AIにビジネスの常識を組み込むことはできるのか–効果的に生かすには
今回は「AIにビジネスの常識を組み込むことはできるのか–効果的に生かすには」についてご紹介します。
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人工知能(AI)にビジネスの常識をプログラムすることは可能だろうか。多くの人が、まさに今その課題に取り組んでいる。しかし意思決定の中には、常識だけでなく、アルゴリズムに組み込むのは困難な一定水準の共感が必要とされるものも多い。最近になってAIと機械学習が注目を集めているが、技術者や意思決定者は、AIがあらゆる問題やチャンスに対する現実的なソリューションになるかどうか、よく考える必要がある。
これらの論点は、12月の「AI Summit」で開催されたパネルディスカッションで話題になったものだ(筆者はこのカンファレンスの共同議長であり、パネルディスカッションのモデレーターを務めた)。パネリストの意見は、AIがあらゆるビジネスの状況に使えるデフォルトのソリューションになると考えるべきではないという点で一致した。AntWorksのグローバル金融サービス担当バイスプレジデントであり、同セッションのパネリストを務めたDrew Scarano氏は、そもそもAIは、まだ比較的未熟な技術だと指摘した。「私たちは、開発ループに人間を含めることや、望ましい結果を得るためには人間がAIを補う必要があることを忘れて、この技術に依存しすぎているのかもしれない」と同氏は言う。
AIは、あらゆる業界でさまざまな目的に使用されているが、企業を構成し、維持するために役立っている組織の対人関係能力から人間を排除することにはリスクが伴う。Scarno氏は、「今日では、クレジットカードの審査から、借り入れの担保の審査、車両レンタルの審査まで、あらゆることにAIを使えるようになっている」と述べつつも、「しかし、人間は信用スコアや、担保を認めるか認めないかだけでは決まらないことを理解するためには、人間の介在が必要だ」と付け加えた。
また同氏は、AIシステムは「デジタルワークフォース」に近いものになり得るという言説は、「ものを売るための方便にすぎない」と批判した。「そういう言い方をすれば、1つのシステムではなく、50のデジタルワーカーを売ることができる。しかし、デジタルワークフォースは特定の作業のための単なるコードの集合体であり、単にタスクをカスタマイズしながら繰り返し行うためのものだ」と同氏は言う。もう1人のパネリストであるAibleの最高技術責任者(CTO)Rod Butters氏も、「デジタルワークフォースは結局は機械だ。詰まるところ、すべて0と1でできている」とその意見に賛同した。Butters氏は、AIをビジネスと調和させるには、「機械であるAIに優れたツール、技術、経験を適用して、何よりもまず透明性を、次に何らかの形で説明可能性を確保して、最終的にビジネス指向、あるいはコミュニティ指向の成果を上げるものにすることだ」と述べた。