デジタル人材の育成が企業や社会をより良くする–「AWS Academy」の真価

今回は「デジタル人材の育成が企業や社会をより良くする–「AWS Academy」の真価」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 政府は現在、「デジタル田園都市国家構想」を掲げ、デジタル技術の活用による地域の社会課題解決を目指している。しかし、現状ではデジタル人材の不足や、クラウドコンピューティングをはじめ、ITを教える教員不足が課題として挙げられている。

 こうした中、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は、グローバルプログラム「AWS Academy」を通じてデジタル人材育成のための取り組みを専門学校と共に行ってきた。ここでは、AWS Academy修了生と専門学校の教員、そしてAWSジャパン トレーニングサービス本部 本部長の岩田健一氏に、学生・教員・提供者それぞれの観点でデジタル人材育成について話を聞いた。

 まず、日本の労働者がデジタルスキルをどれほど重視しているのか見てみたい。日本やオーストラリアをはじめとした7カ国の雇用主2166人と労働者7193人に対してAWSが委託し、戦略・経済コンサルティング会社であるAlphaBeatが取りまとめたレポート「日本とAPACの変化し続ける労働環境におけるデジタルスキルとその重要性」では、日本の労働者の78%が、「コロナ禍に伴う仕事の変化に対応するため、より多くのデジタルスキルが必要になった」と回答している。一方、実際に「デジタルスキル習得支援のためのトレーニング計画を策定している」と回答した雇用主は全体の18%に過ぎないという結果だった。

 また、同レポートでは、デジタルスキルを活用する日本国内の技術者・非技術者の労働者1032人の、多様な規模の組織を代表する雇用主312社・団体を対象にした調査についても触れている。

 この結果によると、2025年までに雇用主が必要とするスキルとして「クラウドベースのツールを使用するスキル」が最も多く、次いで「サイバーセキュリティスキル」が挙げられたという。また、2025年までに日本で需要が高まるデジタルスキルの上位10スキルに、「ITシステムをオンプレミス(自社所有)からクラウドに移行する能力」や「クラウドアーキテクチャー設計」に関するスキルが上げられるなど、より高度なクラウドコンピューティングスキルの必要性が指摘された。

 AWS Academyは、高等教育機関と連携したクラウド学習プログラム。パッケージ化されたクラウド学習カリキュラムをAWSが専門学校や大学などに無償で提供し、学生が将来、業界で認知されている認定の取得や、需要の高いクラウド関連の仕事に就くことを支援する。現在、AWS Academyに加盟する高等教育機関は約200校。そのうちの大半を占めるのがIT系の専門学校だという。

 AWSが同プログラムを日本で本格的に開始したのは2017年のこと。当時、トレーニング部門の規模拡大に尽力していた岩田氏は、「これからの物づくりはオンプレミスから、手軽に利用を開始できるクラウドベースに変化するだろう」という考えから、グローバルで展開していたAWS Academyをローカライズした。2018年4月には麻生情報ビジネス専門学校 福岡校をはじめとする6校が、AWSクラウドコンピューティングカリキュラムを導入したクラスを開講した。

 麻生情報ビジネス専門学校 福岡校のネットワーク・セキュリティ分野でネットワークを中心に教える久保山大地先生にAWS Academy導入のきっかけを尋ねると、「以前から、本校でもクラウドの概要に当たる部分を授業に取り入れていたが、知識だけで実践に踏み込むことはなかった。年数が経つにつれ、授業で本格的にクラウドのサービスを利用した実践を入れなければならないという問題意識を持っていた時に、岩田氏から声をかけていただいた」と振り返る。

 同校では、2018年に初級コース、翌年には中級コースを開講。AWS Academyのカリキュラムは、クラウド全般に関わる用語やAWSに特化した内容など、クラウドに関する知識をバランス良く、かつ網羅的、体系的に学べる内容になっている。AWSをベースにクラウドの知識をつけることで、「Google Cloud Platform」(GCP)や「Microsoft Azure」など、ほかのクラウドに十分応用が利くと、久保山先生はAWS Academyを活用してクラウドを学ぶメリットを明かした。

 また、実習環境(ラボ)が整っている点も評価。「AWS管理用のウェブインターフェースである『AWSマネジメントコンソール』を用いて本物の環境に触れることができるのは非常に良い。アカデミー教材も演習シナリオの作り込みが良く、例えばアジャイル開発やサーバーレスアーキテクチャーなど、教師である私自身も体験したことがない新しい技術の実習シナリオがついている。AWSのクラウドサービスとともに最先端のITについてキャッチアップできる」

 では、学生は実際にどのような内容を学んでいるのだろうか。麻生情報ビジネス専門学校 福岡校の情報システム科ネットワーク専攻アドバンスコースででAWSクラウドコンピューティングカリキュラムを修了した大磯秀香さんに、当時を振り返ってもらった。

 大磯さんは高校時代に所属していた部活動で、これからの社会にはネットワークが必要だと感じ、同校に入学。3月に卒業し、現在はネットワーク設計・構築の職に就いている。カリキュラムでは最初にメールサーバーやウェブサーバーの構築から取り組み、メールサーバーの調整やDNSサーバーの構築を行ったという。特に、初めてウェブサーバーを構築した時は、とてもうれしく感じたと話す。

 現在、勤めている会社ではクラウドよりオンプレミスでの作業が多いが、AWS Academyで学んだことが生かされていると感じる場面が少なくないという。「クラウドで学んだ部分をオンプレミスに置き換えて考える方が私としては理解しやすい。また、AWSに触ったことがあると話すと現場の方から感心される。専門学校で充実した環境の中、勉強できたのは貴重な経験だった」と語った。

 久保山先生は、「若手のエンジニアがAWSなどの新しい知識を持っているというのは、先輩や上司にとってプレッシャーに感じる要因になるのではないかと思う。変革が起きない社内の仕組みを変える契機に彼ら自身がなると感じている」と、若手ながらも既に現場で活躍する大磯さんに期待を寄せた。

 また、AWSクラウドコンピューティングカリキュラムを用いたクラスを展開する富山ビジネス専門学校の卒業生、保科雅彦さんにも当時のことを振り返ってもらった。

 保科さんは、それまで務めていた会社を辞め、IT業界への転職を目指して同校の情報システム学科 クラウド専攻に入学した。現在はプレステージ・インターナショナル 富山BPOタウンで社内インフラに携わっているという。ITに関する知識が全くないまま最初に受けた授業は、AWSの各サービスを理解し、ソリューションを覚える「AWS Academy Cloud Foundations」だった。

 2年生からは「AWS Academy Cloud Architecting」を受講。これは、AWSでITインフラストラクチャーを構築するための基礎を学ぶ。保科さんが受講したコースでは、教員がクライアント役として学生に要望を出し、学生自身がコスト面や性能面を考慮しながら要望に沿ったシステムを構築するロールプレイング形式の授業だったという。「正解がないため、難しい授業ではあった。しかし、実際にクライアントと話す感覚でやりとりを行うため、コミュニケーション能力を培うことができた。これは社会人になっても生かせている」

 保科さんの上司に当たるインフラ統括部 ソリューション推進部 部長の下阪穣氏は、保科さんのコミュニケーション力を高く評価しており、「ITは目に見えない部分もあるため、理解が合致しているかどうか、コミュニケーションを通して認識を合わせている。顧客を含めて社内外共に重要なスキルだと感じている」と話した。

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