JISAが4年ぶり賀詞交歓会、各界代表が新年の誓いを表明

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 情報サービス産業協会(JISA)は1月11日、東京都内でコロナ禍後4年ぶりとなる新年賀詞交歓会を開催した。会員企業や業界関係者など約420人が参加し、新年のあいさつや情報交換を行う一方、会の冒頭では1日に発生した「令和6年能登半島地震」と2日の羽田空港での航空機事故での犠牲者に黙とうを捧げた。恒例の乾杯も見送られる中で懇談がスタートした。

 あいさつに立ったJISA会長の福永哲弥氏(SCSK 取締役副社長)は、「辰年は万物が振動すると言われるが、年初からあまりにも悲しい出来事が起きている。亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げる。被災者の救済、被災地域の復興においてJISAができることを見定め、必要に応じた支援、協力をしていく」と発言。「これから先は、社会全体や人々がすばらしいと思えるように、思いっきり振り切りたい。精一杯の努力で日本全体を盛り上げたい」と述べた。

 また、「私たちは社会の大きな変化、急速なデジタル化の中にある。社会は不確実だが、自ら進む方向を見定め、主体的な活動をしていきたい」と表明。JISAでは、2030年に「デジタル技術で、人が輝く社会を創る」というビジョンを掲げており、その実現に向けて活動していくとした。「『ITアスリート』と称する高度デジタル人材の育成をはじめ、生成AIを含む先端技術の利活用方法を提言することで社会のデジタル化をリードしたい。情報サービス産業が社会のデジタル化をリードするに足る存在となり、社会の発展、経済の成長に結実するような役割を果たすために、業界のあるべき姿、事業の在り方、経営の在り方について変革を行い、世界と戦える集団となりたい」とした。

 さらに福永氏は、「所得増や賃上げという政府目標に対し、情報サービス産業としても取り組む。先端デジタル技術を活用して生産能力を高めるとともに、新たな経済価値、社会価値の創出力を高め、これを産業に生きる人と共有し、比類なき個人の所得増につなげたい。デジタル領域でのさまざまな政策や施策が展開されているが、これを情報サービス産業の活動そのものとして支援し、社会の発展、あるべきデジタル化に向けて貢献したい」と抱負を語った。

 経済産業大臣 政務官の石井拓氏は、「日本経済は長年続いたデフレ構造から新しい経済に変わる千載一遇のチャンスを迎えている。賃上げや設備投資が30年ぶりの高水準になり、潮目に変化が生じている。変化の兆しを逃すことなく、コストカット型経済から投資も賃金も物価も伸びていく成長型経済への転換を実施しなくてはならない」とあいさつした。「

 続けて、「政府は17兆円規模の経済対策と過去に例のない戦略分野での生産、販売量に応じた税額控除を盛り込んだ税制改正など予算、税制、規制といったあらゆる面での施策を打ち出している。政府も一歩前に出て、大規模、長期計画を含む経済産業政策の新機軸を強力に推し進めていく」と説明。また、「国内投資を強力に後押しするために、200強の施策による国内投資促進パッケージも取りまとめている。供給力を強化し、日本経済の潜在成長率を引き上げていく。これらの施策を存分に活用し、大胆な投資を進めてほしい」と来場者に呼びかけた。

 さらに石井氏は、「持続的な賃上げを実現する環境を整えたい。賃上げへのインセンティブ強化や子育てとの両立、女性の活躍など雇用の質の向上への支援を盛り込んだ賃上げ促進税制の強化、中堅・中小企業の省力化投資による賃上げ原資の確保、成長分野への労働移動に向けたリスキリング支援などに取り組む。こうした取り組みを業界の隅々まで広げ、構造的な賃上げができるように政府全体で取り組む。働く人たちのモチベーションを高め、優秀な人材を確保するために、各種支援策を活用し、賃上げ、労務費の向上を行ってもらいたい」とした。

 そのほかにも半導体・デジタル産業戦略を改訂し、2023年度補正予算や2024年度予算案において、半導体およびAI関連で約2兆円、蓄電池関連で約5000億円の予算措置を講じたことなどに触れた、大阪での関西万博開幕まで458日(1月11時点)となり、残りの期間、開催に向けて全力を尽す姿勢も強調した。

 情報処理推進機構(IPA) 理事長の齊藤裕氏は、「今年は『甲辰(きのえたつ)』であり、甲は生命や物事の始まりを意味し、辰は活気に溢れる様子を表している。60年前の甲辰(1964年)には東京五輪が開催され、東海道新幹線が開通した」とし、「2023年は国際秩序が乱れたことを実感し、グローバル活動の細分化の時代がやってきた。デジタル分野に対してもサイバー攻撃が増加し、データ規制やデータ保護が重視される一方、経済活動の制約を生み出しつつある。2024年は世界的な選挙の一年となり、結果次第では、世界情勢が大きく変わる。それにどう備えるかが大切になる」と述べた。

 また、「脱炭素社会や循環型経済の実現に向けてデジタル活用が進んでいる。だが、IPAでは『進デジタル化、進まないトランスフォーメーション』の状況を指摘しており、IMD(国際経営開発研究所)による世界デジタル競争力ランキングでも、(日本は)さらに順位を落としているのが現状。IPAは『デジタルで豊かな社会に』をミッションに掲げているが、まだIPAの活動が足りていないことを痛感している。JISAと一緒になって活動していきたい」と話した。

 さらに、「ソフトウェアエンジニアリングは近代化が進んでいない。この解決に向けて、モデルケースとなる開発手法を考えていきたい。ソフトウェアが中心となる中で、ハードウェアとうまく連携し、新しい産業を作り上げていくことが大切。さらに、『2025年の崖』が近づいている。豊かなデジタル社会の実現に向けて、トランスフォーメーションの強化と、デジタル人材の育成をさらに加速する必要がある」と提言した。

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