刺激的なドラマに満ちた2024年のテクノロジー業界を振り返る–勝者と敗者を総括

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 2024年は、テクノロジーファンの求めるドラマがすべて実現した年だった。具体的には、話題をさらった人工知能(AI)、チップ戦争、決してスマートではなかったスマートデバイス、SNSの内部崩壊(すでに誤った企業経営の研究事例となっている)などがあった。本記事では、記念碑的な勝利から驚くべき失敗まで、2024年のテクノロジー業界における明確な勝者と敗者を紹介する。

 Elon Musk氏は2024年を通して、Xを物笑いの種に変えた混乱をさらに悪化させた。不可解なポリシー変更を受けて、広告主は逃げ出した。認証マークは意味のないものになり、ユーザーはこぞって「Bluesky」や「Mastodon」に移行した。エンゲージメントは急激に低下し、かつて文化的な拠点だったこのSNSは、今や自分自身のミームに成り下がってしまった。Musk氏は今でもXを「町の広場」と呼ぶかもしれないが、2024年のXはむしろ地元のゴミ捨て場のようだった。

 Amazonが週5日のオフィス勤務を義務づけると発表したことで、従業員は疎外感を抱き、「静かな解雇」だという批判が巻き起こった。そして、多くの優秀な人材が同社を去った。オフィスの近くに引っ越せない(または引っ越したくない)従業員は強制的に排除され、長年培ってきた専門知識とイノベーションも失われた。効率にこだわる企業にとって、これはロボットを巨大なハンマーで叩き潰すのに等しい人事だった。静かな退職というよりも騒々しい経営の不手際だった。

 TeslaのCybertruckは、2024年にようやく公道を走り始めたが、すぐに溝に落ちてしまった。欠陥のあるインバーター、正常に機能しないカメラ、霧雨もうまく拭き取れないワイパーなどが原因でリコールされ、笑いものになった。Cybertruckの再販価格は暴落した。賛否両論のデザインは、今見ても、失敗した幾何学の課題のように感じる。走行していると人々の注目を集めるのは事実だが、それは、このようなトラックが作られたことが信じられないからだ。

 AppleのVision Proは、デモで人々を驚かせ、圧倒的なスペックを備えていたが、実際に使ってみると、現時点では何の役に立つのか分からないデバイスだった。3500ドルのVision Proは、ゲームチェンジャーというよりは好奇心の対象であり、価格に見合うキラーアプリもなかった。Appleファンは恍惚(こうこつ)としていたが、ほとんどの消費者は肩をすくめた。驚異的なテクノロジーであることは事実だが、必須のデバイスでは決してない。

 2024年、Intelの存在感はますます薄れていった。同社の「AI PC」はほとんど話題にならず、第13世代および第14世代「Core」プロセッサー(2023年のチップの再パッケージ版)は消費者に強い印象を与えることができなかった。一方、Appleの「M4」やQualcommの「Snapdragon X Elite」といったArmベースのチップは、パフォーマンスと効率の新しいベンチマークを打ち立てた。Intelはかつて先頭を走っていたが、今ではライバルに引き離されて、雲に向かって叫んでいる。

 CrowdStrikeの仕事は、システムを安全に保つことだけだった。しかし、同社は不具合のあるソフトウェアアップデートを配信して、世界的なIT障害を引き起こし、何百万台もの「Windows」デバイスに影響を与えた。同社の評判は大きく損なわれた。CrowdStrikeは信頼の上に成り立つ企業であるため、この大失態を受けて、顧客は自らの投資を考え直すようになった。同社は、サイバーセキュリティ業界の巨大企業というよりもむしろサイバーセキュリティの頭痛の種だ。

 「rabbit r1」とHumaneの「Ai Pin」は、「スマート化」できるものがあるからといって、それを実行に移すべきだとは限らない、ということを証明した。rabbit r1は扱いにくく、実用的ではなかったため、ゴミ箱に捨てられる運命にあった。一方、HumaneのAi Pinは、本体の過熱や機能の不足といった問題があった上に、非常に高価だった。AIウェアラブルはイノベーションを約束したが、存在感を発揮することはできなかった。

 Sonosは、バグを含むアプリアップデートでユーザーをいら立たせ、ハードウェアの発売を延期したことで、さらに低迷した。アップデートのリリースに対する従業員の警告は無視され、3000万ドルの大失態、株価の25%下落、レイオフにつながった。高音質の代名詞である同社にとって、2024年の業績は耳を塞ぎたくなるものだった。

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