AWSで世界的なクラウドインテグレーターに–クラスメソッド横田代表

今回は「AWSで世界的なクラウドインテグレーターに–クラスメソッド横田代表」についてご紹介します。

関連ワード (トップインタビュー、経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 クラウドインテグレーション事業などを手掛けるクラスメソッドは、米国で開催されたAmazon Web Services(AWS)の年次イベント「re:Invent 2022」で、AWSの「SI Partner of the Year – GLOBAL」を受賞した。AWSの構築や導入支援を行う技術パートナーの中から世界的に優れた実績を達成した企業に贈られるもので、日本企業では初めてになる。

 同社は、これまでに3000件以上の技術支援を行い、1万8000以上のAWSアカウントをサポートする。社員が技術情報を発信するブログ「DevelopersIO」では4万本近くの記事を公開しているなど、クラウドの利用拡大につなげるための長年の取り組みが評価された。代表取締役の横田聡氏に、クラウドビジネスへの取り組みなどを聞いた。

–クラウドコンピューティングがITの中でも新しい領域だった時代から取り組まれてきました。

 はい、新しいモノ好きが多いので、新しい技術が出てきたら自分たちで調べ、アウトプットとして自分たちでブログを執筆したり雑誌に記事を投稿したり本を執筆したりというように、学んでアウトプットするサイクルを繰り返してきました。それを見たお客さまからお声がけをいただいて、お客さまが解決したい課題をお聞きし、それを自分たちが持つ知見で解決することに創業以来取り組んできました。

–AWSを事業として本格的に開始したのは2013年頃だと。

 まずは自社でAWSを使い始めたのが2008年頃のことです。「これは面白いから、ビジネスとしてやってみよう」と思い立ったのが2010年頃ですね。ただ、当時はAWSのビジネスをやりたいという人がほとんどおらず、ほぼ私一人で始めてみて、そのうち1人が「社長は友だちがいないから手伝いますよ(笑)」と手を挙げてくれました。それが2010年の終わり頃でした。

 AWSの事業はゼロの状態から立ち上げて、コミュニティーなどに参加したり、ブログなどでたくさんアウトプットしたりしながら、新しい技術を学んでそれをまたアウトプットし、ご覧になったお客さまからお問い合わせをいただいて技術を支援するという、ビジネスとして立ち上がったのが2011年頃の状況です。ちょうどユーザーグループ(JAWS)が立ち上がったり、東京リージョンが開設されたりしたのも2011年でしたね。

 そうした意味では、クラウドがまだ日本で流行していない状況でした。知る人ぞ知るエンジニアの間で「これ(AWS)が良いものだから」「企業で本格的に利用するには経営者をまだ説得できないけど、広まればいいな」という状況だったと思います。

 当社としても、このタイミングは「お客さまが本番で使える」という説得力までは伴っていないものの開発環境やステージング環境ならクラウドが良いだろうという感じでした。しかし、ある段階から「本番環境もこのままで良いのではないか」とお客さまから言っていただける機会が増え、それ以降はさまざまなワークロードがクラウドを本番環境として積極的に使っていくという流れが生まれました。

–2008~2010年頃は、まだクラウドを社内向けや内々に使うだけだったのでしょうか。

 両方でした。1つは、自社の新規サービスのためにAWSの米国リージョンを使って開発していました。やはりクラウドの魅力は、ハードウェアを購入せずCPUやメモリーを選択してすぐに使えることです。

 一方で、2008~2009年頃にお客さま向けの開発基盤としてもAWSを使い始めていました。当然ながら、この時代のお客さまの本番環境はオンプレミスです。本番環境として使うことを前提にサイジングなどを設計していきますから、(ピーク処理に備えて)ハイスペックなマシンを購入することになります。ただし、減価償却などの都合もありますから、ハイスペックなマシンを開発環境には使えません。例えば、開発環境のメモリー容量が4GBでも本番環境は32GBといった具合です。これだけスペックが違うと、機能テストをできても非機能テストができないといったことがありました。

 ですから、クラウドのテスト環境は、本番環境のハイスペックマシンの性能に合わせて、同等性能の仮想マシンを調達し、そこで開発をしてステージング環境にデプロイし、お客さまにネットワーク越しに評価してもらいます。本番環境と同等であることを確認していただき、そうしてプログラムをCD-Rに焼いてお渡しするというようなことをしていましたね。ものすごくアナログなやり方ですが、2008~2010年頃はまだまだそのような状況でした。

–振り返ると、2011年の東日本大震災がクラウドに注目が集まる1つのきっかけだったように思います。

 東日本大震災の以前からクラウドを評価する声はありました。お客さまもクラウドに興味を持っていたと思います。お客さまの組織の中で技術が分かる方も、「クラウドをやりたいけど経営者を説得できる材料がなかなかない」「重要な情報があるシステムをクラウドに乗せる決断ができる経営者がほとんどいない」といった状況でした。

 ですから、まずはゲームやウェブなど機密性の高いプライバシーデータをそれほど取り扱わない業界や、ライトなフロント系システムでクラウドの利用が広まり、それから風向きが変わったと思います。

–大企業へのクラウドの普及は何がきっかけだったと思いますか。

 「Amazon Redshift」(AWSのデータウェアハウスサービス)が始まった2012年頃でしょう。従来のデータ分析基盤はオンプレミス環境に高価なマシンを何台も並べてシステムを構築していましたが、クラウドによって数クリックの操作だけで、すぐに100億レコード規模のデータ分析を始められるようになり、ここで潮目が変わりました。お客さま側も数年ごとに多額の投資をしてシステムを更改することが大変だと思っていましたから、クリック操作だけでシステムを構築できるクラウドサービスなら十分と実感されたでしょう。

 データ分析のようなシステムは、はじめから確実な効果を得られるかが分かりませんので、まずは安く早く開始できるクラウド環境の方が向いているでしょう。この時は、まだ基幹システムもクラウドで利用するという段階ではありませんでしたが、機密性のあるデータなら保護した上で各種データをクラウド側に寄せていき、データを分析するという使い方が大企業の間に広がりました。こうしてクラウドを“体験”すると、業務系システムもクラウドを利用すれば良いだろうという風潮に変わっていきました。

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