NECが中期計画の現状報告–「課題あるも着実に前進」と森田社長

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 NECは4月28日、2022年度(2023年3月期)の連結業績を発表するとともに、2025年度を最終年度とする「2025中期経営計画」の進展状況について説明した。代表取締役 執行役員社長兼CEO(最高経営責任者)の森田隆之氏は、「ネットワークサービスは国内通信事業者の投資抑制と海外5G事業の立ち上がりの遅れにより、想定よりもビハインドしている。だが、エンタープライズや社会基盤、社会公共、グローバルは順調に進展している。個別に課題もあるが、全体では着実に前進している」とコメントした。

 同中期経営計画では、2025年度に売上収益3兆5000億円、調整後営業利益3000億円、調整後当期利益1850億円、EBITDAで4500億円を経営指標に掲げている。2022年度業績は、売上収益が前年比9.9%増の3兆3130億円、調整後営業利益が同20.2%増の2055億円、調整後当期利益が同17.1%減の1386億円だった。2023年度の業績見通しは、売上収益を同2.0%増の3兆3800億円、調整後営業利益を同7.0%増の2200億円、調整後当期純利益を同1.0%増の1400億円とする。

 森田氏は、「売上収益は全セグメントで増収となり、調整後営業利益はネットワークサービスを除く全セグメントで増益だった。2023年度も全ての主要セグメントで増益を計画している」と強気の姿勢を見せたが、計画達成に一段の加速が必要なのは明らかだ。

 2022年度の調整後営業利益を見ても、345億円の増加のうち資産売却や株式譲渡といった一過性の損益で110億円増、為替変動のポジティブな効果や下期からの部材不足の影響緩和によるプラス効果で205億円増、一時的な知財収入で75億円増と、本業以外の増加要因が目立つ。2023年度の145億円の増加は、オペレーションでの345億円の増加がけん引役になる予定で、これを達成できるかどうかが、2025中期経営計画達成に向けた重要なステップになりそうだ。

 プラス要素は足元の受注が好調なことだ。2022年度通期の全社受注状況は、変動が大きい海洋事業を除くと前年比12%増で、特にITサービスは企業向けの旺盛な需要がけん引し、受注実績は9%増となった。

 セグメント別で見ても、社会公共は都市インフラや中堅中小企業向けが好調を継続して前年比10%増、社会基盤(JAE除く)は防衛向けが増加して8%増、エンタープライズ(NECファシリティーズ除く)は旺盛なIT需要を背景に好調が続き12%増、国内外の通信事業者の投資抑制が続いているネットワークサービスでも5G需要が拡大して10%増となり、知財収益を除いても8%増の高水準にある。そして、グローバル(海洋事業を除く)は、Netcrackerによる大型案件や、DG/DF(デジタルガバメント/デジタルファイナンス)による海外ビジネスがけん引して15%増となっている。

 森田氏は、「受注トレンドに陰りを感じられない状況が続いている。投資抑制をするといった議論もない」とコメント。また、代表取締役 Corporate EVP兼CFO(最高財務責任者)の藤川修氏も、「ネガティブな要素が見えない」とし、「この1年半でエンタープライズ領域がいち早く回復し、金融、流通サービスでの大型案件の受注を獲得するなど、好調なトレンドが続いている。懸念されたハードウェアの供給不足も2022年度下期から回復し、SIサービスの利益も向上。NECソリューションイノベータの稼働率も好調で、上振れが続いている」とした。

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