HPEの宇宙用エッジコンピューター「SBC-2」、ISSで24件の実験を完了

今回は「HPEの宇宙用エッジコンピューター「SBC-2」、ISSで24件の実験を完了」についてご紹介します。

関連ワード (経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 Hewlett Packard Enterprise(HPE)は米国時間4月4日、同社の宇宙用商用エッジコンピューティングシステム「Spaceborne Computer-2(SBC-2)」が、国際宇宙ステーション(ISS)に設置されてから1年弱で、24件の実験を完了したと発表した。SBC-2を使った実験として、宇宙飛行士のグローブの検査や、宇宙空間での3Dプリンティングにつながる技術の検証、人工知能(AI)を使用した地球の衛星画像の分析などが行われたという。

 これらの実験は、宇宙に置かれた先進的なコンピューティングシステムが、地球に送り返すことなくデータを分析するのに有効であることを示している。宇宙の厳しい環境にも耐えることができ、大規模なリアルタイムデータ処理を行う能力を持つ強力なAIシステムを構築すれば、宇宙飛行士が月や火星、あるいはさらにその先に向かう際に、自力でできることが増えることになる。

 SBC-2の研究責任者であるMark Fernandez博士は発表の中で、この実験が「宇宙探査の新しい可能性を示し、人類のマイルストーンとなった」と述べた。

 SBC-2が宇宙に打ち上げられたのは、ISSに設置された先代モデル「HPE Spaceborne Computer」が概念実証ミッションを成功裏に終えたあとの2021年2月のことだ。これらのシステムは、放射線、太陽フレア、微小隕石、不安定な電力、不規則な冷却などの宇宙空間の過酷な物理条件に耐えられるように設計されている。

 SB-2を使って行われた実験の1つでは、米航空宇宙局(NASA)とMicrosoftが、宇宙飛行士のグローブの損傷を検出するグローブ分析AIモデルを開発した。宇宙飛行士は、ISS内を移動して機器を修理したり、新しい機器を取り付けたりすることもよくあり、グローブに傷などがあれば安全に関わるという。この実験ではAIモデルを用いて、最近着用したグローブの写真や動画を分析した。損傷が検出されると、AIで注釈を付け、NASAのエンジニアが検討すべき箇所を分かりやすくした写真が宇宙側で生成され、ただちに地球に送信された。

 また、3Dプリンティングに関する実験も行われた。3Dプリンティングは、宇宙飛行士が長旅で使用する機器の修理や、新しい機器の製作に役立つ可能性がある。コーネル大学の研究グループは、金属部品の3Dプリンティングをシミュレートでき、宇宙の過酷な条件下で起こる可能性がある故障や変形まで予測できるモデリングソフトウェアを開発し、宇宙空間でも使用できるかどうかを検証した。

 一方、NASAのジェット推進研究所(JPL)は、SBC-2を用いて、災害発生後の地球の画像を解析するために設計された深層学習推論ネットワークのテストを行った。JPLは宇宙から地球を観測し、科学や気候の研究を行うとともに、洪水やハリケーンなどの災害が発生した際の災害対応を支援している。将来、宇宙空間で衛星画像を分析できるようになれば、素早い支援につながる可能性がある。

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