自動車部品メーカーの仏ヴァレオが「CES 2023」で提案する「未来の車」
今回は「自動車部品メーカーの仏ヴァレオが「CES 2023」で提案する「未来の車」」についてご紹介します。
関連ワード (デジタル岡目八目、経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
2023年1月に米国ラスベガスで開催された技術見本市「CES 2023」は、さながら「世界最大級の自動車ショー」だった。約300社の自動車関連企業が出展し、自動運転技術や電気自動車、パーソナルモビリティーなどの最新技術やソリューション、サービスを披露した。
その1社であるフランス・パリに本社を置く自動車部品メーカーのValeoは「未来の車」を提案する。同社はLiDARやカメラ、レーダーなどのセンサー製品などを手掛けており、同社のComfort and Driving Assistance Systems Business Groupで最高技術責任者(CTO)を務めるJoachim Mathes氏は「現在注力しているのは持続可能なモビリティー」と語る。
CES 2023の同社ブースで、自動車の電動化や先進運転支援システム(ADAS)、安全運転などのライティングエブリウェア、快適な車内を創出するインテリアエクスペリエンス、より安全でクリーンなモビリティーについて聞いた。
同社は主力商品のセンサーを幅広くそろえており、市場シェア1位の製品が幾つもあるという。Mobileyeの技術を搭載したフロントカメラシステムの生産台数は2022年11月時点で1000万台に達する。同社の強みの一つは、「自動車メーカーやパートナーに選択肢を提供し続けていること」(Mathes氏)だという。
例えば、フロントカメラとサウンドビューカメラにはValeo製、インテリア用にはMobileye製のシステムオンチップ(SoC)などを選択できる。SoCについては、自動車メーカーの要望に応じて、Qualcommやルネサスエレクトロニクス、Texas Instruments(TI)などの製品にも柔軟に対応する点が特徴だという。約6000人のソフトウェアエンジニアを社内に配置し、自動運転などに必要なソフトウェアを自社で開発しているからだ。
Mathes氏は「私のチームでは、エジプトに約3000人のソフトウェアエンジニアがいるが、20年前はゼロだった」と話す。Valeoはグループ全体で従業員数が10万人を超えており(2021年12月末時点)、ソフトウェアエンジニアの占める割合は増加傾向にあるのだという。
自動車産業におけるソフトウェアの重要性が高まるとともに、その研究開発に必要なデータセンターを整備する一方で、人工知能(AI)などの技術者育成にも力を入れている。複数のソフトウェア機能をサービス化し、容易に組み換えが可能なサービスオリエンテッドアーキテクチャー(SOA)の採用や、各種センサーから情報を収集・分析してアプリと連動させる仕組み作りも強化する。そのためにも、サプライヤー(仕入先、供給元)のロードマップを理解することが欠かせないという。
最近の自動車には、車載カメラや角速度センサーなどが搭載され、さまざまなソフトウェアで制御されている。それらの管理が非常に重要になる。スマートフォンなどのように単一のソフトウェアでカメラなどを集中制御できるようになるには、もう少し時間がかかりそうだ。自動車は、ソフトウェア全体をまとめて管理するドメインコントロールと、一部を管理するゾーンコントロールを組み合わされている。これを集中管理する次世代プラットフォームの開発に着手したところで、目下のところはADASとインテリアの各領域を統合したものを検証中の段階だという。2025年には、BMWグループにADASドメインコントローラーなどを供給する予定としている。
Mathes氏によると、ビジネスモデルが変わってきているという。これまでのようにセンサーやコントローラーを作るだけではなく、システムやサービスとして提供していくことが求められている。自動車メーカーが提示した仕様や要望に応えることから、自らが未来の車を提案するということだ。スマートシティーへの発展も視野にある。それを可能したのは、AIを含めたソフトウェア技術である。