「Raspberry Pi Pico W」レビュー–Wi-Fi接続機能が搭載された小型ボード

今回は「「Raspberry Pi Pico W」レビュー–Wi-Fi接続機能が搭載された小型ボード」についてご紹介します。

関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 Raspberry Pi Foundationのマイクロコントローラー「RP2040」は、性能と柔軟性のバランスがとれた興味深いチップだ。これまで既製のプロセッサーを使用していた同財団が、初めて独自に開発したシステムオンチップ(SoC)デバイスでもある。

 RP2040は、133MHzのデュアルコア「ARM Cortex-M0」と264KBのオンチップRAMを搭載する。ハードウェアに組み込めるように設計されていて、各チップに26本のGPIOピンがあり、8つのプログラマブルI/Oステートマシンなど、追加のコントローラーハードウェアを多数備えている。

 RP2040は、購入した顧客が自分のデバイスに組み込めるようになっているほか(筆者は4×4のLEDバックライトキーボードとカスタマイズ可能な電子ペーパーバッジに使っている)、Raspberry Pi Foundation独自の「Raspberry Pi Pico」ボードにも使用されている。Picoはメーカーやその他のハードウェア愛好家向けの低価格デバイスだ。RP2040に加えて、コードとファームウェア用に2MBのフラッシュストレージも搭載している。21mm×51mmの回路基板であり、40ピンをブレッドボード用のヘッダーピンに取り付けたり、センサーやアクチュエーターに直接接続したりすることができる。

 Raspberry Pi Foundationは先頃、Picoの新バージョンを2つ発表し、2022年中に3つ目の発売を予定している。「Raspberry Pi Pico H」は、ヘッダーピンがはんだ付けされており、プロトタイピングや実験での使用を想定したモデルだ。一方、「Raspberry Pi Pico W」は、Wi-Fi機能を内蔵し、単体で接続アプリケーションに使用できる。最終的にはこれらが融合し、Pico Wにヘッダーを追加した「Raspberry Pi Pico WH」が登場する予定だ。初代のPicoと同様に、Pico Wも商用プロジェクトでの使用向けに一括購入することができる。

 Pico Wは大きな変化であり、2.4GHzの802.11b/g/n Wi-Fiチップセットとオンボードアンテナが追加された。これらはすべてデバイスのフォームファクターを変更することなく追加されているため、既存のプロジェクトで使っている標準のPicoをPico Wに交換することができる。標準のPicoと同じく、電源と基本的な接続にはMicro-USBポートを使用するが、ボードのピンを使用してデバイスに給電することもできるので、ケースに配線して、バッテリーを代替電源として使用することも可能だ。

 Pico WにWi-Fiを追加するために搭載されたチップであるInfineonの「CYW43439」は、BluetoothとBluetooth Low Energy(LE)もサポートする。今回の最初のモデルはWi-Fiのみをサポートするが、Raspberry Pi Foundationは、将来的にBluetoothサポートを追加する可能性があるとしている。現在、ワイヤレススタックはlwIP TCP/IP実装をベースとしており、「libcyw43」を使用してワイヤレスハードウェアを制御する。libcyw43は、通常は非商用だが、Raspberry Pi Foundationは利便性を高めるため、無料の商用利用ライセンスについて交渉した。そのため、引き続きPico Wを使用して商用ハードウェアを構築することも、RP2040とCYW43439をベースに独自のボードを構築することもできる。

 ワイヤレスサポートの追加以外にも、Wと標準のPicoにはいくつか小さな違いがある。最も明白な違いは、オンボードLEDがRP2040のGPIOピンに接続されなくなり、Wi-Fiチップ自体のGPIOを通して機能するようになった点だ。オンボードLEDを「C」や「MicroPython」でインジケーターとして使用していた場合は、新しいハードウェアオプションを利用できるようにコードを変更する必要がある。

 そのため、Raspberry Pi FoundationはMicroPythonのビルドをフォークしている。ファームウェアのビルドが分かれているため、必ずPico W向けの適切なバージョンをインストールしよう。Picoには2つの開発モデルが提供されている。Cを使用してユーザー独自のコードをファームウェアにバンドルする方法と、Raspberry Pi Foundation独自のファームウェア(MicroPythonで設定され、必要なモジュールの大半を搭載)を使用する方法だ。

 Pico W向けの開発には、デスクトップPCや「Mac」を使用することもできるし、Raspberry Piから接続することもできる。筆者は「Windows」PCのUSB接続を使用した。まずPico WのBOOTSELボタンを押してダウンロードモードに入り、Raspberry PiのファームウェアをPico Wのストレージにドロップしてインストールした。インストールが完了すると、Picoは自動的に再起動し、USBポートを開発用PCやPiへのシリアル接続として使用する。

COMMENTS


Recommended

TITLE
CATEGORY
DATE
「サイバーパンク2077」PS Storeで販売再開も「PS4でのプレイは推奨せず」 PS5版への無料アップグレードも用意
ネットトピック
2021-06-23 02:15
jQuery 3.7.0リリース。チェーン可能な新メソッドuniqueSort、単位なしのCSSプロパティなど追加
JavaScript
2023-05-18 14:06
グーグル・クラウドが支援するスタートアップ–資金や技術、事業面を評価
IT関連
2022-07-15 03:06
レノボ、コロナ後を見据えたテレワーク常態化のための小冊子を発刊
IT関連
2021-07-01 16:51
16歳が作ったバーチャル学習ツール「Hours」を高校生向け学習コミュニティのFiveableが買収
EdTech
2021-05-14 04:37
重いウェブサイトで訪問者離反と機会損失–Contentsquare報告書
IT関連
2023-02-23 11:18
Metaのチーフサイエンティストが語る、機械学習の最前線(前編)
IT関連
2022-04-23 14:06
「最新セキュリティの理解は顧客が進んでいる」–チェック・ポイントの青葉社長
IT関連
2022-09-21 11:43
女性起業家を支援するデル幹部に聞く–「“女性”起業家」と言われなくなる日
IT関連
2023-09-13 06:57
セキュリティインシデントの対応支援が崩壊の危機–ラックが打開に向け新方針
IT関連
2023-02-08 09:18
ソフトバンク、女性管理職を2035年度までに3倍に 委員会を発足
キャリア・しごと
2021-06-23 15:40
グーグル、「Workspace」の無償版「Essentials Starter」提供開始
IT関連
2022-02-05 17:26
Googleマップがダークモードに対応 Androidの新機能で
企業・業界動向
2021-02-25 15:32
NASAがISSで月基地建設用3Dプリンターの実証機をテスト、微小重力・月の土で必要な強度が出るか確認
宇宙
2021-08-17 03:01