霧島酒造、現場主導のアプリ開発を「FileMaker」と「iPad」で実現
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芋焼酎「黒霧島」などで知られる霧島酒造(宮崎県都城市)は、ローコード開発基盤「Claris FileMaker」と「iPad」を活用し、現場主導でアプリ開発を内製化している。Claris Internationalが3月27日に発表した。
焼酎製造の過程で発生する焼酎かすは1日約800トンに及ぶ。そのリサイクルを行うプラントでは、週2~4回の機械整備を行っている。以前は、点検記録は手書きの紙ベースで管理され、現場で記入したデータは事務所で表計算ソフトに転記されていた。加えて、デジタルカメラで撮影した写真も別途保存する必要があった。その過程で、転記ミスや入力漏れ、写真の管理不足といった課題があった。
こうした課題に対し、現場担当者は点検現場でリアルタイムに報告書を作成したいと考え、ツールの選定を開始した。幾つかのノーコード/ローコード開発ツールを比較検討した結果、操作性、コストパフォーマンス、内製の容易さ、拡張性を評価し、FileMakerを採用した。
その結果、iPadや「iPhone」を活用することで、データ入力から写真登録までを現場で完結させることが可能になり、報告書作成と巡視点検が効率化された。また、転記が不要になったことで入力ミスが減少し、作業工数も約25%削減された。記録確認を通知するメール送信機能により、連絡ミスも減少した。
アプリには、数値を入力したとき、しきい値を逸脱したフィールドに色付けする機能が実装されており、その場で異常値に気付くことができるため、問題の早期発見が可能になった。紙の帳票を使う必要がなくなり、ペーパーレス化と高い検索性が実現した。これにより、多くの業務が効率化されただけでなく、過去データとの比較、分析も容易になった。
さらに、入力と押印を電子化したことで、製造ラインに紙やペン、印鑑を持ち込む必要がなくなり、異物混入リスクを回避。「FSSC22000」(食品安全マネジメントシステムに関する国際規格)の認証取得にもつながったとしている。
酒質管理部では、「味わい」データをデジタル化。iPhoneを使いFileMakerの「検定酒評価アプリ」に、焼酎の品質を評価した数値を入力している。「味わい」のデジタル記録と仕込みデータの連携により、商品開発のスピードと精度の向上が期待されている。
リサイクルプラントでのアプリ内製による業務デジタル化の成功を受け、FileMakerは組織全体のDXを推進する共通のツールとして採用された。現在、製造、酒質管理、ボトリング、品質保証、サプライチェーンマネジメント(SCM)など10を超える部署で活用され、DXに取り組む文化が全社的に確立しているとのこと。