービスやブローバンドの普及状況なども含めた国レベルの評価である。これに対し、企業レベルの取り組みに焦点を絞っているPwCの「2023年DX意識調査―ITモダナイゼーション編―」の調査結果においては、明るい兆しが見えた。
同調査では、ITの俊敏性や弾力性の向上に寄与するとみられる「アジャイル開発手法の展開状況」「パブリッククラウドの活用状況」「マイクロサービス、コンテナー、サーバーレスなどのクラウドネイティブ技術の活用状況」に着目し、3つを全面的に採用している組織を「先進」、一部本番で活用している組織を「準先進」、これらに該当しない組織を「その他」と定義して、調査・分析を行った。
その結果、「先進」と認定された企業は前回調査と比べて1ポイント増の8%にとどまったものの、「準先進」は24ポイント増の53%と大幅に増加したのだ。日本でもITモダナイゼーションが本格的に動き始めたことを確認できたと言えよう(図1)。
ここでいう「ITモダナイゼーション」について、PwCは「ITシステムの構造を変革することに加えて、企業における組織やプロセス、人材なども視野に入れ、あるべき姿を包括的に模索する抜本的な変革」と定義している。今回「準先進」が躍進した要因としては、アジャイル開発手法の適用(アジャイル化)が27ポイント、クラウドネイティブ技術の活用(クラウドネイティブ化)を進める企業が29ポイントと、大幅に増加したことが挙げられる。時代とともにアジャイル開発への関心が高まり、多くの企業で本格的な活用が始まった模様だ。