「AIエージェント」はどう進化していくか–セールスフォースの予測から考察する
今回は「「AIエージェント」はどう進化していくか–セールスフォースの予測から考察する」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、松岡功の一言もの申す等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
人に代わってさまざまな作業をこなすということで注目を集めている「AIエージェント」について、今後の進展を予測したレポートをSalesforceが発表し、日本法人のセールスフォース・ジャパンが先頃、その抄訳を公開した。非常に興味深い内容なので、紹介するとともに筆者なりに考察したい。
予測は、次の4つからなる。
1つ目は、「AIエージェント同士の連携が進む」ことだ。レポートでは以下のように説明している。
「2025年には、マルチAIエージェントシステムが中心的な役割を果たすようになるだろう。これまでのセールスやサービスなど単一のAIエージェントアプリケーションを超え、セールスキャンペーンやマーケティングキャンペーンの構築といった複数のビジネス分野をまたぐ高難度な課題に取り組む時代が訪れる。シンプルな機能の生成AIとは異なり、マルチAIエージェントシステムは相互に連携し、適応し、実行することで、信頼性とスケールを備えた複雑な課題の解決を企業にもたらす」
企業の利用形態でいうと、生成AIが個人の業務タスクを効率化するのに対し、AIエージェントは組織の業務プロセスを効率化、さらには自動化すると考えると分かりやすい。しかもAIエージェントはそれを自律的に行うことができるのがミソだ。そして、それがマルチAIエージェントになると、幅広い業務、さらには企業の業務全体に適用できる可能性がある。それによって、人手不足に対応できるとともに、人間は人間にしかできない仕事に一段と多くの時間を費やせるようになるわけだ。
ただ、それがマルチベンダーのAIエージェントの利用環境になった時に、利用状況やデータの管理・活用、システムの運用などにおいて適切なマネジメントができるのか。今後、多くのユーザー企業がマルチベンダー環境になっていくとみられる中で、そのマネジメントが最も大きな懸念ではないかというのが、筆者の見方であり、警鐘だ。
2つ目は、「AIエージェントを統括する“チーフ・オブ・AIエージェント”が登場する」ことだ。レポートでは以下のように説明している。
「AIエージェントが他のAIエージェントと協働を始めるには、AI労働力が制御不能になるのを防ぐAIエージェント・オーケストレーションの仕組みが必要だ。そのため、他のAIエージェントを管理し、人がAIシステムの複雑なネットワークを確実に制御できるように支援するチーフ・オブ・スタッフとしてのAIエージェントが登場する」
この予測で最も重要なポイントは、「人がAIシステムの複雑なネットワークを確実に制御できるように支援するチーフ・オブ・スタッフとしてのAIエージェント」という点だ。「AIエージェント・オーケストレーション」もよく耳にする言葉で、AIエージェント活用の相乗効果を想起させるが、これも説明文の前置きにあるように「AI労働力が制御不能になるのを防ぐ」ことが一番の目的だ。
また、「チーフ・オブ・AIエージェント」は誰(人間)にレポートするのか。各チームの長、各業務部門の長が最終的なレポート先になるだろうが、そうした上長の負担を軽減するために企業として「チーフ・AI・オフィサー」(CAIO)を置き、その下でチーフ・オブ・AIエージェントとやりとりするCoE(Center of Excellence)のような横断組織を設けるのも一策だろう。