DXに着手する際に必要となる課題認識の共有–DXジャーニー始動段階の最初のステップ

今回は「DXに着手する際に必要となる課題認識の共有–DXジャーニー始動段階の最初のステップ」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 デジタルトランスフォーメーション(DX)の始動に当たっては、経営者から現場のスタッフに至る全ての従業員が、将来を見据えた外部環境の変化を正しく認識した上で、自社の課題やDXの必要性を理解することが求められます。

 前回、DXジャーニーマップで示したDXの始動段階では、「課題認識」と「ビジョン・戦略策定」の2つのフェーズを実行します(図1)。課題認識のフェーズでは、経営者から現場のスタッフに至る全ての従業員が、将来を見据えた外部環境の変化を正しく認識した上で、自社の課題やDXの必要性について十分に腹落ちしているといえるほど理解しているかが問われます。

 正しく課題を認識するためには「これまでうまくやってきた」「今も問題なくやっている」という現状肯定に対して、「将来もこれまで同様にうまくいくのか」という将来視点の疑問を投げかけなければなりません。また、自分の部門や社内の状況だけなく、広く世界に目を向けてビジネス環境の変化を踏まえた上で、課題の認識することが求められます。課題認識が全社で共有できなければ、DXの推進は停滞したり、頓挫したりして困難に直面することになります。

 課題認識が共有できたら、次は「ビジョン・戦略策定」のフェーズです。DXのビジョンと戦略を策定し、それを全社に周知します。企業がDXの先にどこを目指すのかを明確に示すには、ビジョンが必要となります。ビジョンは、「5年後や10年後に、自分たちがどういうことを実現したいのか」という未来の行き先、すなわち「目的」を示すもので、これがなければ各所で散漫なDX施策が繰り返されることになります。

 まずは、DXジャーニーの最初のステップである課題認識のフェーズから見ていきましょう。課題認識において特に注視しなければならないのが外部環境の変化です。デジタル化の潮流によって、ビジネスを取り巻く環境が大きく変化しているのを正しく認識することが重要です。

 外部環境の変化には、現在視点と将来視点の2つの視点がありますが、DXの推進やイノベーションのアイデア創出では、将来視点の外部環境の変化により注目する必要があります(図2)。現在視点の外部環境の変化にも適切に対応する必要はありますが、それは従来の業務改善や問題解決型のアプローチで対処可能です。

 しかし、DXでは将来の外部環境の変化を見据えて、革新的なアイデアを創出し、抜本的な改革を遂行していかなければなりません。テクノロジーが加速的に進展している状況を考慮すると、これからの外部環境の変化は、これまでの変化よりも急速かつ広範に及ぶと考えなければなりません。

 将来視点の外部環境の変化は、社会・経済・産業における構造変化、顧客や生活者のライフスタイルや価値観の変容を意味しており、これを見極めるにはそこから生み出される未来像を描くことが求められます。今後予想される外部環境の変化は、少子高齢化社会など人口動態の変化、脱炭素社会など地球環境に関する対応や法規制、製品からサービスへの転換のような産業構造の変化など多岐にわたります。また、人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)などのデジタル技術の台頭による影響も、将来視点の外部環境の変化として考慮しなければなりません。

 外部環境の変化には、自社や所属する業界にとって脅威となるネガティブな変化もあり、それは自社にとって対応すべき課題となります。一方、新たなビジネス機会となるようなポジティブな変化もあり、それは自社にとってチャンスであり、取り込むべき潜在的ニーズと捉えられます。

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