テクノロジーで防災と減災を推進する「CORE」始動–NTTグループなど参加

今回は「テクノロジーで防災と減災を推進する「CORE」始動–NTTグループなど参加」についてご紹介します。

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 データやテクノロジーを活用して防災と減災を推進するコンソーシアム「CORE」が4月20日、都内で記者会見を開き、本格始動すると表明した。各種業界から多数の企業・団体が参加し、IT分野からはNTTグループやアマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWS)、日本IBMなどが参画している。

 COREは、東京海上日動火災保険が発起人となり、NTTや三菱電機、ウェザーニューズ、応用地質、ボストン コンサルティング グループなどが2021年11月に共同創設を発表、近年の災害の激甚化が社会生活や企業の事業活動などに深刻な被害をもたらしている状況を受けて、データやテクノロジーを駆使し、「現状把握」「対策実行」「生活再建」「被害軽減」の4領域で参加企業のノウハウを融合したソリューションの開発と提供に取り組む。

 発起人のあいさつとして登壇した東京海上日動火災保険 取締役社長の広瀬伸一氏は、「自然災害は人類の脅威であり、日本にとって大きなリスクであり、激甚化が危惧されている。当社は損害保険会社の立場で防災に取り組んできたが、この課題に1社で取り組むには限界があり、業界横断で推進するCOREの設立に至った。業界の垣根を越えて30の組織に参加をいただき、それぞれの英知とデータを駆使して、日本の防災と減災に影響力を発揮できるよう発展させていきたい」と表明した。

 COREでは、まず4領域に向けた5つの分科会を発足させ、ぞれぞれの領域におけるソリューションの検討や開発、概念実証(PoC)などの取り組みを進める。

 「現状把握」の領域では、リモートセンシングでインフラ維持管理のリスク抽出を目指す分科会(参加は東京海上、三菱電機)と、リアルタイムハザードマップ開発の分科会(東京海上、応用地質、セコム、パスコ)の2つが活動。前者は、老朽化や人材不足が課題となるインフラ維持管理の省人化を目的に、ドローンや衛星画像データ、可視光や短波長赤外のカメラなどを利用して、監視対象とするインフラ設備の状態をデータ分析により把握し、リスク評価と対策立案までをカバーする。後者では、従来の紙によるハザードマップでは防災・減災意識の醸成に限界があるとし、防災関連IoTシステムのさまざまなデータやソーシャルメディアの情報をリアルタイムに収集・蓄積して人工知能(AI)で分析する。リアルタイムな被害予測などの情報を自治体や市民、企業などに提供する。

 「対策実行」領域の分科会(日本工営、I-レジリエンス、NTTグループ、東京海上)では、災害に強いまちづくりをハードとソフトの両面から実現するための仕組みを開発する。災害関連や土地・建物、人流・物流、公共インフラなどの各種データを集約するデータプラットフォームを構築し、各種データから要因などの分析を通じてリスクを評価、災害に強い都市計画などの対策提案につなげる。

 「生活再建」領域の分科会(NTTグループ、応用地質、東京海上)では、罹(り)災者が罹災証明や損害保険を申請し、その調査と認定に長い時間を要して生活再建が遅れている問題の解決を目指す。衛星やドローンなどのデータを活用して被害調査の迅速化や省人化を図るとともに、各種申請を円滑に行うための住民や保険契約者向けのモバイルアプリによるサービスの開発、検証を行う。

 「被害軽減」領域の分科会(JR東日本、I-レジリエンス、ウェザーニューズ、河川情報センター、東京海上日動火災保険)では、国土交通省や気象庁などが公開している気象や河川などの情報と河川の流域降雨量などのデータを組み合わせて河川氾濫などを予測し、事前に避難判断が行えるよう支援するシミュレーション技術を開発する。

 これらの事業全体について東京海上日動火災保険 常務執行役員の生田目政史氏は、「災害により毎年10兆円とも20兆円とも言われる損害と多数の尊い人命が失われ、さらなる激甚化が危惧される。テクノロジーを活用してこれら4つの領域で価値を創出し、社会実装を通じて、レジリエント(復元力)に優れる社会の実現を目指すとともに、業界の垣根を越えたイノベーションを共創していきたい」と述べた。

 会見には国土交通省、内閣府、文部科学省の幹部も出席し、官民連携による防災・減災の取り組みに広がることへの期待感を表明した。

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