生成系AIが変える技術職の役割–今後のキャリアのために知っておくべきこと

今回は「生成系AIが変える技術職の役割–今後のキャリアのために知っておくべきこと」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 全職業の80%以上(特に大学教育が求められる仕事)が、生成系AIの影響を受けるか、生成系AIによって能力を高められるだろう。これは、OpenAI、OpenResearch、ペンシルベニア大学の研究者チームが先頃発表した論文の予測だ。この自動化の台頭は、ITの開発/運用に従事する人やこの分野での就職を志す人にとって、何を意味するのだろうか。

 AIと、訓練データに基づいてコンテンツを作成する生成系AIは、テクノロジーキャリアに2つの点で影響を及ぼすだろう。ツールとしてのAIは、プロフェッショナルの生産性と能力を向上させる。ビジネスレベルでは、自動化の進歩によって、そのようなシステムの設計、構築、維持に必要なAIスキルに対する需要が拡大する。

 開発者やIT担当者は「AIをツールセットに組み込むことで、効率や効果を高められるだろう」とHummingbirdの最高技術責任者(CTO)のJesse Reiss氏は語る。「この技術は、独力でアプリを作成することはまだできないが、開発者を補助し、開発を加速させるはずだ。技術的な質問に答えて、新しい機能を構築する手順の概要を迅速に示すことができる。また、よく使われる単純なボイラープレートコードを素早く出力することも可能だ。開発者にとって、ボイラープレートコードだけを作成するのは退屈かもしれない」

 技術職における生成系AIの使用の拡大は、ローコード/ノーコード開発の台頭と重なっている。「開発者は生成系AIによって、アルゴリズムを活用、カスタマイズ、訓練し、新しいコードやソリューションを作成することができる。これにより、AIやMLのコードを一から作成する場合に比べて、時間と労力を節約できる可能性がある」と語るのは、CGIの分析、AI、機械学習担当バイスプレジデントのDiane Gutiw氏だ。

 「また、生成系AIによってローコード/ノーコード環境の作成が確実に容易になる。この環境では、技術者以外の人がコーディングを学ばなくてもアプリの構築や展開が可能になるが、コーディングはやはり重要なスキルだ。このローコード技術にはリスクがあり、モデルが機能する仕組みや、出力が情報やデータを収集して要求に対する回答を生成する仕組みが、開発者、設計者、ユーザーから見えなくなってしまう」

 重要なことだが、自動化ツールを有能なIT人材の代わりとみなすべきではない。Gutiw氏は、たとえば生成型AIが高度なスキルを持つ開発者の職を奪うことはない、と語る。「生成系AIはアプリ開発の特定の側面を自動化できるが、責任あるAI開発のためには、これらのアルゴリズムの出力を監視して改良する開発者がまだ必要だ」

 したがって、生成系AIを開発関連の問題すべてに対する万能薬とみなすべきではない。「重要なのは、プログラミングと設計の原則を深く理解するとともに、出力が正確で知的財産を侵害していないことを検証することだ」

 とはいえ、テクノロジーの仕事はAIと関連ツールの影響を受けるだろう。Gutiw氏によると、IT担当者にとっての朗報は、AIと自動化の拡大によって、IT担当者がより価値の高い活動に費やせる時間が増えること、そして組織内でより戦略的な役割を果たせることだという。

 「自動化されたプロセスを監視し、プロセスがビジネスの目標に沿っているか確認する責任を負うことになる。また、自動化されたシステムをレガシーシステムと統合し、自動化システムのスケーラビリティー、信頼性、セキュリティを確保する責任も負うだろう」

 現実的なスキルとAI技術の融合は決して容易ではない、という点に注意してほしい。Reiss氏によると、IT担当者にとって重要な課題となるのは、他の新技術を導入する場合と同様に、AIと自動化を効果的に利用して問題を解決する方法を考え出すことだという。

 「生成系AIの場合、IT担当者やドメインエキスパートは、AIインターフェースを理解するとともに、社内の他の部署がこの技術を活用して運用やワークフローのサポートを改善できるように支援する必要があるだろう。IT担当者は、ビジネスの課題を深く理解して、AIの使い方を学び、課題の解決にAIを活用する方法を見つける必要がある」

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