中国で知る人ぞ知る雑用代行サービス「UUパオトゥイ」が好評な理由

今回は「中国で知る人ぞ知る雑用代行サービス「UUパオトゥイ」が好評な理由」についてご紹介します。

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 企業などに所属せず、単発で仕事を請け負う働き方として「ギグエコノミー」という言葉があるが、そうした新たな労働市場を活用する代表的な中国企業がフードデリバリー大手の「美団」(メイトゥアン)である。同社の制服を着た配達員が街中を行き交っており、多くの都市で認知されている。これに続くのが、阿里巴巴(アリババ)の「餓了麼」(ウーラマ)である。両社のサービスがあれば生活に困ることはないが、それでもカバーしきれないケースがある。そうしたニーズに対応するのが、河南省鄭州市で2014年に設立された「UU跑腿」(UUパオトゥイ)で、クラウドソーシングを活用して日々の雑用を代行依頼できるサービスになる。

 UUパオトゥイで実際にギグワーカーとして働く人の体験談によると、「店の順番待ちを代行して、購入した商品を家まで届ける」「教師に感謝する日に、学生の代わりにプレゼントを渡しに行く」「娘の働く会社に行って、働きすぎないようねぎらい差し入れをする」「高齢者が夜中に広場でダンスを踊っており、その音量が大きすぎるので、近隣住人の代わりにスピーカーを回収する」などさまざまだ。

 上記に挙げた目を疑うような依頼だけでなく、メイトゥアンやウーラマが対応していない地域で食材を配達するという普通のものもある。しかし、消費者からの依頼件数は、定番のフードデリバリーと比べると少ない。それで労働者がやっていけるのかといえば、登録者の多くが副業として空いた時間に依頼を受けており、他のデリバリーサービスで働く人より月収は高い。年齢は30代が多いという。

 労働者は登録時に預かり金として500元(約1万円)と制服一式で380元(約7600円)を支払い、毎月300元(約6000円)で電動二輪車をレンタルする。電動二輪車のバッテリーは減ってきたら専用のスタンドで交換できる。さまざまな依頼があるため、配達物を受け取った時には写真を送り、場合によっては依頼主とメッセンジャー機能などで積極的にやりとりする。運営会社によるサポートの一環として、鄭州市では週に2度の講習があり、依頼主の否定的な反応に対処するコミュニケーション術などのスキルアップを目指す。

 6月末には、高齢者や障がい者の支援のために労働者を派遣するバリアフリーサポートサービスが追加された。これまでにも、「足を捻挫したので、ゴミ捨てを手伝ってほしい」「目が見えないので、買い物に付き添ってほしい」「耳が遠いので、病院で聞こえるように大きな声で話してほしい」といった依頼が多くあり、それに応えようというのと、中国政府が高齢者/障がい者の支援を強化する方針(9月施行の「中国バリアフリー環境建設法」)を示したことが背景にある。

 ある地方都市で一人暮らしの若い女性は、ある日体調不良で動けなくなってしまい、UUパオトゥイのバリアフリーサポートサービスを依頼した。しばらくすると女性の担当者が迎えに来て、通院などに付き添ってくれたという。また、足の不自由な高齢男性は食料品の購入や医療機関の受診に苦労していたが、同サービスを利用して日常生活の負担を軽減させている。男性は身体的な負担の軽減だけではなく、人が付き添ってくれる気持ちに心が温かくなるとコメントしている。同サービスは提供が始まってから約2カ月で1万件弱の注文があり、公共福祉プロジェクトとしてプラットフォーム側で手数料を徴収せず、全額が労働者に支払われるようになっている。

 UUパオトゥイがロングテールを狙ったデリバリーサービスとして生き残っているのは、ユーザーエクスペリエンス(UX)の高さにある、と最高経営責任者(CEO)の喬松涛氏は中国メディアに語っている。メイトゥアンや「滴滴」(ディディ)は紅包(ホンバオ)と呼ばれるクーポンを配ることで、多くのユーザーを抱え込んだ。しかし、同社はそうした施策を行わなかった。

 ギグエコノミー市場で競争激化や供給過多になれば、価格の値崩れや仕事の奪い合いが起こり、労働者が離反してしまう。それを防ぐため、UUパオトゥイは労働者の教育と需給管理を徹底している。依頼者に喜んでもらうことで、サービス提供者としての誇りと帰属意識が高まる。その好循環により、快適な労働環境と提供能力の向上を図っているという。

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