NTTデータ、AIエージェントで業務の抜本的な改革–第1弾は営業活動を支援
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NTTデータグループは10月24日、生成AIビジネスの取り組みに関する説明会を開催した。併せて、同日に発表されたGitHubとのビジネス連携や、法人営業向けAIエージェント「LITRON Sales」の提供に関する説明があった。
NTTデータグループでは、AIを活用して顧客とNTTデータのビジネス変革を推進している。同社は、生成AIの活用を加速させる組織として2023年に「Generative AI推進室(Global Generative AI Office)」を設立し、2024年4月には国内の生成AIビジネスを推進する「GenAIビジネス推進室」を立ち上げた。同社は、労働集約型の働き方からAIドリブンな働き方への改革を推し進め、労働人口の減少による人手不足や地方の過疎化など、さまざまな社会問題に対応できるように取り組んでいる。
AI活用を促進するために同社では「NTTデータのビジネス改革」「お客さまのビジネス変革」「AIガバナンス」の3つに取り組む。NTTデータでは、ソフトウェア開発への生成AI活用を全工程でカバーし、案件の特性に応じてアセットを適用することで、抜本的な生産性の向上を実現しているという。既にソフトウェア開発における生成AIの適用事例は250件を超えており、同社が独自開発したコード生成・変換アセット「Codig」やAIテストプラットフォーム「Bimac」を活用して生産性向上につなげている。
ソフトウェア開発は「プロジェクト管理」「要件定義/設計」「コーディング/テスト」「保守運用」で構成されているが、同社はライフサイクル全体に生成AIを適用することで、2025年度に50%、2027年度には70%の生産性向上を目指すという。
また、生成AIの活用を推し進めるために、NTTデータでは全世界の社員約20万人を対象に生成AIの人材育成フレームワークを整備。2024年度末までに生成AI活用を実際にプロジェクトで使える人材を1万5000人に増やし、2026年度末には3万人まで増やすことを目標にしている。
同日に発表されたGitHubとの業務提携については「主に製造やテストの工程に関する効率を上げることを目的にしている」とNTTデータグループ グローバルイノベーション本部 Generative AI推進室 室長の本橋賢二氏は説明する。
NTTデータでは既に2000ユーザーが「GitHub Copilot」を活用し、70プロジェクトでコーディングやテストなどの工数を要する領域で利用している。今回の提携を機に、同社では2025年度までに5000ユーザーがGitHub Copilotを利用する予定だ。また、最新情報の入手によるさらなる生産性向上や安全な利用環境の構築、人材育成、共同での市場進出戦略(Go To Market)の策定をするとしている。
顧客のビジネス変革への取り組みとしては、「先進企業との共創」「生成AIのコンサル・サービス・アセットの拡充」「業務特化型生成AIの提供」――の3つの戦略に基づいて展開している。
NTTデータでは、オープンとクローズドな生成AIのハイブリッドな活用をエンドツーエンドでサポートする。本橋氏は、「生成AIの活用はクラウドと同じようになるのではないか」と考えを述べる。機密性の低いデータやシステムをパブリッククラウドに上げて活用する一方、データを外に出せない顧客がプライベートクラウドやオンプレミスなどを利用しているのと同様に、「OpenAI」や「Claude3」などの大規模言語モデル(LLM)を用いたオープンな生成AIと小規模言語モデル(SLM)を用いるクローズドな生成AIがある。
クローズドな生成AIでは、例えばNTTが開発した「tsuzumi」を活用して顧客の専用環境を構築するなど、NTTデータでは各社に適したインフラからオープン/クローズドなAIモデル、学習データ、さまざまな産業のアプリケーションまで対応できるとしている。
続いて、国内市場向けの生成AIビジネスについて、NTTデータ テクノロジーコンサルティング&ソリューション事業推進部 GenAIビジネス推進室 室長の奥田良治氏が説明した。
NTTデータは、パーソナルなAIエージェントが複数のAIと連携する「SmartAgent」を提唱し、自律的なAIによる業務の抜本的な改革を目指している。SmartAgent は、自律的なタスク組立と特化エージェント/デジタルワーカーへのタスク割り振りをする「パーソナルエージェント」、専門知識を持ってタスクを検討する「特化エージェント」、単純・定型タスクを実施する「デジタルワーカー」の3つのAIが協調し、コミュニケーションを図るという構成だ。
SmartAgentにおける取り組み事例として、パーソナルエージェントとデジタルワーカーを活用した住友生命の事例を紹介した。住友生命では、「デジタル従業員」が見込み顧客に向けて個別最適化された商品加入案内メールを自律的に送付することに成功したという。
また、SmartAgentの実現に向けた取り組みの一環として、2024年7月30日に「LITRON Multi Agent Simulation」(LITRON)を開発した。同サービスは、生成AIに個別のペルソナを設定し、生成AI同士がコミュニケーションをしながら新製品のアイデア出しやマーケティング戦略の立案支援を実施できる。