エクスペリエンス管理基盤「XM OS」を打ち出したクアルトリクスの思惑とは
今回は「エクスペリエンス管理基盤「XM OS」を打ち出したクアルトリクスの思惑とは」についてご紹介します。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、クアルトリクス カントリーマネージャーの熊代悟氏と、ワークデイ エグゼクティブ・プレジデント兼日本担当ゼネラルマネージャー日本法人社長の正井拓己氏の発言を紹介する。
米Qualtricsの日本法人クアルトリクスは先頃、2021年度の事業戦略とともに、米国本社が実施した「2020年の従業員エンゲージメント調査」(関連記事)についてオンラインによる記者説明会を開いた。熊代氏の冒頭の発言はその会見で、今後の事業戦略における一番のメッセージとして「XM OS」を強調したものである。
デジタルトランスフォーメーション(DX)時代のキーワードの1つである「エクスペリエンス(X)」と「マネジメント(M)」を組み合わせて略した「XM」は、Qualtricsが提唱する新しいソリューション分野だ。
同社によると、XMの目的は「顧客、従業員、ユーザー、パートナー、サプライヤー、投資家など、あらゆる関係者に対して、企業や組織が提供するエクスペリエンスを向上させること」にある。
そのソリューションとしては、企業においてビジネス上で重要な「顧客」「製品」「従業員」「ブランド」といった4つのエクスペリエンスを管理し、改善するソフトウェアをSaaS(Software as a Service)型サービスで提供。顧客数は2020年末の段階で、グローバルで1万3000社を超えるという。
Qualtricsは2002年に米国ユタ州プロボで創業。大学向けに開発/販売した市場調査を行うためのアンケート収集/分析ソフトウェアが、現在のソリューションに発展した格好だ。いわゆるユニコーン企業として注目されていたが、2019年1月にSAPに80億ドルで買収され、現在はSAPのグループ企業となっている。
ただ、SAP傘下ではあるが、2021年1月にはナスダック市場に上場。独立した企業として今後も幅広い利用環境での事業を展開し、2018年に始めた日本での活動も、XMの認知度向上をはじめ、サポート体制やパートナーエコシステムの強化を図っていく構えだ。
熊代氏は2021年の事業戦略について、「ウィズコロナ、アフターコロナによる新たな社会へのサポート」「国内業務に沿ったテンプレート群の提供」「国内人員体制の拡充」を挙げた。さらに、これまで「Qualtrics XM Platform」と呼んでいたソリューションを、今後はXMの基盤としての位置付けを一層明確にするために「XM OS」として強力に打ち出していくことを明言した。図1に示したのが、同社のソリューションの全体である。
市場調査やアンケート収集/分析を担うツールは数多くあるが、DX時代を踏まえてエクスペリエンスに着目し、XMというコンセプトを打ち出して改善アクションまで含めたソリューションを体系化しているのが、同社の魅力だろう。新たに打ち出したXM OSが市場に広く認知され、浸透していくか、注目していきたい。
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