SOC大手のArctic Wolf、サイランス買収で日本市場に本格参入

今回は「SOC大手のArctic Wolf、サイランス買収で日本市場に本格参入」についてご紹介します。

関連ワード (セキュリティ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 米Arctic Wolfは2月26日、同4日にCylanceの事業買収の完了に伴い、日本市場に本格参入を開始すると発表した。日本でのCylanceの事業を継承し、さらなるビジネスの拡大に注力すると表明した。

 Arctic Wolfは、2012年に創業し、米国ミネソタ州イーデンプレーリーに本拠を置くセキュリティオペレーションセンター(SOC)サービスの大手。従業員は約3000人で、このうち約800人がセキュリティエンジニアという。80カ国以上で1万社以上の顧客および2000社以上のパートナーを持つ。同社のSOCでは毎週8兆件以上のセキュリティイベントを処理し、セキュリティインシデントの対応支援は年間約600件を手掛けているという。

 同社が買収したCylanceは、機械学習やAIを活用した次世代型エンドポイントセキュリティソフトウェア製品の老舗。2019年にBlackBerryの買収により、同社のサイバーセキュリティ事業部門として展開されていた。BlackBerryが自動車向け組み込みソフトウェア事業に集中する再編を実施したことで、Arctic WolfがCylanceの事業を買収している。

 同日の記者会見に登壇したプレジデント 兼 最高経営責任者(CEO)のNick Schneider氏は、同社の特徴について、数多くのサイバーセキュリティベンダーが製品やプラットフォームを起点にビジネスを展開しているのに対し、同社はSOCを中心とするセキュリティ運用を起点にプラットフォームや製品を拡大させてきたと説明する。

 同氏は、「当社のミッションは、顧客のセキュリティ対策をうまく機能させることにある。現在のセキュリティソリューションは複雑化、サイロ化しており、われわれはこの課題を解決し、顧客のセキュリティ投資を改善して効率的で効果的なものにしていくことができる」と述べた。

 また同氏は、Cylanceが位置するエンドポイントセキュリティ製品市場について「既に成熟し、製品も複雑でベンダーのエコシステムは閉鎖的だ。変革期を迎えており、われわれのプラットフォームにCylanceのAI技術を統合することにより、広大なアタックサーフェース(攻撃対象領域)を守るためのデータ基盤が強化され、顧客の保護を強化できる。CylanceはAIと豊富な実績があり、顧客やパートナーの支持も高く、特に日本市場ではリーダーの立場にある」と話す。

 Arctic Wolfは、SOCを中核としたセキュリティサービスのプラットフォーム「Aurora」を展開し、脅威の検知および対応などマネージドサービスと教育トレーニングのサービスを提供。Cylanceの買収により、エンドポイントの保護(EPP)と脅威検知および対応(EDR)が加わった形になる。

 EPP製品の「CylancePROTECT」は「Aurora Protect」に、EDR製品の「CylanceOPTICS」は「Aurora Endpoint Protect」にそれぞれ改称されるが、今後も従来通り提供されるという。さらに、両製品の運用をマネージドサービスとしてArctic Wolfが提供する「Aurora Managed Endpoint Defense On-Demand」と「Aurora Managed Endpoint Defense」が新たに追加された。

 同氏は、「エンドポイントの保護においてわれわれのセキュリティ運用のノウハウとCylanceのAIが連携し、より強力なセキュリティを実現し、顧客を効率的かつ効果的に守っていきたい」と述べた。

 旧Cylanceの日本法人時代から事業責任者などを務めてきた吉本努氏は、新たにArctic Wolfの日本担当バイスプレジデントに就任した。吉本氏は、「2度目の買収となるが、(異なる事業体を持つ)BlackBerryとは異なり、世界最大規模のSOCを持つセキュリティ専門のArctic Wolfの一員となれたことがうれしい。買収された立場だが、Arctic Wolfは日本のビジネスに理解を示してくれ、日本独自の取り組みを含め円滑に新体制へ移行することができた」と語った。

 吉本氏によれば、Cylanceの買収が完了した翌5日には、Arctic Wolfとしての契約更新が開始され、新メニューとなるマネージドサービスの日本での受付もスタート。約2000社の国内顧客とパートナーがスムーズに新体制に移行することができているという。

 今後の国内ビジネスでは、特にEDR製品とマネージドサービスの販売拡大に注力していくとしている。Schneider氏は、「日本への投資を強化し、特に顧客をサポートしていくためのリソース(人材など)を充実させていく」とした。

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