企業幹部が語る、データサイエンティストに求められる4つの条件

今回は「企業幹部が語る、データサイエンティストに求められる4つの条件」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 データサイエンティストは、「21世紀で最もセクシーな仕事」とHarvard Business Reviewに評されるほどの需要を誇る。

 人工知能(AI)と機械学習(ML)の時代には、企業によるデータの収集、分析、解釈を手助けできる人材は非常に需要が高く、米労働統計局は、2032年までにデータサイエンティストの雇用が2022年比で35%増加すると予想する。

 では、データサイエンティストとして成功したければ、どのような分野に注力すべきなのか?4人のビジネスリーダーが、どこに目を向けるべきかを語っている。

 Toyota Motor Europeでデータおよびアナリティクス戦略担当シニアマネージャーを務めるThierry Martin氏によると、次世代のデータサイエンティストとして成功するための重要な条件は、特にAIやMLなどの新興技術に対する好奇心だという。

 「常に新しい技術を試すことが求められる。仕事に生成AIを活用することを躊躇してはならない。今は、AIモデルに『これこれを実行するコードを書いて』と言えば、コードを書くことができる。だから、心をオープンにして、テクノロジーを受け入れてほしい。それが重要だと思う」(Martin氏)

 Martin氏は、自分は典型的な最高データ責任者(CDO)ではないと話す。リーダーシップの問題に注力するだけでなく、いまだに自らコードを触っているからだ。そして、これからのデータ人材にも同じようにすることをアドバイスしている。

 「抜きんでたければ、自分が何をやっているのか理解し、技術で遊んでみることが大切だ。それをやっているおかげで私は、数学やデータサイエンスの分野を強みにできている。統計の知識があり、自分でモデルを構築できる」(Martin氏)

 Martin氏によると、データ専門職は、あらゆるテクノロジー分野で仕事をする可能性が高いという。例えば、アーキテクチャー、ガバナンス、データウェアハウス、MLモデル、それにAI搭載チャットボットといった分野だ。そして若い人材がデータの仕事を目指すなら、テクノロジードリブンでなくてはならない。

 さらに同氏は、次世代のデータサイエンティストを目指す人々に対し、自分たちの直面する課題に楽しみながら取り組むことを求めている。「できるだけプロトタイプを作ろう。そして、人とコミュニケーションを取ろう。自分の熱意と知識を、他の人たちに伝えなければならない」

 コンサルティング会社のCarruthers and Jacksonで最高経営責任者(CEO)を務めるCaroline Carruthers氏も、データサイエンティストには、技術的スキルと対人スキルの両方が求められると話す。

 同氏は、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の「STEM」ばかりを重視する姿勢から、そこに芸術(Art)を加えた「STEAM」重視に転換する企業が増え、それにより、データ専門職が技術的能力を補完するソフトスキルを身につけることを切望している。

 英国のインフラ企業Network Railで最高データ責任者(CDO)を務めた経験もあるCarruthers氏によると、最近のデータサイエンティストの職務記述書は、感情的知性を用いてビジネス環境を理解する能力を大幅に重視するようになっているという。

 同氏の会社が先ごろ公開した調査報告「Data Maturity Index 2023」では、データリーダーの3分の2近く(61%)が、所属組織の従業員の多くはデータリテラシーを有していないと回答している。「私の言うデータリテラシースキルとは、組織に属する全員が情報を使いこなせる状態を指す」と同氏は述べている。

 Bentley MotorsでCDOを務めるAndy Moore氏によれば、次世代のデータサイエンティストとしての成功は、結局のところ1つの重要な要素に行き着く可能性が高いという。それは、人間力だ。

 「数学の専門的知識については、一定の学力が必要になるため重要だと言える。しかし、私が思うに、それより重要なのは、特に採用に関して言えば、バランスの取れた人材を探し出すことだ」と、同氏は話す。「成績がオールAの学生は素晴らしいが、その学生が必ずしも最適とは限らない。なぜなら、自分の時間を管理し、ビジネスに関与し、社内の利害関係者のもとに出向いて話をすることも必要だからだ」

 可視化やユーザー体験の設計といった特定のタスクでは、データ専門家であっても数字の世界から踏み出し、他の部署の同僚たちと緊密に連携することが求められる。Moore氏は2023年、米ZDNETの取材に対して、次世代のデジタル人材を引きつけるために実施している実習生プログラムについて語っていたが、この取り組みの鍵となっているのも人間力だった。

 人材紹介会社のNash SquaredでCEOを務めるBev White氏も、若いデータ専門家向けの実習生プログラムの効果を認めているビジネスリーダーの1人だ。

 Nash Squaredは、英国政府の教育省と連携して、新しいサイバーセキュリティ認定資格を開発した。White氏は、座学と実地学習を通じて習得できる「T Level」と呼ばれるこの資格によって、デジタル分野やデータ分野のキャリアを検討する若者が増えることを期待している。

 「私は実習制度を大いに支持している」と同氏は述べる。「これらの機会は、若い人たちがIT業界に入り、自分に合った道を見つけるための素晴らしい方法だ」

 ただし、キャリアのスタート時点から次世代のデータサイエンティストになろうと決める必要はないと認識しておくことも重要だと、White氏は指摘した。

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