アドビのページ記述言語「PostScript」、ソースコードが博物館で公開

今回は「アドビのページ記述言語「PostScript」、ソースコードが博物館で公開」についてご紹介します。

関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 コンピューター歴史博物館(CHM)は、Adobeの許可を得て、「PostScript」の初期バージョンのソースコードを公開した。PostScriptは、デスクトップパブリッシング(DTP)の到来を告げ、PDF(Portable Document Format)を生み出したプログラミング言語で、Adobeが1980年代前半に開発したものだ。

 「PostScriptと『Adobe Type Library』は、印刷と出版に革命をもたらし、1980年代に始まったDTPの爆発的な成長のきっかけとなった」と、CHMは説明している。

 AdobeがPostScriptを初めてリリースしたのは、創業2年目の1984年のことだ。その後、Appleの共同創設者Steve Jobs氏が、レーザープリンターでPostScriptを使えるようにすることをAdobeに持ちかけた。レーザープリンターは当時の新技術でXeroxのパロアルト研究所(PARC)が初めて開発したものだ。

 Appleは1985年、PostScriptを搭載したレーザープリンター「LaserWriter」を7000ドル(当時のレートで約180万円)近い価格で発売し、DTPブームを巻き起こした。

 CHMの学芸部長で、ソフトウェア歴史センターのディレクターも務めるDavid C. Brock氏によれば、Adobeの共同創設者でPostScriptを設計したChuck Geschke氏とJohn Warnock氏が、この新しいデジタル印刷機でのソフトウェアの利用について、Digital Equipment Corporation(DEC)(現在はHPのブランドの1つ)およびAppleと話し合いを始めたという。

 「彼らのビジョンは、あらゆるコンピューターが共通の言語を介してプリンターや植字機と接続し、きわめて高い忠実度で文字や画像を印刷できるようにするというものだった」と、Brock氏は記している。

 「共通の数学的言語を使って、あらゆる印刷対象を同じように処理することで、PostScriptは他では得られない機能を実現した。文字と画像を思いのままに、拡大・縮小や回転、移動できるようにしたのだ」(Brock氏)

 Adobeが成し遂げたもう1つの偉業は、プロフェッショナル品質の書体をPostScript内で使用できるようにしたことだった。同社が開発し、2008年に標準化されたファイルフォーマットのPDFもPostScriptをベースとしたもので、今ではPostScriptに代わり、異なるプラットフォーム間で文書を共有するためのフォーマットとなっている。

 Adobeを設立する前、Geschke氏やWarnock氏らはPARCで一緒に仕事をし、ページ記述言語の「Interpress」を開発していた。Xeroxはこの言語をプリンターに標準搭載することを決めていたが、その実現が遅れたため、両氏はXeroxを離れ、Adobeを立ち上げてInterpressに代わる言語を開発することを決めた。また、PARCにいた他の有能な人材に声をかけてAdobeに引き抜き、PostScriptの開発に取り組んでもらった。

 Brock氏によれば、Adobeの書体やフォントに対するアプローチは、PARCとは異なるものだったという。だが、当時のAdobeのチームは成長を続けながらも、PostScriptを「デバイスに依存しない」言語にする方法をまだ見つけられずにいた。

 その後、Warnock氏や同氏の同僚は、文字のレンダリングに関する一連の手順を利用して、この問題を解決したようだ。ただし、同氏が2010年にその存在を明らかにするまで、この手順はPostScriptのソースコード内で秘密とされていた。

 Geschke氏がCHMの取材に対して述べたところによれば、PostScriptが開発されたのは、ソフトウェアに関する特許を取得できる前の時代だったという。

 「どのみち、私たちは特許を申請することさえしなかっただろう。なぜなら、特許を申請するには情報を開示しなければならないからだ。だが、私たちは公開したくなかった。その情報こそが、PostScriptの実装におけるマジックのようなものだったからだ」と、Geschke氏は語っている。

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