SOMPOのクラウドCoEが挑む、グループを挙げたクラウド推進の道程–前編

今回は「SOMPOのクラウドCoEが挑む、グループを挙げたクラウド推進の道程–前編」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 SOMPOホールディングスは、グループを挙げたクラウド活用を推進する「クラウド・センター・オブ・エクセレンス」(クラウドCoE)を2021年4月に立ち上げ、ガバナンスと人材、ナレッジの観点から取り組みを進めている。まずは3カ年という活動期間の半ばを迎えた同チームの土屋敏行氏(IT企画部 企画グループ クラウドアーキテクト)、安岡義矩氏(同企画グループ 課長代理)、神庭豊氏(同ITガバナンスリードユニット 課長代理)に、現在までの成果などを聞いた。前編では、クラウドCoE誕生の経緯や3つの主要機能の1つとなる「ガバナンス」について紹介する。

 SOMPOグループには、損保ジャパンやSOMPOひまわり生命、セゾン自動車火災保険などの保険事業から介護・シニア事業のSOMPOケア、デジタルビジネスを手掛けるSOMPO Light Vortexなど多様な事業を担うさまざまな企業がある。クラウドCoEは、こうしたグループ各社のクラウド活用を支える役割を担う。

 クラウドCoEリーダーの土屋氏は、グループ企業で長年クラウドの導入を担当し、Amazon Web Services(AWS)のユーザーコミュニティーなどの場でも数多くの講演も行っている。「グループとしてのクラウド利用は、損保ジャパンが2003年頃よりセールスフォースを導入し、まずはSaaSが主体でした。2016年頃からAWSを中心にIaaSの利用も広がり、現在中小規模の会社ではAWSを利用していますが、大規模な会社ではGoogle Cloudなども使い始めるなどマルチクラウドが進み始めています」と状況を話す。

 クラウド導入は、規模の大きな会社で先行する一方、中小規模の会社では人材や予算などの制約もあって遅れていたという。以前の状況を安岡氏は、「大規模な会社以外はSaaSを扱ったことがあってもIaaSの経験がほとんどなく、新規システムをクラウドで構築するにもベンダーに依頼して対応していました。土屋さんがグループ会社在籍時からグループ内でコミュニティーを作り情報発信もしていましたが、経営や事業としてクラウドを利用していくという意思決定はまだ難しい状況でした」と明かす。

 それでもグループでクラウドの利用が徐々に広まり出した2019年頃に、グループ各社から「人が足りない」「新しいデジタル系の開発ができる人材がいない」といった悩みの声が挙がるようになった。人材不足からオンプレミスのシステムをクラウドに移行してコストを最適化することを検討しても判断に悩むケースもあったという。

 「各社が抱える課題をアプリケーションやインフラといった6つほどのグループに分け、インフラの中にクラウドがありました。当時は政府も『クラウド・バイ・デフォルトの原則』を打ち出すようになり、まずはグループ全体できちんとクラウドの利用を後押しする取り組みが必要になりました」(安岡氏)

 そこでグループ持株会社のSOMPOホールディングスが、グループ全体で「クラウド・バイ・デフォルト」を推進する方針が打ち出された。また、方針にとどまらず実際にクラウドの推進を支援する組織を一緒に整備する必要性を土屋氏が提起し、クラウドCoEの設置が検討されることになった。

 「土屋さんのような既にある豊富な知識をどうグループ全体に展開していくべきかという課題もあり、2020年度から議論してきました。CoEを考えた際、周囲ではみずほ銀行さんがとても努力されていて、クラウド人材の育成目標に取り組んでいるといった情報を参考にしたり、クラウドサービス事業者でCoEについて詳しい人にも話を伺ったりしながら理解を深めました。すると、クラウドのCoEがグループで注目され、推進役として活動していくには、IT部門だけでは限界があり、広報や営業などのさまざまな部門を巻き込んでいかなければ、うまくいかないことが分かってきました」(安岡氏)

 こうしてクラウドCoEがSOMPOホールディングスに設置された。メンバーはグループ各社からの出向者や専任職員としての中途採用者など20~40代の十数人体制となる。ベテランだけでなく、グループの将来のデジタル・IT活用を担う若いメンバーも複数参加している。「若いメンバーにクラウドを学んでもらいこれから活躍してほしいという思いがあります。ベテランのメンバーも若いメンバーに触発され、気を引き締めて活動に臨もうと刺激になっています」(安岡氏)

 メンバーのバックグラウンドはエンジニアが多いものの、ビジネス部門側からも参加している。神庭氏はその1人で、「以前は保険職員として保険金の支払い業務を担当していました。DX(デジタルトランスフォーメーション)の研修を受けたことがきっかけでクラウドCoEに参加することになり、グループ各社の架け橋のような役割ができればと考えています」と話す。

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