デジタルサイネージ広告の勝機–看板ではなく「メディア」と捉える

今回は「デジタルサイネージ広告の勝機–看板ではなく「メディア」と捉える」についてご紹介します。

関連ワード (デジタルサイネージ広告の勝機、マーケティング等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 近年リテールメディアが注目されており、それを契機にデジタルサイネージ広告も盛り上がりを見せている。しかし、デジタルサイネージ広告はユーザー/広告主の2つの視点で戦略的にマネタイズをしなければ、長くは生き残れない厳しい市場である。モビリティーにおけるメディア事業などを運営するニューステクノロジー 代表取締役の三浦純揮氏が、デジタルサイネージ広告におけるノウハウを伝える(全4回の第3回)。

*****

 「デジタルサイネージディスプレイの設置は完了した。さあ稼働時間中、広告を最大限入れて売り上げを最大化するぞ!」

 そのように意気込む気持ちは、経営者として痛いほど分かります。しかし、広告営業に出かける前に冷静になって、次のような想像をしてみてください。

 上記のようなメディアはおそらく誰も見たいとは思わないでしょう。誰も見ないということは、広告を出しても効果はゼロ。当然、広告主からは見向きもされません。広告しか表示されないデジタルサイネージも全く同じです。

 ではなぜ、そのような思い違いをしてしまうのでしょうか。それはデジタルサイネージをメディアではなく、「デジタル看板」と捉えているからです。

 「デジタルサイネージ」を日本語に訳すと、「電子看板」や「電子掲示板」となります。電子看板だと考えれば、常時広告を表示したくなるのは自然な流れです。しかし、デジタルサイネージで広告収入を最大化したいなら、電子看板ではなく、テレビや雑誌、ウェブメディアと同様にメディアとして捉える必要があります。

 メディアであるなら、まず考えるべきは広告ではなく、ユーザーに見てもらうためのコンテンツです。コンテンツの質が上がれば、より多くのユーザーの興味・関心を引くことができます。インプレッションが向上した結果、メディア自体の価値や広告媒体としての価値が上がり、広告収入を最大化できるでしょう。

 デジタルサイネージをメディアとして社内外に認識してもらうために私が第一に取り組むのは、メディアの方向性やビジョンを反映した「ネーミング」です。命名はブランディングの第一歩です。

 当社のタクシーサイネージメディアは、メディアを通じて広告主の事業成長を後押ししたいという思いを込めて「GROWTH(成長)」と命名しました。喫煙所サイネージメディア「BREAK(休憩)」には、喫煙者の方々がほっと一息つく時間に寄り添うメディアであると伝えたいという意図があります。

 メディア名が持つ役割は、広告主と視聴ユーザーに対するコミットメントでもあります。デジタルサイネージは、一般的には単なる広告面に捉えられてしまうケースが多いので、メディアとして想起してもらうための工夫が必要です。広告主やユーザーに提供できる価値やどのようなメディアでありたいのかを訴求し、各ステークホルダーにメディアとして認識してもらうために、ブランディングを意識したネーミングは重要なステップです。

 独自の造語ではなく一般名詞をメディア名にしているのは、コンセプトをイメージしやすく、覚えやすくするためです。従業員や関わる全ての人々がメディア名に込めた思いを理解し、同じ目的に向かって行動することが、メディアの長期的なブランディング強化には必要です。

 サイネージメディアのブランディングのために、私がもう一つ大事だと考えることは「信頼感」です。当社のサイネージメディアは、サービスサイトと媒体資料の制作に力を入れています。

 内容はもちろん、デザインにも最大限こだわっています。媒体スペックや広告出稿に際する審査基準など、必要な情報をも掲載するだけでなく、情報を見やすく、理解しやすく、伝わりやすくレイアウトする必要があり、デザインの美しさも求められます。

 広告主や広告代理店の担当者は、必ずサービスサイトや媒体資料に目を通します。媒体資料は、ただの広告面ではない、優れたメディアであることを印象付ける重要なツールです。「媒体資料は情報と価格が載っていれば十分」と考える方もいるかと思いますが、サービスサイトと媒体資料のデザインの美しさは、広告主の信頼を獲得し、メディアのブランド価値向上に大きく影響すると考えています。

COMMENTS


Recommended

TITLE
CATEGORY
DATE
累計ユーザー数30万人超のポイント投資「STOCK POINT」が三菱UFJ銀行をスポンサーに迎え新サービス開発に着手
フィンテック
2021-07-03 08:34
ヴイエムウェア、「VMware vSphere+」と「VMware VSAN+」を発表
IT関連
2022-06-30 09:30
セッションCookie窃取に対抗する新機能解説–Okta Japan
IT関連
2024-06-29 23:25
露、Twitterの通信速度を制限 有害情報の削除に応じないとして
IT関連
2021-03-12 12:16
「ContractS CLM」、契約書の承認に関する通知を「Slack」で受信可能に
IT関連
2022-09-06 03:59
ガン治療の改良からミツバチの保護、髪に似た植物由来の繊維までIndieBio最新クラスの参加企業を紹介
バイオテック
2021-03-19 23:36
ゆうちょ銀行、全国233店舗で「LINE WORKS」運用–顧客接点を強化
IT関連
2022-07-10 21:40
悲哀に満ちたガンダムのスノードーム発売 「ザク」の散り際、大破した「百式」再現
くらテク
2021-07-28 06:22
NECと東工大、博士後期課程学生の研究活動を支援–キャリア面と経済面をサポート
IT関連
2023-01-13 09:26
「DeepSeekショック」で世界を揺るがす中国AI産業–その実力と弱点とは
IT関連
2025-02-28 20:20
「オラクル史上最大」の変化は製品からサービスへの移行
IT関連
2021-08-12 03:16
Amazon Prime VideoがWebAssemblyを採用/WebAssembly製のx86仮想マシンが登場/Flutter for Windowsが正式版にほか。2022年2月の人気記事
編集後記
2022-03-04 11:02
ソニー「WF-1000XM4」供給に遅れ 「需要に十分応えられない」
くらテク
2021-06-23 17:02
アマゾンがFTCの新委員長と独占禁止強硬派のリナ・カーン氏の辞任を求める嘆願書を提出
ネットサービス
2021-07-02 04:42