台湾のTeamT5が日本に本格進出–北東アジアのサイバー脅威に強み
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セキュリティ脅威インテリジェンスを手掛ける台湾のTeamT5は9月14日、複数の日本企業からシリーズAでの資金調達を完了し、日本市場へ本格進出すると発表した。同社は北東アジア地域におけるサイバー脅威に強みがあり、日台連携によるサイバー防衛に貢献したいと表明した。
同日の記者会見に登壇した創立者でCEO(最高経営責任者)を務める蔡松廷氏は、「ロシアのウクライナへの軍事侵攻や中国の台湾に対する圧力をはじめとする地政学的リスクが高まり、サイバーを駆使する新たな冷戦時代が到来している。台湾は20年前からサイバーの脅威に晒されており、現在は日本も台湾と並んで、その最前線で対抗しなければならなくなっている」と述べた。
蔡氏は、20年以上の業界経験があり、台湾行政府のサイバーセキュリティ顧問を務めるほか、2021年まで台湾におけるセキュリティ技術者の競技会「HITCOM」のディレクターも務めるなど、台湾のサイバーセキュリティ業界を代表する1人でもある。
蔡氏によれば、同社は10年以上に渡って北東アジアで暗躍するサイバー攻撃組織の監視、分析、研究を手掛け、500件以上の重大インシデントに対応してきたという。そうしたサイバー脅威に関する高度な知見やノウハウ、分析力に基づくインテリジェンスを顧客組織に提供するほか、製品・ソリューションとして攻撃活動の痕跡を検知、分析する脅威ハンティングプラットフォームの「Threat Sonar」、脅威監視・分析プラットフォームの「Threat Vison」を展開する。また、これらのリソースを提供するプロフェッショナルサービスやトレーニングサービスなども提供している。
日本への本格進出に際しては、ジャフコ グループが中心となり、同社と伊藤忠商事、マクニカが支援を行っている。これを受けて同社は、日本法人の「TeamT5 株式会社」を都内に設立。営業活動だけでなく日本で脅威分析を担当する10人程度の専門家チームも組成して、日本での事業を本格展開させていくことにしている。蔡氏によると、本拠の台北では120人以上の専門家が脅威分析を担当しており、中国や北朝鮮、ロシアなどの国家的な支援を受けていると見られる100以上の攻撃組織を常時監視しているという。
同社の本格進出についてジャフコ グループ ビジネスデベロップメント部門 東京プリンシパルの古谷直弘氏は、「北東アジアで地政学的リスクが顕在化しているため、この地域における高度なサイバー脅威への知見に優れたTeamT5に期待している」とコメント。伊藤忠商事 情報産業ビジネス部 IT ビジネス第一課長の土川哲平氏は、「経営や情報システムを取り巻く環境が変化してぜい弱な状態が生じており、地政学的リスクの高まりも受けてサイバーセキュリティの重要性をこれまで以上に認識している。TeamT5はこの地域における知見と世界に通用する技術を有していると感じている」と述べた。
また、マクニカは今回の進出以前から日本の販売代理店としてTeamT5のソリューションを取り扱ってきたといい、ネットワークスカンパニー バイスプレジデントの星野喬氏は、「これまで共同の脅威レポートを作成、発表するなど連携してきた。当社は数多くのセキュリティソリューションを扱い、インテリジェンスの重要性を強く認識している、TeamT5とより一層取り組みを深め、日本のセキュリティに貢献したい」と話した。
今後の日本での事業戦略について蔡氏は、(1)営業および脅威分析者の人材採用、(2)新規パートナーや顧客の開拓と日本に密着した顧客サポートの強化、(3)テクノロジーとソリューションの提供――を挙げ、今後2年以内に50以上の大手顧客を獲得したいとした。