東証と富士通、株式売買システムを「arrowhead4.0」に刷新–取引の利便性とレジリエンス強化

今回は「東証と富士通、株式売買システムを「arrowhead4.0」に刷新–取引の利便性とレジリエンス強化」についてご紹介します。

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 東京証券取引所(東証)と富士通は、東証の株式売買システムを「arrowhead4.0」に刷新し、11月5日から運用を開始している。これにより、2010年から稼働している「arrowhead」は第4世代となる。

 今回のシステム更新では、取引の利便性を高めるために、幾つかの新しい機能が導入された。具体的には、取引終了時に終値を決定する「クロージング・オークション」の導入、注文ごとに相場情報を提供する新サービスの開始、そして機関投資家などが一括で注文を取り消せる機能が追加された。

 投資家の取引機会を拡大し、市場としての利便性を向上させるため、東証の取引終了時刻が5時00分から15時30分に30分延伸された。メモリー上に配置した取引情報を三重化して複数サーバーで並行動作させることにより、障害時における秒オーダーでのサーバー切り替えやデータの保全性を確保し、レジリエンス(障害回復力)を強化した。

 富士通グループは、高信頼・高性能サーバーと新たな高信頼化・高速化技術を組み入れたミドルウェアなどの最新製品を用いて、システムの信頼性と処理性能を向上させた。これまでのarrowheadプロジェクトで取り組んできた高品質なシステム開発プロセスを土台とし、さらなる信頼性・安定性の強化とレジリエンスの向上を実現したとしている。

 具体的な取り組みとしては、超高速インメモリーデータ管理ソフトウェア「Fujitsu Software Primesoft Server」を用いて、メモリー上に取引情報を配置することでマイクロ秒レベルの超高速データアクセスと高いレスポンス性能を確保し、システムの再立ち上げを伴う障害回復時間を短縮した。また、arrowhead4.0が提供するサービスの正常性を可視化する監視画面も構築した。

 次に、富士通グループのx86サーバー「PRIMERGY RX2540 M6」を462台導入することで、システム性能の向上と耐性強化を図った。また、東証などを運営する日本取引所グループのクラウド基盤上に、システムログデータの蓄積・分析業務領域を取引機能と分離して構築した。これにより、市場運営の信頼性を向上させるとともに、より柔軟な市場データの分析を可能にした。

 東証と富士通は、市場環境の変化や多様化する投資家のニーズに対応しながら、市場利用者の利便性を向上させ、東京市場の国際競争力と回復力を強化する。また、安全で安心な市場取引を実現することで、今後も市場のさらなる発展に努めていくとしている。

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