AMD、デスクトップPC向けCPU「Ryzen 7000」シリーズを発表–最大29%高速化
今回は「AMD、デスクトップPC向けCPU「Ryzen 7000」シリーズを発表–最大29%高速化」についてご紹介します。
関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
Advanced Micro Devices(AMD)は米国時間8月29日、デスクトップPC向けプロセッサー「Ryzen 7000」シリーズを発表した。2020年に発売した「Ryzen 5000」シリーズから最大29%の高速化をうたっている。新モデルは9月27日に発売される予定で、ゲーマーや動画編集者など、最高のパフォーマンスを求める層にはうれしいニュースだ。
最大29%の高速化は、主要なシングルタスクを実行する場合の数値だ。最上位モデルのプロセッシングコア合計16基をフルに活用するマルチタスクジョブのパフォーマンスを測定すると、高速化は49%に達すると、AMDの最高技術責任者(CTO)を務めるMark Papermaster氏は独占インタビューで説明した。同氏によると、前世代のRyzen 5000の性能に満足している場合でも、Ryzen 7000シリーズなら消費電力を62%抑えつつ旧モデルに匹敵するパフォーマンスを出せるという。
最も高価格のモデルとなる「Ryzen 9 7950X」は699ドル(約9万7000円)で、パンデミックが始まった2020年に発売した「Ryzen 9 5950X」より100ドル(約1万4000円)安い。AMDはまた、動作クロックがより低速で、新アーキテクチャー「Zen 4」を採用したプロセッシングコアの数を減らしたモデルとして、549ドル(約7万6000円)の「Ryzen 9 7900X」、399ドル(約5万5000円)の「Ryzen 7 7700X」、299ドル(約4万2000円)の「Ryzen 5 7600X」を発表した。リリースから約2年が経つRyzen 5000シリーズも、低価格帯のマシンに搭載する形で販売を継続する。
ハイエンドマシンの市場に関わるすべての人にとって、これは朗報だ。AMDはIntelから市場シェアを奪っており、新モデルはライバルのIntelにプレッシャーをかけ続けることになるだろう。また、Appleによる効率性の高いプロセッサー「M1」「M2」を搭載した「Mac」に乗り換えたいと思っている「Windows」PCユーザーの衝動を抑えることにもなるかもしれない。
「AMDは、ゲーマーやコンテンツクリエイターがまさに求めているものを提供している。つまり、高性能と低消費電力を同時に実現しているということだ」と、調査会社Moor Insights & Strategyのアナリスト、Patrick Moorhead氏は述べた。
高速化の実現には、台湾積体電路製造(TSMC)も寄与している。同社はAMDが設計したプロセッサーを、より高速で電力効率に優れた新しい5ナノメートル(nm)ラインで製造しており、このことがチップの最高クロック速度を800MHz向上させて最大5.7GHzに引き上げるのに貢献したとPapermaster氏は述べている。同様に特筆すべきはZen 4テクノロジーで、チップのティック(時間基準信号)ごとに生成できるプログラミング命令が「Zen 3」に比べて13%増加した。
ただし、より広い視点で見ると、AMDは2017年の第1世代「Zen」設計で採用した「チップレット」アプローチから恩恵を受けている。このアプローチは、複数の小さなプロセッサーの要素を1つの大きなプロセッサーにパッケージングするというものだ。
こうしたチップパッケージング技術は、プロセッサーにおける技術革新の最前線に躍り出ている。たとえば、Appleの「M1 Ultra」は、「M1 Max」チップ2基を大きなプロセッサー1基に連結している。Intelが2023年に投入する予定のプロセッサー「Meteor Lake」も、データ処理用チップレット(Intelの用語で「タイル」)を4つ搭載しており、そのうち3つをTSMCが製造する。
Ryzen 9 7950Xには、Zen 4コアを8基ずつ搭載した2つのチップレットを備え、片方はメモリーとの通信などの入出力タスクを行う。AMDは2022年中に、サーバー用プロセッサーにこうした8コア搭載チップレットの組み込みをさらに進め、データセンター顧客向けに販売していく意向だ。