NECや日立ら、分野を超えてデータを扱う「CADDE」実証–外部仕様書も公開
今回は「NECや日立ら、分野を超えてデータを扱う「CADDE」実証–外部仕様書も公開」についてご紹介します。
関連ワード (ビッグデータ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
日本電気(NEC)、エブリセンスジャパン(ESJ)、日立製作所(日立)、情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII)、ザイナスは、分野を超えてデータを発見・利用できる仕組み「CADDE(分散型データ交換のためのコネクターアーキテクチャー、読み:ジャッデ)」の普及に向けて実証実験を実施した。
同実証は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が管理・支援する内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術」の枠組みで実施される。5者は、CADDEのユースケースや具体的なサービス利用方法を理解するためのドキュメント「外部仕様書」を作成・公開した。
CADDEは、各分野のデータ基盤を横断して連携するための機能・サービス群で構成されている。最新版のCADDE4.0は、SIP分野間データ連携基盤のウェブサイトに掲載されている「GitHub」のウェブサイト(プログラム共有サイト)でダウンロードが可能。
今回のプロジェクトでは2022年11月~2023年2月、分野間データ連携の社会実装を進めるため、CADDEの活用が想定される企業とともに、具体的な業態、業務、データの提供、データの活用を想定した4つの実証を実施した。
1つ目の産業・商業で利用されるデータ基盤技術との相互接続性実証は、ザイナスが担当した。クラウド型調達/購買システム「SAP Ariba Network」を活用し、中小企業のグローバルな調達案件への参入可否を検証することで、CADDEの社会実装に向けた課題を抽出。実証に参加したAriba Networkの顧客企業からCADDEのデータ連携機能に対する指摘はなく、商取引へのCADDEの活用が可能だと分かったとしている。
2つ目のオープンソースのデータ基盤技術との相互接続性実証は、NECが担当した。札幌市のデータ連携基盤として利用されている「FIWARE Orion」とCADDEを相互運用し、不動産ディベロッパーや飲食店が、人流や気象、イベントなど複数のデータを取得し、リアルタイムに可視化するアプリケーションからデータ活用の可否を検証。その結果、CADDEにおけるID管理の方法や、マーケティングや業務の最適化につながるデータの詳細化・多様化といった面で課題を確認した。
3つ目のデータ取引で利用されるデータ基盤技術との相互接続性実証は、ESJが担当した。データ利用権およびデータを取引の対象とするデータ利用権取引市場システムを開発し、データ利用に関わる権利の条件を標準化したデータ利用権証と対象データを組み合わせた取引の実証を実施。具体的には、「DATA-EX」に参加するデータ提供者とデータ利用権取引市場に参加するデータブローカー間で取引を実施した。DATA-EXは、データ連携にまつわる既存の取り組みが協調し、連邦型の分野を超えたデータ連携を目指すプラットフォーム。
この取引において、データ利用権取引市場への上場申請完了後の「データ提供者によるデータ生成」「データブローカーによるデータの受領」に該当するデータ収受にCADDEコネクターを利用し、データセットが適切なタイミングで遅滞なく、真正性・完全性が保証された状態での収受できるかの可否を検証した。
この実証にはPwCコンサルティングやMILIZEをはじめとする6社が参加し、実際に利用権証の生成、売買、利用権の行使が可能であることを確認するとともに、実証後のアンケートでは全ての回答者が同システムは現在のデータ取引における課題の解決に貢献すると回答した。
4つ目のスマートシティーで利用されるデータ基盤技術との相互接続性実証は、NECが担当した。複数分野のデータ連携基盤とスマートシティーのデータ連携基盤をCADDEで接続。相互連携したデータを用いたユースケースを三井住友海上火災保険と検証し、地域のスマートシティーの現場を踏まえた技術的課題を抽出した。
具体的には、各実証環境にデータカタログサイトを構築するための代表的なOSSの一つ「CKANカタログサイト」を配し、横断検索機能により検索取得したデータカタログを基にCADDEコネクターを用いてデータを収集、BIツールを用いて分析・可視化することで、保険商品の開発や保険のリスク判定へのデータ活用の可否を検証した。
その結果、CADDEにより複数分野のデータ連携が効率的に実施できることを確認したほか、事業者がデータ取引を出口とすることで新たにデータの提供側となることへの有意性も確認できたとしている。
そのほか、外部仕様書の作成・公開は日立、NII、NECが担当した。同仕様書は、作成に当たって必要となる事項などの洗い出しと詳細化を行うとともに実証結果から反映すべき事項も整理した上で、サービス要件や機能概要、API仕様などを取りまとめたもの。今回の実証で得られた成果を取り込み、CADDEの普及にまつわる企業・団体や、その依頼を受けてITシステムを整備するベンダー、契約管理などの各種CADDE支援サービスの提供者などに向けて参考となる情報を記載しているという。