「ウォールドガーデンは崩壊した」–エリソン氏が語る、顧客を“庭の主”にするマルチクラウド
今回は「「ウォールドガーデンは崩壊した」–エリソン氏が語る、顧客を“庭の主”にするマルチクラウド」についてご紹介します。
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Oracleは米国時間10月18~20日、年次カンファレンス「Oracle CloudWorld 2022」を開催している。18日は最高経営責任者(CEO)のSafra Catz(サフラ・キャッツ)氏のほか、創業者 兼 最高技術責任者(CTO)のLarry Ellison(ラリー・エリソン)氏も基調講演を行った。
Ellison氏は、Oracleが同日発表した「MySQL HeatWave Lakehouse」に言及。同サービスにより顧客は、CSVやParquetなどの各種ファイル形式でオブジェクトストアに保存されている数百テラバイトのデータに対して処理とクエリーを実行できる。
大規模な並列スケールアウトが可能なデータウェアハウスサービス「MySQL HeatWave」のアーキテクチャーにより、MySQL HeatWave Lakehouseはクエリーの実行とデータのロードにおいて、競合のサービスより優れた性能を提供するといい、ベンチマーク「400 TB TPC-H」によるとMySQL HeatWave Lakehouseのクエリー性能は「Snowflake」の17倍、「Amazon Redshift」の6倍高速、オブジェクトストアからMySQL HeatWave LakehouseへのデータロードはRedshiftの8倍、Snowflakeの2.7倍高速だという。
SnowflakeについてEllison氏は「Snowflakeのデータェアハウスサービスは、『AWS』『Microsoft Azure』『Google Cloud』上でも走る。われわれはそのことを知らされ、『これはいいアイデアだ』と思った」と語った。MySQL HeatWaveは今回、Azureでも利用できるようになり、既に利用可能なOCIやAWSと合わせてマルチクラウドとして使えるという。
また同氏は、MySQL HeatWaveがリレーショナルデータベースサービス「AWS Aurora」よりクエリーのスピードが圧倒的に速いとし、「AWSのユーザーには、ご自身で確認してもらいたい。このことが『GitHub』で発表された時、AWSはノーコメントだった。何も反応しなかったのだ。われわれの考えは、とにかく顧客に選択肢を提供することである」と述べた。
Ellison氏は、OracleとMicrosoftの連携についても改めて語った。「Oracle Cloud」とAzureのマルチクラウドでは、データのイグレス/エグレスの料金がかからないほか、AzureのアプリケーションとOracle Cloudのデータベース間は非常に低遅延だという。また、Oracle Cloud/Azureにおける大半のサービスは双方のコンソールからアクセスできる。
同氏は「クラウドが登場した当時、全てのサービスは『ウォールドガーデン』だった。Azureを使っていたらAzureにとどまり、AWSを使っていたらAWSにとどまることが求められていた。どうしてそれが分かるかというと、もしデータをAWSから別のクラウドに移したら、あるいはオンプレミスに戻したら、イグレス料金が取られたからだ」と話した上で、「MicrosoftとOracleが手を取り合った時、2つのクラウドをつなげ、双方のデータセンターを相互接続した。そして、イグレスとエグレスの料金を取り払ったのだ」とアピールした。
「まずは試してみて、気に入ったら使い続けてほしい。そうでなければ、これまで使っていたものに戻ってもらって構わない。“庭の壁”が崩壊している今、顧客はより多くの選択肢を手に入れる。将来的には全てのクラウドがつながり、あらゆるサービスが利用可能になるはずだ。“庭のオーナー”ではなく、顧客が決定権を持つようになるだろう」(Ellison氏)
(取材協力:日本オラクル)