レッドハット、2022年度の事業戦略を発表–コンテナーとアジャイルの定着化に意欲

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 レッドハットは4月12日、2022年度の事業戦略を発表した。デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みに伴うコンテナー基盤やアジャイル(俊敏さ)開発文化の企業導入が本格化しているといい、それらの定着化に向けて新たな製品施策やパートナープログラムを導入する。

 同日の記者会見で代表取締役社長の岡玄樹氏は、まず2021年度のグローバルでの事業動向を報告するとともに、同社が企業の最高情報責任者(CIO)を対象に実施した調査の結果を市場動向として紹介した。

 2021年度の業績は、全ての四半期で前年同期比の成長率が2桁になり、社員数も3000人余り増加して2万人の大台を突破したという。同社のKubernetesプラットフォーム「OpenShift」の導入件数は約1000社増の3800社に到達し、岡氏によれば従来は導入の4~5割を金融が占めたが、製造や流通、小売などにも拡大。日立製作所や東京エレクトロン、NTT東日本などを事例に挙げた。

 また世界各地のCIO層1341人を対象に実施した調査「2022 Global Tech Outlook」では、68%が自社のビジネスにおいて「既にデジタルが中心」「デジタルを積極的に展開中」と、70%が既にKubernetesを利用していると回答。岡氏は、「世界では約7割がデジタル主導のビジネスを展開している。日本はまだという印象もあるが、数年先には世界と同様の状況にあるだろう。オープンなクラウド、Kubernetesを活用していく動きは、当社の成長余地を示す好材料」などと見通しを述べた。

 岡氏は、こうしたデジタルに対する企業の取り組みを踏まえて、「ハイブリッド/マルチクラウドの利用拡大」「アプリケーションのクラウド対応」「組織・文化・スキルのアジャイル化」の3つがキーワードであるとし、2022年度の事業戦略はこれらのキーワードに基づくさまざまな施策を実行していくとする。

 ハイブリッド/マルチクラウドの利用拡大に対しては、同社がここ数年来に掲げている「オープンハイブリッドクラウド」の構想をさらに推進する。特に、データセンターにつながるネットワークの重要度が増しているとして、通信業界を専門とする組織を設置し、同業界との連携を強化する。「日本の通信市場における取り組みは海外市場から大きく注目されており、日本と海外の双方の取り組みを世界に提供していく」(岡氏)という。

 製造業でもスマートファクトリー化の取り組みとして、例えば、映像データと人工知能(AI)や機械学習(ML)などをさまざまに活用する動きが拡大しており、そのためのプラットフォームを含め大手製造各社と連携した取り組みを推進する。また、ITインフラ運用の自動化ニーズも年々高まっているとして自動化の対象領域をさらに広げ、そのノウハウをパートナーと共有することで、顧客への提供を図っていくとした。

 アプリケーションのクラウド対応は、オープンハイブリッドクラウドの実装拡大を踏まえた動きで、アプリケーションをコンテナー化してさまざまなインフラ環境に展開する企業が触れているという。その環境の運用を同社やパートナーがサポートするマネージドサービスの利用が5倍に増えるなど需要が高まっているという。

 そのため2022年は、新たにデータ連携の「Apache Kafka」とAI/MLのマネージドサービスを開始するほか、OpenShiftの「Kubernetes Engine」では33%、「Data Foundation」では40%の値下げを行う。稼働環境ではAmazon Web Services(AWS)のARM系インスタンス、Microsoftの「Azure Stack Hub」を新たにサポートし、スマートファクトリーをはじめとしたエッジコンピューティング利用への対応を強化する。

 組織・文化・スキルのアジャイル化も、オープンハイブリッドクラウドやアプリケーションのクラウド対応の動きを踏まえたものであるといい、「日本でもアジャイルに対する企業の認知が浸透しただけでなく、『本気で取り組みたい』という声が高まってきた」(岡氏)とのこと。

 この部分で同社は、顧客の経営層も含めたDX推進の支援プログラム「Red Hat Open Innovation Labs」を展開し、2022年も引き続き注力する。記者会見にはこのプログラムに参加している第一生命ホールディングス イノベーション推進ユニットの清水智哉氏が登壇し、同社が進める顧客体験の改革施策「CXデザイン戦略」でのプログラム利用について紹介した。岡氏は、さらにアジャイル開発の大規模に行っていくためのフレームワーク「Scaled Agile Framework(SAFe)」の国内展開にも乗り出すとした。

 こうした一連の施策を推進するために、最上位のパートナープログラム「Premier Businessパートナー」の創設も発表。レッドハットがパートナーごとに専任チームを設置して連携しながら市場開拓を図るというもので、認定パートナーは伊藤忠テクノソリューションズ、NTTデータ、NEC、日立製作所、富士通の5社になる。加えて富士通とは、3月31日にRed Hat Open Innovation Labsを活用した企業顧客のDX推進支援の協業も発表している。

 岡氏は、オープンソースの活用を推進する同社のアイデンティティーが変化する市場に受け入れられつつあるとし、「挑戦と工夫を常に繰り返しながらアイデアをより良いものに作り上げていくというオープンソースコミュニティーの精神により、日本のお客さまのビジネスのアジリティーをオープンなテクノロジーで支える存在でありたい」と表明した。

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