中国で進む古木・名木管理のデジタル化–テンセントがクラウド基盤でサポート
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日本では、ハイキングコースや学校の校庭、公園の園内などで、樹木の種類や年齢を記した名板が設置されている。中国では、各地域でその管理も表現もまちまちで、まだ統一されていない状態だ。近年でこそ自然保護の機運が高まり、取り組む余力も生まれてきたが、樹齢の調査は雑で同じ地域行政の担当部署でも数百年単位で表示が違うこともあるという。
中国はデジタル化が進んでいるとする報道がある一方で、古木や名木の記録管理には表計算ソフトが用いられるのが一般的だ。役所に命じられ、表計算ソフトをベースにアプリ化しただけのソリューションも多い。地域間で互換性を持たせようとしても、データに統一性がなく、更新時期の遅さや内容の不完全さなど、さまざまな問題が発生する。
公益活動を展開する藍色蔚来(自動車メーカーの上海蔚来汽車とは無関係)が、こうした問題を解決する名木地図サービス「植越」(Zhiyue)を開発した。創業者の楊仲凱氏が生まれ育った村には大きな木があったが、それがいつからあったのか分からなかったという経験が背景にある。
Zhiyueは「微信」(WeChat)で稼働するミニプログラムで、システム基盤に「Tencent Cloud」を活用している。騰訊(テンセント)が実施したコンテスト「Light技術公益創造営」で、3600の企業・団体が参加する中、最高評価を獲得したサービスの一つだ。
調べたい古木の写真を撮ると、種類・樹齢・高さ・幅・太さなどのデータが表示される。樹木には「分類」「位置」「連番」「チェック有無」「暗号化情報」などから成る32桁のIDが付与されている。同種の樹木が集中するところでも重複せず、判別できるようにした。
Tencent Cloudが提供している自然言語処理や画像認識、位置確認、データベースなどの機能を活用。画像認識と位置確認の機能を用いて、登録された樹木を正確に識別し、自然言語処理機能で情報の抽出や補足を容易にしている。微信のミニプログラムであるため、ユーザーは新たにアプリをインストールする必要がなく、利用のハードルが低い。
問題は2つあった。まずはサービスを構築しただけで、入力情報がまだ非常に少ないこと。サンプル情報として山東省の1級古木・名木のリストを登録したが、メンバーが収集・登録した情報よりも詳しいものが他にあるため、あくまでサンプルの域を出ない。加えて資金の問題である。サービスの収益化は難しく、「現在、地方政府から資金援助を得るのは非常に困難であり、中国にはそうしたテクノロジー製品の研究開発に特別の資金を提供する財団はない」という。
前述したテンセントのコンテストに参加したチームは、同社のクラウドを活用するための技術支援を受けられる。また、入賞した企業・団体には賞金が贈られるほか、トレーニングプログラムやテクニカルサポートを利用でき、投資先や提携先を探している企業とのマッチングも受けられる。
人工知能(AI)やクラウドの利用がますます活発化する中、中国でクラウド基盤を提供する企業はテンセントだけではない。阿里巴巴(アリババ)や華為技術(ファーウェイ)、百度(バイドゥ)といった競合と激しく争っており、クリエイティブなサービスを自社に呼び込めるならテンセントにとっても良い話だ。
藍色蔚来は、今後3~5年以内に山東省の他都市と国内の一部都市にカバー範囲を広げるとともに、古木・名木の文化財・文化遺産としての社会的価値を高め、教育にも活用するよう働きかけたいとしている。