「サステナブルでなければ収益を高められない」–Lenovoのサステナビリティー担当に聞く取り組み

今回は「「サステナブルでなければ収益を高められない」–Lenovoのサステナビリティー担当に聞く取り組み」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、カーボンニュートラル(脱炭素)等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 サステナビリティー(持続可能性)への取り組みをどのベンダーも強調する中、Lenovoは、2009年に初のESG(環境・社会・統制)レポート、2010年には二酸化炭素(CO2)削減に向けた具体的目標を掲げるなど、真剣にこの課題に向き合ってきた。2023年1月には、「Science Based Targetsイニシアチブ」(SBTi)の検証・認定を受け、2050年にネットゼロという目標を発表した。PC、スマートフォンメーカーとしてSBTiの認定を受けるのは、同社が初という。

 6月に米国ノースカロライナ州ローリーにあるLenovoの米国拠点を訪問し、グローバルESG&コンプライアンス担当 エグゼクティブデイレクターのMary Jacques氏に、同社のサステナビリティーへの取り組みについて聞いた。

–Lenovoのサステナビリティーの取り組みについて教えてください。

 ESGの一部として取り組んでいます。その歴史は古く、2009年に最初のESGレポートを公開しました。われわれがサステナビリティーに取り組む理由は、それが正しいことだからです。また、競争力という点でも重要な取り組みです。Lenovoの顧客は、サステナビリティーがLenovoの提供するソリューションの一部となることを期待しています。

 Lenovoは、企業のIT部門と一般消費者の両方に対して顧客調査を実施しました。そこから顧客は、ベンダーの評判だけでなく環境に配慮した梱包、エネルギー効率、リサイクル素材の使用、製品を修理できるかどうかなどをチェックしていることが分かりました。ベンダーが競争力を高めるためにサステナビリティーに取り組むことは、必須なのです。

 現在、大企業を中心に投資家や従業員の働きかけもあり、SBTiに署名するなどのコミットを示す企業が増えています。Lenovoは、ハードウェアなどの当社製品の購入体験、サービスの提供などにサステナビリティーを組み込んでおり、顧客が掲げるサステナビリティー目標の達成を支援します。

–競争優位につなげるために、具体的にどのように取り組んでいるのでしょうか。

 2050年にネットゼロにするという目標を掲げています。国連グローバル・コンパクト、CDP(Carbon Disclosure Project)、世界資源研究所、世界自然保護基金の4機関が運営するSBTiの検証・認定を受け、温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロ化するというものです。この目標へ強いコミットを持ち、透明性を確保し、科学的根拠に基づいて行動しています。

 Lenovoは、香港証券取引所に上場しています。香港取引所は、世界的に見ても高度なESG要件を持っており、以前から取締役へESGについて報告しています。そのようなことからLenovoの経営層は、ESGのリスクや機会、戦略との連携を常に意識しています。戦略グループ、製品開発チーム、グローバルサプライチェーンなど全てに対して、幹部レベルでESGのガイダンスを伝えています。

 このレベルで取り組んでいる企業は少なく、われわれは顧客の問い合わせに対し、堂々と自社の目標を説明することができます。

–サステナビリティーに対する意識に地域差があると感じますか。

 以前は欧州がリードしていましたが、現在は日本を含め、この問題に関心を持たない地域は無いと言って良いでしょう。世界中のLenovoの顧客が自社で目標を掲げ、規制に対応し、開示要求に従っています。

 一般消費者も同じで、われわれの調査からどの市場でも関心が高いです。ただし、電力に最も関心がある、リサイクル素材への関心が高いなど、最重要視しているテーマは地域により違いがありました。

–消費者に対してLenovoの製品が環境にやさしいことをどのように伝えていますか。

 消費者向けには、「Energy Star」「EPEAT」「TCO」などのエコラベルプログラム活用を重視しています。

 また、ウェブサイトで製品のカーボンフットプリントなどの情報も公開しています。マーケティングでは、グリーンウォッシング(環境配慮に見せかける行為)にならないように、各製品の環境面での特徴を信頼できる形で伝えるよう努めています。測定可能で正確な情報を重視しています。つまり、「最も環境にやさしいPC」というのではなく、「このPCはマグネシウムの50%でリサイクル素材を使用している」「プラスチックゼロのパッケージ」と具体的に伝えています。

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