2025年の崖を迎えたDXの進捗と成果–調査から読み取る推進上の課題
今回は「2025年の崖を迎えたDXの進捗と成果–調査から読み取る推進上の課題」についてご紹介します。
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経済産業省が2018年8月にDXレポートを公表してから6年が経過し、その中で指摘された「2025年の崖」の年をいよいよ迎えました。DXという言葉は幅広く浸透し、多くの企業で活発な取り組みが展開されていますが、果たしてその成果は上がっているのでしょうか。
2025年の崖を目前に控えた2024年10月にITRでは国内企業におけるDXへの取り組み状況に関する調査を行いました。DX(デジタル技術やITを活用した業務・事業の変革)に対して何らかの取り組みを行っている企業で、従業員数100人以上の企業のDX推進者、IT戦略決定者、IT企画立案者、IT実務者に該当する課長職以上を対象として660件の回答を得ています。
まず、取り組み状況から見ていくこととしましょう。「あなたの会社のDXは、社内のどの程度の範囲で取り組まれていますか」という質問に対しては、全社レベルが43%、複数の部門が31%と上位を占めました(図1左)。DXへの取り組みは、個人レベルや部門・部署レベルではなく企業に広く展開されていることが確認されました。
また、「あなたの会社のDXへの取り組みは、他社と比べてどの程度進んでいると思いますか」という質問では、「同業他社と同等である」と回答した企業が最も多く48%を占めました。次いで「同業界では上位」が25%、国内でトップクラスとした企業も10%存在しました。多くの回答者が自社のDXの進捗(しんちょく)状況がそれほど遅れていないと認識していることがうかがわれます。
これらの結果から、DXへの取り組みは多くの企業で着実に進捗していることが確認できます。
一方で、DXへの取り組みに対する成果はどうでしょうか。同調査において「DXがどの程度成果を上げているか」という問いに対しては「全社的なレベルで成果をあげている」との回答は22%と少なく、全社レベルでDXに取り組んでいる企業(図1で示した43%)の半数程度にとどまっています(図2)。
DXの成果が、部分的な範囲にとどまる企業が3分の2を占めており、「まだ成果をあげていない」との回答も11%存在しています。すなわち、多くの企業がDXに取り組んでいるものの、それを成果につなげるという点ではまだ道半ばであるということです。DXへの取り組みを始めてから成果を出すまでには一定の時間がかかることなどからギャップが生じており、その過程でさまざまな課題や困難に直面していることがうかがわれます。