インテル、新型「Xeon」チップでAI性能を強調–AMDとArmの勢力拡大にけん制

今回は「インテル、新型「Xeon」チップでAI性能を強調–AMDとArmの勢力拡大にけん制」についてご紹介します。

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 Intelは米国時間2月24日、「Xeon 6」サーバープロセッサーの新製品を発表した。AMDとArmという二方面からの侵攻を防ぎつつ、データセンター製品ライン全体にAI処理を普及させることを目指している。

 新プロセッサーの「Xeon 6 6500P」「同6700P」は、2024年9月に発表された製品ラインアップを拡充するものである。Xeon 6チップ(開発コードネーム:Granite Rapids)は、同社のチップ製品ラインの中で最も強力なコンピューティング能力を発揮するように設計された、パフォーマンスコア(Pコア)と呼ばれるコンピューティング要素を搭載している。

 9月に発表された「Xeon 6 6900P」は128個のPコアを搭載するが、6500Pと6700Pは16~86個のPコアを搭載する(Xeon 6には電力効率を重視した高効率コア〈Eコア〉も導入されている)。

 24日の発表に先立つメディア向けの説明会で、IntelのチーフアーキテクトであるRonak Singhal氏は、6500Pと6700Pの性能を、AMDの最新x86ベースCPU「AMD EPYC 9005」(開発コード名:Turin)と比較して強調した。

 Singhal氏によると、XeonチップはEPYC 9005よりも少ないコア数でより高い計算処理能力を発揮し、総所有コスト(TCO)を削減できるという。同氏は「コア数が3分の1少ないにもかかわらず、AI性能が最大50%向上する」ことを示すスライドを提示した。

 「コア数が少なくても、これらのワークロードの範囲全体でより高いパフォーマンスを提供できる」とSinghal氏は述べた。ここで言うワークロードは、データベース実行などの「一般的なコンピューティング」から、科学モデル実行などの「高性能コンピューティング(HPC)」、そしてAIモデルの推論やトレーニングを含む広義のAIまで多岐にわたる。

 Singhal氏は、Granite Rapidsチップに搭載された、「Advanced Matrix Extensions(AMX)」と呼ばれるAI向けのアクセラレーターエンジンを強調した。これらの命令拡張により、コアは従来のコンピューター命令と並行して、AI処理の大部分を占める線形代数の行列乗算を実行できる。

 Singhal氏によれば、AMX命令拡張はクラウドコンピューティング大手でのXeonの利用拡大に貢献しているという。

 6500P/6700Pの発表は予想されていたもので、近年チップ業界での優位性が大幅に低下しているIntelが、競合他社に対抗できる製品を提供するための取り組みの一環と言える。

 AMDとArmがデータセンターでの売り上げを伸ばしたことで、Intelの業績は急落している。2024年第3四半期には、データセンター部門の売上高において、AMDが35億ドル、Intelが33億ドルとなり、AMDがIntelを初めて上回った。

 その結果、業界調査会社TechInsightsによると、IntelとAMDの長年の複占状態にあったx86サーバーチップ市場におけるIntelのシェアは、2020年第1四半期の96%から現在は65%に低下し、一方、AMDのシェアは4%から35%に急増した。

 Armはチップを製造しているわけではないが、知的財産としてチップメーカーに設計を販売しており、収益基盤ははるかに小さいものの、データセンターにおける設計利用で著しい成長を遂げている。Googleの「Tensor Processing Unit」(TPU)やAmazon Web Services(AWS)の「AWS Graviton」など、クラウド大手各社は独自のカスタムチップを開発しており、その設計にはArmの技術が不可欠となっている。

 過去12カ月間で、Armの推定36億ドルの収益の約10%がネットワーキングおよびデータセンターアプリケーションからのものだった。アナリストによると、Armの年間収益成長率が26%と予測されているのは、データセンターへの販売が増加していることが大きな要因であると同社は示している。

 Armがデータセンター向けプロセッサー市場全体に占める正確なシェアは不明だが、Googleなどの企業が非x86チップの採用を拡大すれば、Armが得るロイヤリティーは増加する一方で、Intel(および、影響は少ないもののAMDも)は収益を失うことになる。

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