「テストフェーズをなくす」–テスト自動化のオーティファイが掲げる目標
今回は「「テストフェーズをなくす」–テスト自動化のオーティファイが掲げる目標」についてご紹介します。
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「目標はテストフェーズをなくすこと」――。ソフトウェアテストの自動化プラットフォームを展開するオーティファイで代表取締役CEO(最高経営責任者)を務める近澤良氏はこんな興味深い発言をする。テスト作業を専門にするIT企業が存在するなど、その重要性は高まっている。しかし、テスト工程の自動化は期待通りに進んでいない。そこに、大きなビジネスチャンスを見いだそうとするスタートアップが現れた。
近澤氏は日本とシンガポール、米国の3カ国で約10年間、ソフトウェアエンジニアとしてウェブアプリの開発などに携わってきた。その経験を基に、オーティファイの前身となるIT企業を創業し、翻訳支援ツールの開発を始めた。だが、その事業は「あまりうまくいかなかった」(同氏)といい、その後は2年間にわたってどんなビジネスが良いかを模索する中、再び転機が訪れた。2018年夏に米国・シリコンバレー有数のアクセラレーターである、Alchemist Acceleratorに入れたことだ。
ここで近澤氏は、資金調達などをはじめ、新規事業の立ち上げと成功までの方法論を学んだ。特に、顧客との会話から共通課題やバーニングニーズ(今すぐに対処が必要な課題)を見つけ出せという教えを大事にし、ソフトウェアテストの自動化に着目した。「ソフトウェアテストはしんどい作業」というのは万国共通の認識であり、「できればなくしたい」と考えるエンジニアらが多くいた。つまり、ニーズが極めて高いということだ。しかも、近澤氏の試算によると、IT予算の3分の1を占めると言われているソフトウェアテストは、世界で約130兆円という巨大な市場規模になる。
近澤氏は、日米の企業に聞き取りをしていく中で、2つの課題を解決できれば、ビジネスの機会があると分かってきた。1つは、非エンジニアでもテストのシナリオを作成できること。もう1つは、作成したテストシナリオを保守しながら使い続けられること。アジャイル開発の推進によってそうした機能が強く求められているという。
そこで、テスト自動化ツールの開発に取り組むとともに、テスト自動化を阻む喫緊の課題(バーニングニーズ)を探し出し、ベータ版を公開することによってツールの改善・改良を繰り返してきた。そして、2019年10月に「Autify」を正式リリースした。これは、ノーコードと簡単な操作だけでウェブアプリのテストシナリオを作成できる。ウェブアプリの画面構成などに変更があっても、人工知能(AI)がユーザーインターフェース(UI)の変更を監視し、テストシナリオを自動的にアップデートする仕組みになっている。モバイルアプリにも対応するなど自動化ツールの適用範囲を広げてきた。2021年10月には、シリーズAラウンドで1000万ドル(約11億円)の資金を調達した。
Yahoo! JAPAN、出前館、ZOZOテクノロジーズ、NTTスマートコネクトなど、国内企業を中心にユーザーが着実に増えている。特に社内にITエンジニアを確保し、システムの内製化を推進するユーザーが多く、IT企業の利用は少ないという。「アウトバンド営業をしていないので、(既存顧客からの)引き合いで拡大している」(近澤氏)
一方、本社を置く米国での市場開拓はこれからで、国内とは異なる販売戦略を練る。例えば、ユーザーがサービスサイトに直接訪問し、Autifyを試しに使って気に入ったら購入してもらうパターンだ。北米にはセールスとマーケティングを6人配置する。