NECの2024年度第3四半期決算は大幅増益、「BluStellar」ビジネスがけん引役に
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NECは1月30日、2024年度第3四半期累計(2024年4~12月)の連結業績を発表した。売上収益は前年同期比3.0%減の2兆3218億円と減収だったが、日本航空電子工業の非連結化の影響を除いて同4.5%増の実質的な増収という結果だった。また、調整後営業利益は同54.9%増の1502億円、Non-GAAP営業利益は63.3%増の1623億円、Non-GAAP当期利益は98.3%増の1083億円と、いずれも大幅な増益を達成した。
業績を説明した取締役 代表執行役 Corporate EVP 兼 CFOの藤川修氏は、「国内ITサービスと『ANS(Aerospace and National Security)』を中心に大幅な改善となった」と総括。さらに、「『BluStellar』が順調に推移し、第3四半期時点で調整後営業利益の年間目標を達成した」と語った。
藤川氏が指摘するように、今回の好調な決算の中で注目されるのがBluStellarの躍進だ。BluStellarは、2024年5月にNECが発表した新たな価値創造モデルであり、従来は「NEC Digital Platform」と呼んでいた「BluStellar商材」と、アビームコンサルティングなどによる「コンサルティング起点ビジネス」で構成。2025年度を目標とする現在の中期経営計画達成に向けたキードライバーと位置付けている。
藤川氏は、「BluStellarの2024年度の年間売上収益計画は過達となる見込みだ。第3四半期累計では、国内ITサービス事業の売上収益のうち約3分の1をBluStellarが占めている」と述べ、まさに成長のキードライバーとしての役割を果たしていることを裏付ける。
BluStellarの2024年度の売上収益目標は4265億円で、今回の発表から逆算すれば、第3四半期までに3700億円規模の水準にまで達していると見られる。年間計画の達成は完全な射程距離といっていい。
NECは、2025年度に国内ITサービスの売上収益のうち25%をBluStellarが占める計画を掲げていた。その1年前倒しとなる2024年度第3四半期時点で、これを大きく上回る実績を達成していることになる。ただし同社の場合、大型案件の売り上げなどが第4四半期に計上される下期偏重型の経営モデルのため、第4四半期が締まってからでないと、通期でBluStellarの売上構成比がどの程度になるのかは分からない。とはいえ、2024年度第3四半期時点で3分の1の構成比を占める水準にまで達していることは、BluStellarが想定以上の好調ぶりであることは明らかだ。
また、BluStellarが国内ITサービス全体の利益率向上にも貢献している。BluStellarの利益率は前年同期比で2~3%改善。目標に対しても1%強上回っているといい、利益率の改善も計画値を超えている。
先述したように藤川氏は、BluStellarが2024年度第3四半期時点で調整後営業利益目標の337億円を達成していることを明らかにした。ここでも3分の1以上の構成比となっていることが逆算から分かる。
利益率の改善では、製品ポートフォリオの見直しで、低収益の製品やサービスを削減したほか、価値提供ベースで価格設定を行うバリュープライシングによる成果、成功事例を基に経営アジェンダに対するゴールを想定しサービスを提供する「シナリオ」による提供モデルへの変更などが効果につながっているという。これらが国内ITサービス全体の利益率を引き上げることにつながった。
藤川氏によると、BluStellarは自治体標準化の需要を取り込み、「ガバメントクラウド」運用支援サービスの受注が堅調であるほか、自社活用事例をモデル化したコンサルティング起点でのセキュリティ運用ダッシュボートの提供、データドリブン経営実現シナリオの受注が拡大しているという。2024年11月には、高度な専門業務を自動化するAIエージェントを発表しており、複数業種の顧客と実証準備を開始。新技術を活用した提案にも余念がない。
既にBluStellarは、NECの成長エンジンとして重要な役割を担っている。同社は、2024年度のBluStellarの売上収益で前年度比13.5%増の4265億円を設定。これが、2025年度のBluStellarの計画を立案する際の“発射台”の位置になると想定された。だが、2024年度第3四半期までの9カ月間の売上収益は前年同期比26%増の実績であり、この調子ならより高い位置に“発射台”が修正されるだろう。