第2回:ゼロトラストセキュリティとSASE

今回は「第2回:ゼロトラストセキュリティとSASE」についてご紹介します。

関連ワード (セキュリティサービスエッジ(SSE)とは何か、特集・解説等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 サイバーセキュリティに関連して、「ゼロトラスト」という言葉を耳にすることが多くなった。言葉自体は2010年にForrester Researchによって提唱されたものであるが、ここ数年でゼロトラストの考え方が重要視されるようになった。ゼロトラストとは、「一切を信頼せず、都度確認する」という考え方で、その対象はユーザー、デバイス、アプリケーション、ネットワークなどと幅広い。

 従来の認証は、主にユーザーにひも付いており、ユーザーIDとパスワードの組み合わせで企業ネットワークに入ることができた。しかし、ゼロトラストではユーザーだけでなく、デバイスやアプリケーション、ネットワークまで認証を行う。ユーザーのログインには多要素認証が使われ、デバイスもマルウェアに感染していないか、OSやソフトウェアは最新のセキュリティパッチが適用されているかといったことも確認する。

 アプリケーションの確認では、ユーザー本人の正当な業務に必要なアクセスであるかを確認し、ネットワークでは、例えば、物理的に離れた場所から短時間にアクセスしてきていないかなどを確認する。これらを確認した上で、ようやくユーザーは目的のアプリケーションにログインできる。ログインできる先が、目的のアプリケーションであり、社内ネットワークではないことが重要である。社内ネットワークにログインできてしまうと、同じネットワーク上にある、どのアプリケーションにもアクセスができてしまうため、ゼロトラストのアクセスとは言えない。

 また、ログインした際にユーザーには最小権限のみを付与することもゼロトラストの特徴だ。マルウェアが巧妙化しており、フィッシングメールなどにより企業ネットワークに侵入したマルウェアは、攻撃者の指示により水平移動(ラテラルムーブメント)を繰り返し、認証基盤の「Active Directory」を目指す。そこでマルウェア自身の権限を昇格し、重要な情報にアクセスする。最近のランサムウェアは、情報を盗んだ上で、データの暗号化を行うケースもある。

 ゼロトラストに基づくセキュリティ対策が実施されている環境では、まずマルウェアの水平移動が抑制される。正規のユーザーやアプリケーションなどとひも付かないアクセスが制限されるためだ。そして、たとえ水平移動ができたとしても、最小権限のみが付与されているため、Active Directoryにもアクセスできない。ゼロトラストは、このように複数の環境の変化に対応できるセキュリティの考え方となっている。

 このゼロトラストを実現するセキュリティ対策の考え方が、ガートナーが言及している「SASE」である。SASEは「Secure Access Service Edge」の略で、「サッシー」と発音される。ガートナーはSASEを次のように定義している。

ガートナー出典・免責事項
Smarter with Gartner, “ガートナーの「クラウド・セキュリティのハイプ・サイクル:2021年」に登場した4つの必須テクノロジ”,2021年11月1日。GARTNERは、Gartner Inc.または関連会社の米国およびその他の国における登録商標およびサービスマークであり、同社の許可に基づいて使用しています。All rights reserved.

 SASEは、ネットワークやセキュリティを専門とするベンダーやメディアから注目を集めている。SASEのフレームワークの主な原理は、「データセンターに焦点を当てたセキュリティやネットワークアーキテクチャーがもはや有効でなくなった」という考え方であり、その点が最も説得力を持つ要素となっている。

 特に、新型コロナウイルス感染症が大流行して以降は、PCやスマートフォンといった業務用端末が企業ネットワークの外に出た。これまでは、インターネットとの境界が企業ネットワークのゲートウェイだったものの、業務用端末そのものとなった。その他にもクラウド化によって、リモートワークやオフィス勤務にかかわらず、インターネット経由でクラウドサービスにアクセスし、業務を行うケースが増えた。SASEの導入により、こうした業務用端末にゼロトラストのセキュリティ対策を適用できる。

COMMENTS


Recommended

TITLE
CATEGORY
DATE
グローバル戦略を推進する人事システムの狙い–小野薬品工業の導入プロジェクト
IT関連
2024-06-27 08:11
auカブコム証券、開発環境の構築作業を自動化–迅速な機能開発が可能に
IT関連
2024-11-28 00:40
DXにおけるチェンジマネジメントの要点–コッターの8段階に沿ったDXの壁の乗り越え方
IT関連
2021-08-18 00:41
SCSKとJDSC、製造業向けAIサプライチェーン管理データ基盤を提供
IT関連
2025-03-22 00:11
ベゾスCEO最後の株主年次書簡で「プライム会員2億人超」「従業員をロボット扱いなどしていない」
企業・業界動向
2021-04-17 05:23
若手研究者と共同創業するHERO Impact Capitalが1号ファンドを組成し投資活動開始、ファンド規模は30億円
IT関連
2022-02-26 21:26
ニトリ、自社ECにAI活用の商品マスター採用–情報の自動取得で作業負担軽減へ
IT関連
2024-01-13 15:32
マイクロソフトが提唱する次世代エンドポイントの使い所
IT関連
2022-09-15 16:53
イノベーション文化の創出はテクノロジーではなく「人」から
IT関連
2023-07-04 19:33
Twitterがインド当局のさらなる警告を受け500以上のアカウントを停止
ネットサービス
2021-02-12 12:04
サントリービール、AI活用の異常予兆検知システム導入–現場担当者が設定可能
IT関連
2022-02-26 00:57
NEC、新周波数チャネルとVLAN対応のプライベートLTEシステムを発売
IT関連
2021-05-07 05:09
BLEスキャンでバスの混雑度を計測 専用サイトにリアルタイム表示 ナビタイムが実験
企業・業界動向
2021-01-13 15:58
「invoiceAgent AI OCR」、LINEのAI OCRと連携–インボイス制度対応を支援
IT関連
2022-06-21 16:47