NECのCHROが語る「ジョブ型人材マネジメントの勘所」とは
今回は「NECのCHROが語る「ジョブ型人材マネジメントの勘所」とは」についてご紹介します。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、NEC 執行役 Corporate EVP 兼 CHROの堀川大介氏と、Google Cloud AI事業本部 執行役員 事業本部長の橋口剛氏の「明言」を紹介する。
NECは先頃、ESG(環境・社会・企業統治)関連の取り組みを説明する「ESG Day」をオンラインで開催した。冒頭の発言は、同社で最高人事責任者(CHRO)を務める堀川氏が「NECの人的資本経営」について説明した中で、ジョブ型人材マネジメントの目指す姿を述べたものである。
堀川氏によると、NECではジョブ型人材マネジメントの助走期間として2018年からさまざまな制度や仕組みを段階的に導入してきた。そして、いよいよ2024年4月から全社員に向けて本格的に導入する。図1に示したのが、その変遷である。
「当社にとってジョブ型はあくまでも手段。目的は、さまざまな変化に対応し、グローバルで展開するビジネスに勝ち続ける会社になることだ。そのために、会社としての『適時適所適材』と個人の『キャリア自律』を実現する。そして、会社と社員が、選び、選ばれる関係になる。それを深めていくことがエンゲージメント向上につながっていくと考えている」
堀川氏は図2を示しながら、こう話した。冒頭の発言は、このコメントから抜粋したものである。ジョブ型については、取り組みを進めていくうちにいつの間にか手段ではなく、目的になってしまっているケースが少なくないように見受けられる。
さらに、同氏はジョブ型人材マネジメントについて、NECサイト上のインタビュー記事で次のように述べている。
「組織にとっては、人材の柔軟な配置によって戦略の実行力を上げることができるのがジョブ型だ。社員から見れば、自身の強みや人生設計なども踏まえてキャリアを選ぶことができる。自ら考え、決め、行動し、挑戦する人が今まで以上に評価される時代になるのだ。もちろん、ジョブ型でも個人プレーに走ることだけが求められているわけではない。チームの成果への貢献が大事なのは、これまでの考え方と変わらない。2023年はワールド・ベースボール・クラシックやラグビーワールドカップなどの世界大会で盛り上がった。日本代表メンバーの出身地やキャリアが多様化する中、一人一人が自律的に動き、互いに個性を認め、生かし合いながらチームとして最高の結果を目指す。世界で結果を出すためのお手本が日本代表にはあった」
堀川氏は、1992年にNECへ入社し、営業として活動した後、2015年にパブリック企画本部長、2017年に社会基盤企画本部長、2020年に執行役員とともにNECマネジメントパートナーの代表取締役執行役員社長を歴任。2023年4月に現職に就いた。すなわち、人事部門の経験がないCHROというのが注目されるところだ。
同氏はESG Dayで次のようにも話している。
「会社としては、結果を出してくれた社員に対して感謝し、称賛する機会を増やしていきたい。NECに『褒める文化』を広げていくのも私の役目だ」
笑顔を絶やさない姿が印象的だ。それもご自身の信条なのではないかとお見受けした。取材の機会があれば、確かめてみたい。