Apptio製品責任者が語る、DX推進で高まるクラウド支出への課題意識
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「Amazon Web Services」(AWS)や「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」(GCP)など、パブリッククラウドの利用が広がるに伴い、クラウドの利用コストに対する課題意識が高まっている。こうした問題について、Apptioの製品担当上級副社長で最高製品責任者(CPO)を務めるEugene Khvostov(ユージン・フボストフ)氏に考えを聞いた。
同氏は、MastercardとAmazon Web Services(AWS)で要職を歴任し、Apptioではプロダクトマネジメント、ユーザーエクスペリエンス(UX)/デザイン、プライシングとストラテジー、プロダクトマーケティングの各チームを率いている。クラウドコスト管理の規律とベストプラクティスに焦点を当てたコミュニティーベースの業界団体FinOps Foundationのボードメンバーも務めている。
Apptioは米国・ワシントン州で2007年に創業のSaaSベンダー。IT支出管理の高度化を実現するソリューションを提供する。テクノロジー投資によるビジネス価値の最大化を目指す方法論「Technology Business Management」(TBM)を特徴とする。TBMは2007年にApptioの創業者であるSunny Gupta氏が提唱した手法で、IT資源から事業部門のニーズまで、テクノロジーの経営資源(ヒト・モノ・カネ)と投資ニーズを統合的に管理する。
TBMによるIT支出管理の高度化が、日本におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の課題解決につながると考え、2020年4月に日本法人を設立している。
Apptioには現在、3つの製品系列がある。テクノロジー投資管理「ApptioOne」とクラウドコスト管理「Cloudability」、エンタープライズアジャイル管理「Targetprocess」である。全世界2000社超の顧客が同社製品を利用し、全体で6500億ドルのIT予算を管理している。
Khvostov氏は、「来年には75%以上のお客さまが1つ以上のクラウドを利用すると予測している」といい、マルチクラウド戦略を推進する企業が増加傾向にあると話す。ここで課題となるのは、コストの管理と最適化である。複数のクラウドサービスの組み合わせによって、合計で何百万ドルにもなる利用料金が予算の枠内に収まるかどうか、きちんと見定めるのは容易ではない。
Cloubabilityは、AWSやAzure、GCPといった複数のクラウド環境にまたがるコストの可視性、最適化、ガバナンスなどを改善する、とKhvostov氏は説明する。
一方、マルチクラウドにはさまざまなメリットもあるという。例えば、それぞれのクラウドサービスの長所を生かして、最適な環境を構築することができる。そして、それを最適な価格で利用できる。
Apptioのユーザー企業であるUnileverでは、ITコストを単に財務の観点から捉えることを止めて、ビジネスの観点から管理するようにした。TBMとApptioを利用してコストの透明化を図り、プロジェクト開始から15カ月後には、1500万ユーロ近くのコストを削減することができたという。
Khvostov氏によると、TBMを実践する上で最も難しい部分は、まずスタートさせることだという。重要なのは、どこでどんな費用が発生しているのか、誰がいつそれを利用しているのか、そういったコスト構造全体を理解することだ。「そのためのデータを手に入れ、しっかりと可視化することが必要になる」(同氏)
そして、次にIT部門、財務部門、事業部門に共通の言語をつくるということ。TBMを共通言語として分類・可視化に用いることで、利用部門ごと、プロジェクトごと、ソリューションごとなど、多角的な視点からITコストの透明化を図り、事業環境に応じて迅速かつ正確な投資判断を行えるようになるという。
Khvostov氏の推測によると、IT予算は今後も3~7%程度の成長を続けていくという。そして、クラウドへの支出額は25~35%ほど伸長すると見込んでいる。「DXを推進するため、クラウドの活用してアジャイルにサービスを開発していく傾向はますます強くなるだろう」と同氏は指摘する。
「われわれは全ての企業がテクノロジーカンパニーになると考えており、Apptioはその真ん中で皆さんのお役に立てると考えている。また、日本には信じられないような、素晴らしい会社がたくさんある。DXが急激に進展しており、とてもワクワクするような時期を迎えていると思っている。そういった企業のお手伝いをしていくとともに、われわれも成長していきたい」(Khvostov氏)