「互助の精神で乗り越える」–SAPジャパンらが進める、女性のデジタル人材育成
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MAIA、SAPジャパン、グラミン日本は10月11日、記者発表会を開催し、連携組織「でじたる女子活躍推進コンソーシアム」の活動成果を報告した。2022年5月に発足した同組織は、日本経済の活性化に向けて、女性のデジタル教育や就労支援を行っている。
でじたる女子活躍推進コンソーシアムでは、シングルマザーの支援団体や全国の自治体、構造改革中の企業から人材を集め、学習費用を融資しながら、SAP製品のスキルや金融知識などについて教育する(図1)。そして、SAPジャパンが自社のパートナーや顧客に呼びかけ、雇用を生み出している。今後は、ITシステムを活用して受講者のスキルや成長プロセスを可視化することを目指しているという。
でじたる女子活躍推進コンソーシアムでは、複数の受講者が一つの業務をシェアして組織の担当者が伴走支援する「ワークシェアリング型OJT」という形で業務を請け負っている。MAIAはもともと女性のデジタル教育や就労支援の事業を行っているが、従来の雇用では企業側が即戦力を求めているため、せっかく人材を育成しても採用に至らないケースが数多く存在するという。
日本における女性を取り巻く現状について、代表取締役の月田有香氏は「2021年度のジェンダーギャップ指数は156カ国中120位であり、家事や育児、介護の負担は女性に偏りやすい。さらに、地方の男女格差はより深刻な傾向にある。コロナ禍では解雇や労働時間の減少が見られ、解雇後に再就職できた割合は男性より低い」と「働き方」「地方」「コロナ禍」の観点で指摘。こうした現状から「時間や場所を問わず仕事ができ、高単価で働ける環境の創出が必要」と同氏は説明した。
でじたる女子活躍推進コンソーシアムにおいてMAIAは受講者の教育を担当し、約3カ月半にわたって、eラーニングによる学習機会の提供、ビジネスチャットツール「Slack」上で受講者同士がサポートし合えるコミュニティーの設置、認定資格の提供、就労案件の紹介などを行う。eラーニングでの学習や資格取得のための勉強を行う際は、専任のサポーターにいつでも相談できる体制を取っている。
SAPジャパンは、パートナーや顧客など就労機会を提供する企業のエコシステム構築・拡大、ニーズの高い業務領域の把握、人材の活躍を促すプラットフォームの提供を担う。
低金利・無担保で少額融資を行う機関・グラミン銀行の日本法人であるグラミン日本は、PCの購入や研修の受講に必要なお金を賄えるよう、1人当たり上限50万円を金利6%・無担保で融資。また、金融リテラシーや起業のノウハウに関する教育プログラムも提供している。
同組織への参画の背景について、SAPジャパン 常務執行役員 チーフ・トランスフォーメーション・オフィサーの大我猛氏は「女性の就労機会の拡大や所得向上の機会は、人材の需要と供給にギャップが見られるところにあり、国内のSAP人材の需要と供給には大きなギャップがある。人材供給は年平均27%増加しているが、それ以上に需要がある。ここに女性の活躍支援を結びつけられるのではないかと思い、活動している」と述べた。
でじたる女子活躍推進コンソーシアムでは、デジタルプログラムの修了者を中間就労/直雇用/業務委託する「タレント採用パートナー」、人材育成の対象となる女性に受講を呼びかける「アウトリーチパートナー」を募集している。タレント採用パートナーにはアビームコンサルティング、RPAテクノロジーズ、EY Japan、SCSK、ソフトバンクら、アウトリーチパートナーには糸満市、愛媛県、鹿児島市らが名を連ねる。
アビームコンサルティング 執行役員 プリンシパル CWO(Chief Workstyle Innovation Officer)の岩井かおり氏は「当社は“社会変革アクセラレーター”として、本業であるコンサルティングサービスを通してクライアントのサステナブルな企業価値の創出を支援するとともに、企業活動を通して社会貢献や社会課題を解決する人材の輩出を行っている。この実現には共創が必須であり、当社だけで創出できる価値は限定されている」とタレント採用パートナーとして参画する意義について語った。