中国で2024年に起きたハイテク事件を振り返る

今回は「中国で2024年に起きたハイテク事件を振り返る」についてご紹介します。

関連ワード (中国ビジネス四方山話、開発等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 AIを使って親族の顔や声を模倣する手口が2024年に入って急増している。3年前には予測されていた程度の話だった。特に、中国人犯罪者が多く滞在すると言われている東南アジアからのAI詐欺の件数は2023年の10倍に達している。AIで作成された顔や声の動画は精度が高く、中国で行われた実験では回答者の60%がAIだと見抜けなかったという結果も出ている。

 このような「AIオレオレ詐欺」に対して、警察は注意喚起を強化している。SNSでの動画配信や貼り紙を通じて、息子を装った詐欺師が高齢者に金銭を振り込ませる手口や、AIで父親の顔を模倣した詐欺師が子供を誘拐する手口などを紹介している。また、阿里巴巴(アリババ)の元最高経営責任者(CEO)である馬雲(ジャック・マー)氏の弟子を名乗る人物が、AIで作った同氏の偽物で顧客を信用させ、商品を販売するケースも報告されている。

 それでもなお、高齢者は疑うことなく突然の依頼に応じてしまい、被害は減少していない。

 中国で新製品を大ヒットさせるために、各SNSに大量の記事や動画を投稿して知名度を上げる手法が使われている。本来は「キーオピニオンリーダー」(KOL)と呼ばれるインフルエンサーが正確な商品情報を発信するのが基本だが、生成AIを利用して無数の記事や動画を作成し、うわさを捏造する企業が現れている。

 山東省では、公安がデマの捏造を調査したところ、メディア企業が約10万件のブロガーアカウントを購入し、そこから生成AIを使ってテキストや写真、動画のデマを配信していた。その数は合計で300万件を超えているという。

 一つのメディアで見た情報を他のメディアでも目にすると信ぴょう性が高まる。生成AIによって高度な情報戦が安価に行えるようになっている。

 中国には、大疆創新科技(DJI)をはじめとする多くのドローン企業があり、ドローンショーの実施や、安全点検、警察や消防など多岐にわたって活躍している。既に多くの分野で導入されているため、それに伴うさまざまなトラブルも発生している。

 例えば、個人用ドローンでは、タワーマンションの窓越しに撮影を続けたり、撮影禁止の場所を撮影したり、空港周辺の飛行禁止区域を飛行したりするトラブルがある。また、飛行禁止区域に設定された電子フェンスシステムをハッキングしてドローンを飛ばすトラブルも発生している。

 2024年によく見られたのは農業用ドローンのトラブルだ。ドローンによって農作業が効率化される一方で、強風によって農薬や除草剤が近隣の農園に飛散し、甚大な被害を与える問題が発生している。これにより、幾つもの裁判が起きており、裁判の判決は原告の請求を認めるものだった。中国メディアの記事では、ドローンを運用する際には風速や風向、その他の気象条件に細心の注意を払うことが重要だと指摘している。また、被害に遭遇した場合は、できるだけ早く写真や動画を撮影して証拠を保管し、必要に応じて裁判を起こす必要があると指摘している。

 近年、中国の病院はスマート化が進み、インターネットで診療予約ができる病院が増えている。これにより、病院で長時間待つ手間が省けるようになったが、予約枠を素早く確保し、それを日本円に換算して数千~数万円で販売する業者が現れた。これらの業者の一部は逮捕されている。

 こうした業者は中国全土に存在するが、北京市公安局はそのうちの一つのグループを摘発した。容疑者の自宅には200台以上のスマートフォンが並べられ、画面には主要な病院の予約ページが表示されていた。これらのスマートフォンで予約ボタンを連打し、自動で人気の医者の予約枠を確保していた。

 容疑者によると、端末は全て中古で調達され、診療予約のみに使用されていた。2024年は10万元(約210万円)以上の利益を得たという。

 スマートフォンのシェアバッテリーの盗難事件が多発しており、無料でシェアバッテリーを手に入れる手口を解説した手引書がECサイトなどで販売された。サービスアプリからバッテリーを借りて、返却したのに返却扱いにならないとカスタマーセンターに虚偽の報告をするという簡単なものだ。しかし、盗んだバッテリーを使うには専用の充電機器が必要なため、手引書にはその改造方法や通信機器の対策も記載されている。

 ユーザーはシェアバッテリーを借りる際に実名登録を行い、個人情報や利用履歴がプラットフォームに記録される。異常な行動が複数回確認された場合、プラットフォームはデータを解析して不審な行動を検出し、警察に通報することもある。また、シェアバッテリーの盗難に直接関与しないマニュアル販売者や改造業者も法的に罰せられる可能性があると警告されている。

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