ITコンサルに委託する業務の30%はAIで行えるように–ガートナージャパンが見解
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ガートナージャパンは2月14日、現在ITコンサルティングベンダーへ委託している業務の30%は2029年までにAIで行えるようになるとの見解を示した。
バイス プレジデント アナリストの海老名剛氏は、「市場競争で優位に立つためにデジタルビジネスの実現を経営層が強く意識する中、企業において、テクノロジーやITサービスの活用を中心的な立場で支えるソーシング/調達/ベンダー管理のリーダーに寄せる期待は非常に大きくなっている」とする一方で、「昨今は生成AIをはじめとする『破壊的』テクノロジーの台頭もあり、内外製の判断や調達方法の見極め、またベンダー選定はもちろん、コストや品質管理の難易度も高まっている」と指摘する。
2021~2023年にかけて、国内コンサルティングベンダーの人員数や売り上げは急拡大した。しかしながら、「人月単価に見合う成果が得られない」「成果を測定できない」など、コンサルタントの「質」を疑問視する企業の声も強まりつつあるという。デジタルビジネスの立ち上げは、コンサルティングサービスを利用する大きな目的の一つだが、新ビジネスの立ち上げはコンサルタントに過度に依存せず、自社主導で行うべきとする企業の意向も強くなっている。
既存ビジネスの変革も、企業がコンサルティングサービスを利用する大きな目的となっている。Gartnerが2023年11月に実施した国内調査では、新ビジネスの立ち上げに取り組む企業の41.4%がコンサルティングサービスを利用している一方、既存ビジネスの改善に取り組む企業の37.7%も同様にコンサルティングサービスを利用していることが分かった。
「既存ビジネスを対象とするコンサルティングでは、既存プロセスの棚卸し整理といった比較的単純な作業の工数が委託作業全体の3分の1以上になる契約が珍しくない」と海老名氏。
企業のAI利用は進展しており、特に2023年以降は生成AIも視野に入れた利用が活性化している。顧客対応や品質管理など既存プロセスの問題点の洗い出しや改善提案を、AIから得ようとする試みも見られるようになっている。情報整理や理想像とのギャップ分析といった作業でのAI活用は加速し、今後5年のうちにはその大部分がAIに置き換わると同社は見ている。
その上で、コンサルティングサービスには、これまでなかった新たなアイデアやインサイトの提供など、より高度な価値が改めて問われるようになる、とガートナージャパンは指摘する。
「現在コンサルティングベンダーへ委託される作業のうち、比較的単純なものがAIで行われるようになったとしても、社内のみでは発想が難しいアイデアを得たり、新たなビジネスを立ち上げたりすることを支援するコンサルティングへの需要は継続するだろう。今後、AIをビジネスへ取り入れる能力や、コンサルティングベンダーへの委託を適正に行う能力が、企業の市場競争力をますます左右するようになる。十分な能力が確保できない企業は、効果が得られないままAIやコンサルティングサービスに多額のIT予算を費やし競争優位を失う可能性がある」(海老名氏)