SaaSの次なる進化–AIによる自律的なサービス提供「Services as Software」へ
今回は「SaaSの次なる進化–AIによる自律的なサービス提供「Services as Software」へ」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
Software as a Service(SaaS)は少なくとも20年にわたってテクノロジーの世界の中心にあり、アプリケーションにインターネット経由で完全にアクセスできるようになっている。現在、人工知能(AI)がこの仕組みを覆し、アプリケーションを自律的に活用してサービスを提供するようになりつつある。これは「Services as Software」(SaS)と呼ばれるものだ。
AIは、テクノロジー担当者とビジネス部門のスタッフのために、この新しい世界を作り出している。Tata Consultancy Servicesの未来学者であるFrank Diana氏は、最近の投稿にこう記している。「企業はこれまで、ソフトウェアを購入して、それを運用する人間の専門家を雇っていた」「AIがそのモデルをひっくり返そうとしている。企業のプロセスを最初からAI中心に設計することが増えるだろう。AIを後から加えるのではなく、既定の労働者にするということだ。ほぼ全ての職種がこの変化の影響を受けるだろう」
HFSが1000社を対象に行った調査によると、60%の企業がサービスをテクノロジー製品として調達することを検討していると分かった。同じく60%の企業が、「プロフェッショナルサービスの一部または全てを3~5年以内に何らかのAIに置き換える予定」だという。
同様のトレンドが、日常的なITメンテナンス、人事、調達、会計、顧客サービスの業務でも起きている。これらの業務を「進化する生成AIとエージェントソフトウェアで再現することが格段に容易になりつつあり、大量のトランザクションを保護、拡張するパブリッククラウドとプライベートクラウドの機能がそれを支えている」とHFSの執筆者Saurabh Gupta氏とPhil Fersht氏は記した。
かつては専門家のチームを要していた業務が、「タスクを自律的に実行できるAI搭載システムによって処理されるようになっている」とDiana氏。「この変革は自動化に限ったものではない。企業によるサービスの利用と提供の方法を再定義するものだ。この新たなモデルは、過去からの大きな転換を示している。つまり、ソフトウェアはもはや人間の労働者のためのツールではなく、多くの場合、ソフトウェアが労働者になる」
これは、テクノロジー担当者の役割の変化が目前に迫っていることを示している。「SaaSモデルは主にクラウドでホストされるアプリケーションが中心だった」とDiana氏は米ZDNETに語った。Services as Softwareには、「AIやデジタルツイン、予測分析、自律システムなどのインテリジェントテクノロジーが組み込まれているため、人間の専門家はインフラストラクチャー管理から動的な適応型サービスのオーケストレーションへと役割をシフトする必要がある」
「これにより、専門家が自分のスキルセットを見直して、AIリテラシー、戦略的思考、人間と機械のシナジーを優先することが不可欠であるという点が浮き彫りになった」とDiana氏は続ける。「さらに、統合されたサービスエコシステムのオーケストレーションと部門間のコラボレーションの強化に重点を置いた新しいキャリアパスへの適応が必須になるだろう」
この変化に備えるため、Diana氏はテクノロジー担当者に、「継続学習に前向きに取り組んで、AIと自動化のスキルを高め、コミュニケーションや問題解決などのソフトスキルに磨きをかける」よう促した。そうすることで、テクノロジー担当者は「単なるテクノロジーの世話役ではなく、ビジネスの成果を戦略的に実現する者という地位を確立」できるという。
自動化が拡大しているとはいえ、まだ人間の専門知識が不可欠だとDiana氏は強調する。例えば、監視と倫理が必須であり、これは「AIが公平性、コンプライアンス、安全性を担保する上で、人間によるガバナンスが必要である」ためだという。また、AIは「データを処理できるが、コンテキストを読み取り、ビジョンを描き、リーダーシップを発揮するのは人間だ」という点を忘れてはならない。
Gupta氏とFersht氏は、サービスとソフトウェアの融合が進む中で、テクノロジー担当者とビジネス部門のスタッフが直面する課題を指摘し、次のように書いている。「サービスの担当者とソフトウェアの担当者は、所属する部門や使用する専門用語が異なるが、今こそ手を取り合って、誰もが理解できる形で発展させていく必要がある。ERPソリューションのときのように、新品のSaSソリューションを購入して導入すればいいというわけではない。ここでは、AIテクノロジーがもたらす真のビジネス価値を定義し、その価値と期待される結果に基づいて価格を設定する必要がある」