「日本でのERPクラウド率」をSAPジャパン社長が明言
今回は「「日本でのERPクラウド率」をSAPジャパン社長が明言」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、SAPジャパン 代表取締役社長の鈴木洋史氏と、KPMGコンサルティング 執行役員 パートナーの足立桂輔氏の「明言」を紹介する。
SAPジャパンは先頃、2024年の事業戦略について記者説明会を開いた。鈴木氏の冒頭の発言はその会見の質疑応答で、既存のオンプレミスの統合基幹業務システム(ERP)ユーザーにおいてどれくらいの割合がクラウド移行に動き出しているのかを聞いた筆者の質問に、「割合は明示できないが実感として」と前置きした上で「半数以上」と答えたものである。
「2023年も好調なクラウド事業の勢いを継続することができた。ERPもクラウドが当たり前の選択肢になってきた」
鈴木氏は会見の冒頭で表1を示しながら、こう力説した。
会見の内容は関連記事をご覧いただくとして、ここでは「ERPのクラウド率」をめぐる会見でのやり取りを紹介したい。
エンタープライズIT市場ではデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みとして、既存の基幹システムの刷新が大きな課題となっている。中でもこれまでオンプレミスで使われてきたERPのクラウド移行が注目されているが、その実態は不透明だ。果たして、日本企業のERPクラウド率は今、どれくらいの割合なのか。
そこで、筆者は会見の質疑応答で「SAP ERPユーザーの日本でのクラウド率」を聞いてみた。その答えとして返ってきたのが、冒頭の発言である。ちなみに、鈴木氏によると「2023年の新規および既存のお客さまの更改を合わせて9割以上がクラウド版をご採用いただいた」とのこと。クラウド移行への勢いがついていることから「当たり前の選択肢」との発言も飛び出した。
それもさることながら、全体の半数以上が動き出したというのは、日本企業のERPのクラウド化に向けてこれまで動かなかった「大きな岩」が動き出したという印象だ。
実は、上記のやりとりには伏線がある。1年前の同社の事業戦略会見で、筆者は全く同じ質問をした。鈴木氏の回答は「数字については明示できないが、クラウド移行への勢いは加速している」とのことだった。そのやりとりについては、本サイトでの筆者のもう1つの連載「一言もの申す」の2023年2月22日掲載記事「ERP最大手のSAPに求めたい『ERPクラウド率推移の明示』」をご覧いただきたい。
ちょうど1年前のその記事の最後に、「筆者が知りたいのは『日本でのERPクラウドの普及度合い』だ。それを明らかにするためには、最も影響力の大きいSAPのERPクラウド率推移の情報が必要だ。これからその比率が増えていく中で、日本の企業、さらには社会にどんな変化が起こり得るのか。クラウド率はその軸となるものさしの1つだと考える。情報公開の仕方で知恵を絞れないか。ぜひ、検討していただきたい」との思いを記した。
鈴木氏がそうした1年前のやりとりを記憶にとどめていたかどうかは分からないが、1年越しの重要な発言に、日本企業が「2025年の崖」改め「2027年の崖」にも対応できる可能性を感じた次第である。