米政府で今なお現役の「COBOL」–レガシーシステムが抱える課題

今回は「米政府で今なお現役の「COBOL」–レガシーシステムが抱える課題」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 米国では、何千万人もの死者が社会保障給付金を受け取っていると信じている人がいる。だが、それは事実ではない。実情としては、基盤をなす古いテクノロジーが理解されていないということだ。

 150歳の社会保障受給者がいるという物語では、老朽化したテクノロジー、米政府のシステム、そして米政府効率化省(DOGE)の若いIT担当者たちによる現代の誤解が絡み合っている。この物語の中心にあるのは、米国の社会保障制度を何十年も支えてきたプログラミング言語「COBOL」だ。

 COBOL(Common Business Oriented Language)は1950年代に開発され、米社会保障局(SSA)のITインフラストラクチャーの重要な一部となっている。SSAは6000万行以上のCOBOLコードを維持しており、そのコードが退職金や障害給付金の請求の処理など、SSAの基幹業務を支えている。

 COBOLの異質な点の1つに、日付を保存して操作する標準化された方法がないことがある。この制限のために、プログラマーは米政府のデータベースで日付を表す方法を考案するようになった。また、未知の情報にプレースホルダー日付を使用することも思いついた。

 セントトーマス大学工学部でデータサイエンスとソフトウェアエンジニアリングの教授を務めるManjeet Rege氏によると、特によく使用されるプレースホルダー日付は1875年5月20日であるという。なぜこの日付かというと、日付と時刻に関する規格「ISO 8601」で日付の起点ということになっているからだ。

 ここで、規格の策定者はなぜこの意味のなさそうな日付を選んだのか、と疑問に思うかもしれない。答えとしては、決して意味がないわけではなく、あまり知られていない日付だから採用された。1875年5月20日は、国際度量衡局(メートル法)の創設記念日だ。

 これが実際に何を意味するかというと、少なくとも一部のケースでは、生年月日を記入せずに社会保障を申請すると、自動的に1875年5月20日という生年月日が割り当てられる。149歳を超える高齢者たちは、このようにして現れるというわけだ。

 だが、話はそれだけではない。膨大な数のプログラマーが何十年にもわたってSSAのシステムで作業し、無数のデータ入力担当者がシステムに日付を入力してきた。その結果を一言で言うなら、乱雑だ。

 例えば、社会保障監察総監による2011年のデータ分析では、「YOB(誕生年)の値が1900年である個人の数が異常に増加した」と報告された。これは、データ入力担当者が極めて高齢の人の誕生日に簡単な日付を選んだからに違いない。

 さらに、1950年以前の全ての社会保障記録は、元々は紙とマイクロフィルムで保管されていたが、後でシステムに手入力されたため、人為的ミスが起きる余地が多く生じた。

 こうした問題はどれも、不正受給を企む者に大きな機会を与えるものではない。亡くなった人が埋葬または火葬されると、葬儀場は「Statement of Death by Funeral Directors」(フォームSSA-721)という書類を提出する必要がある。本当に何にでも書類があるのだ。

 また、DOGE創設の何年も前から、SSAはすでに極めて高齢の市民をチェックしていた。この2023年の調査では、1890万人の社会保障番号保持者が1920年以前に生まれたと記載され、死亡日が記録されていないが、給付金を受け取っているのはわずか4万4000人であることが分かった。要するに、記録には間違いが多いかもしれないが、今でも給付金を受け取っているのは比較的少数の口座だけということだ。

 最後に、SSAは2015年以降、自動システムを導入して、115歳以上の人への支払いを自動的にブロックしている。つまり、社会保障給付金を受け取っている吸血鬼など存在しない。

COMMENTS


Recommended

TITLE
CATEGORY
DATE
テスラ車オーナー向けアプリ「TezLab」を使えば充電する電力の「クリーン度」がわかる
モビリティ
2021-04-19 14:44
緊急事態延長–テレワークによる労務管理上の課題解消を急げ
IT関連
2021-02-04 09:20
NTT Com、3Dモデルを手軽にXR空間に投影できるサービスを提供開始
IT関連
2024-03-29 16:55
IDが統一的に管理されていないことの問題点
IT関連
2021-04-02 16:51
映像内の顔・ナンバープレートにリアルタイムでモザイク AIで認識、プライバシー保護に
ロボット・AI
2021-05-26 11:17
小野薬品と日鉄ソリューションズ、統合データ活用基盤を構築–新薬創出を支援
IT関連
2022-11-13 04:30
Bigtableで分散カウンタ機能が正式に利用可能に。SQLのクエリにも対応
Google
2024-08-06 06:20
NRI、リテール証券会社向けバックオフィスシステムを「OCI Dedicated Region」で稼働
IT関連
2023-04-21 21:30
相談者と資格保持カウンセラーをマッチングするチャット形式相談・カウンセリングのUnlaceが6000万円調達
ヘルステック
2021-08-03 03:46
MS、「ワードパッド」を非推奨アプリに–今後のWindowsリリースで削除予定
IT関連
2023-09-05 21:55
「スマホを離れて何もしないのは意外と楽しい」との研究結果
IT関連
2022-08-21 04:23
三菱UFJ銀行、TealiumのCDP導入でマーケティング施策を強化
IT関連
2024-06-15 13:00
IT子会社設立の主な理由は「コスト削減」–ガートナー調査
IT関連
2023-10-06 03:23
グーグル、アップル、マイクロソフトがパスワードレス認証の取り組みを拡大
IT関連
2022-05-07 18:34