「日本のために 社会のために」、国内のクラウドインフラに継続投資–AWSジャパンの白幡社長

今回は「「日本のために 社会のために」、国内のクラウドインフラに継続投資–AWSジャパンの白幡社長」についてご紹介します。

関連ワード (クラウド等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

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 アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は1月31日、日本のクラウドインフラへの継続投資方針と新たな取り組みに関する説明会を開催した。2024年11月に代表執行役員社長に就任した白幡晶彦氏は「『日本のために 社会のために』というメッセージを私の最初の所信表明にしたい」と語る。

 同氏はAmazonが掲げる「Customer Obsession」を挙げ、「私は前職でクラウドテクノロジーを使ってIoTを実行していく仕事をしていた経験があり、どちらかというとお客さまに近いところで働いてきた。それ故に、顧客を大事にするCustomer Obsessionの考え方の大切さが非常に分かる。これから先も多くのフィードバック、皆さまの声をいただきたいと思っている。そして、これから先の日本のために、社会のために常に“still Day One”、初心を忘れずにイノベーションの創出と日本のDX加速の支援に全力で取り組みたい」と意気込みを述べた。

 AWSジャパンは日本市場に向けて「インフラへの継続投資」「環境への投資」「社会への投資/次世代ビルダーの育成」――に注力していくという。2024年1月に、2027年までに国内のクラウドインフラに対して2兆2600億円の投資計画を発表している。東京リージョンを開設した2011年から2027年までを累計すると3兆7700億円に上る。日本のクラウドサービス市場は引き続き高い成長率を継続しており、Amazon Web Services(AWS)としてもクラウドインフラへの投資は、日本のDXの加速、生成AIをはじめとしたAI活用などのイノベーションの加速に欠かすことができないものと考えているという。

 この投資計画の一環として、国内の新たなデータセンターの建設を進めている。2026年の稼働を目指しているという新たなデータセンターでは、環境に配慮した低炭素型コンクリートを用いて建設を進めている。このコンクリートは、従来型と比較して、エンボディドカーボン(建設資材の製造や輸送、設置、保守、廃棄で生じる二酸化炭素排出量)が64%少ないという。Amazonは、2040年までにネットゼロカーボンの達成に向けた取り組みを進めており、AWSのクラウドインフラにおけるエンボディドカーボンの削減も、コミットメントの実現に向けた取り組みだとしている。

 また環境への投資においては、データセンターの電源装置や配電装置、冷却装置、ハードウェアなどあらゆる要素における設計の最適化を追求している。AWSが独自で開発しているCPUの「Graviton」やAI学習用アクセラレーターの「Trainium」、機械学習(ML)チップ「Inferentia」などの活用は電力消費の低減に大きく貢献しているという。

 2024年にAWSがアクセンチュアに委託した調査によると、AWSのクラウドはオンプレミスの一般的なケースと比較して最大4.1倍の効率が見込める。また、AWSで計算負荷の高いワークロードを実行した場合、企業は関連する温室効果ガス(GHG)の排出量を最大99%まで削減できるという結果が出ている。同氏は「データセンターに関わるあらゆる要素が最適化されているAWSのクラウドは、お客さまのサステナビリティー目標の達成という観点でもその実現に多く貢献できると考えている」と述べる。

 ほかにも、AWSは環境への還元にも取り組んでいる。同社では事業で利用する量よりも多くの水を社会に還元する「ウォーターポジティブ」という考え方を推進しており、2030年までにウォーターポジティブを達成する取り組みをグローバルで進めている。この取り組みの一環として、Amazonは山梨県丹波山村との協定を結び、水源涵養(かんよう)プロジェクトを今後10年間実施すると発表した。

 丹波山村は、東京リージョンのデータセンターに水を供給する水道事業者の水源地の一部でもある。同プロジェクトは、村の森林の状態を改善し、水資源を確保・強化することを目的にしており、AWSは森林整備活動の資金を提供するとしている。これにより、毎年1億3000万リットル以上の水が地域社会に還元されることが見込まれる。

 社会への投資においては、AWSはこれまでインフラの建設や施設の運営、保守などに関する雇用の創出などを通じた経済的な貢献により、同社が拠点を置く世界各地の地域社会に貢献してきた。同社では、事業展開をしている地域社会に対して持続可能で革新的なプログラムを作り、実施する「AWS InCommunities」を通じて投資活動を行っている。

 この取り組みの一環で、日本では、2023年9月に千葉県印西市の小学校にSTEAM(科学、技術、工学、芸術、数学)教育の施設「Think Big Space」を開設した。また、2024年11月には神奈川県相模原市の女子中学生を対象にした「Girls’ Tech Day」を開催。AIなどの技術に触れる機会を設けた。2025年前半には、相模原市の中学校においてThink Big Spaceを新たに開設する予定だという。

 白幡氏は、クラウドインフラへの投資を強化・加速しているもう一つの理由として「生成AIの活用」を挙げた。これまで試験的なフェーズから本格的な生産性向上やビジネス価値を創出するフェーズへの移行が急激に進んでいる。AWSジャパンは2024年に「生成AI実用化推進プログラム」を展開しており、100以上の企業・団体が参加しているという。実用化が進むにつれて顧客の要望は各業界や各顧客の課題に応じてますます専門的で多様化している。「各社それぞれユニークな生成AIの活用があり、当社としても本当に多くの学びを得ることができている」と同氏はこれまでの成果を述べた。

 質疑応答では、改めてAWSジャパン2代目社長としての意気込みを尋ねられ、白幡氏は「日本のお客さまの今後10年間の動向がどうなるかということから発想を始めると、クラウドを取り巻く状況が変わると思う。銀行の勘定系システムのような、どちらかというとクラウド移行にためらいを感じていた企業や社会インフラのシステムにおけるクラウド移行が非常に増えてきている。それは今までのAWSの歴史の中でクラウドに対する理解や実績が増えてきたことによる安心があると思う」と現状を述べる。

 続けて「今後10年間のお客さまに応えていくことを考えると、1つはお客さまの大事な基幹システムを預かる責任を感じ、信頼の置ける会社にならなければならないというのが大きなテーマになる。一方で大企業病にならず、スタートアップの良さを持ち続けることもAWSとして大事だと思っている。スタートアップの皆さんと、技術が大好きな人たちが、新しいテクノロジーを活用して新しいことにチャレンジできるビジネスを追求していきたい」と語った。

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