HPEが警鐘を鳴らす「クラウドによるデータ活用の“落とし穴”」とは

今回は「HPEが警鐘を鳴らす「クラウドによるデータ活用の“落とし穴”」とは」についてご紹介します。

関連ワード (松岡功の一言もの申す、経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 増えるばかりのデータをクラウドに置きっぱなしにしていると、いつの間にか膨大なコストがかかってしまう――企業のITシステムにクラウドサービスを利用することが当たり前になってきた昨今、皆さんは増えるばかりのデータに対してこんな問題意識をお持ちだろうか。結構、大ごとになるのではないかと感じたので、本連載で問題提起したい。

 日本ヒューレット・パッカード(HPE)が先頃、オンプレミス環境でクラウドのような柔軟な運用ができるストレージサーバーを発表した。そのオンライン発表会見での新製品の説明は速報記事をご覧いただくとして、同社はその説明に先立って、クラウドでのデータの管理および活用において問題点を指摘した。筆者はその内容についてもっと広く警鐘を鳴らす必要があると感じたので、ここで取り上げて考察したい。

 会見では、まずHPE 執行役員 HPC・DATA&AIソリューション事業統括本部長 兼 データサービス事業統括本部長の根岸史季氏が、企業のITシステムにおけるデータ活用の課題として、「多様な種類のデータを効率よく活用できない」「社内のさまざまなシステムにデータが分散している」「AI(人工知能)やリアルタイム処理に向けてデータの鮮度が求められている」ことなどを挙げ、それらに対応するためにもクラウドでのデータ活用の動きが活発になってきていると説明した(写真1)。

 それはなぜかというと、クラウドではデータを活用する上で性能や容量のスケーラビリティーを享受でき、管理も容易だからだ。一方で、根岸氏はクラウドの課題として、データの容量と使用期間の掛け算でコストが増加することを指摘。さらに、ベンダーロックインや安全性を懸念する声もあるという。

 そこで、根岸氏は現実解として、クラウドとオンプレミスにおいてデータの配置を適材適所で行えるように、「クラウドとシームレスにデータを連携できるインフラ環境をオンプレミス側に整備すればよい」と述べた。そのオンプレミス側に置くインフラ環境として適しているのが、今回発表したストレージサーバーというわけだ(図1)。

 さらに、根岸氏に続いて説明に立ったHPE データサービス事業統括ストレージ製品本部エバンジェリスト/カテゴリーマネージャーの山中伸吾氏が、企業のクラウドによるデータ活用で陥りやすい事例を次のように2つ紹介した(写真2)。

 1つは、新たに始めた事業がどれくらい伸長するか分からないので、初期投資を抑えてクラウドを利用してスタートしたところ、事業が成功して関連するデータ量が急増してしまい、その取扱コストが膨らむばかりとなったケースだ。この事例の教訓は、データが増加する中でオンプレミスとの配置の適材適所を速やかに判断する必要があったということだ(図2)。

 もう1つは、鮮度の高いデータはオンプレミスに置き、古いデータをバックアップとしてクラウドで管理する仕組みだ。実際、こういうクラウドの使い方をしている企業は少なくない。しかし、クラウドの利用期間が長くなり、しかもバックアップデータが膨大な量になってからではどうにも対処のしようがなくなってしまう。

 そこで、山中氏は図3の右側を指しながら、「むしろ古いデータはオンプレミスで管理し、鮮度の高いデータこそクラウドへ配置して柔軟に活用できるようにすれば、コストも抑えることができる」と説いた。まさしく「逆転の発想」である。

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