ソフトウェア事業による成功は道半ば–パナソニック コネクトの成長戦略と施策
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パナソニック コネクトは、機関投資家やアナリストを対象にした「Panasonic Group 事業会社戦略説明会 2023」を開催し、同社の事業戦略について説明した。日本でBlue Yonderの受注が前年比3倍に達していることに触れたほか、パナソニックグループ内で約20プロジェクトが稼働していることを公表した。パナソニック インダストリーがBlue Yonderを活用してサプライチェーンの計画業務のDX化に取り組み、要件定義の段階にあることなどを示した。
また同社は、Blue Yonderに対して2025年度までの3年間に2億ドル(約270億円)の戦略投資を行うことを発表しており、今回の戦略説明会でパナソニック コネクト 代表取締役 執行役員 プレジデントの樋口泰行氏は、「ソフトウェアビジネスは、規模の経済性が重視され、SaaSビジネスでは迅速な対応と優位な地位を獲得することが大切。サプライチェーンマネジメント分野が成長市場なのは共通認識であり、Blue Yonderが持つエンドツーエンドのソリューションに生成AIなどの新技術を加えて高度化、進化させることで、サプライチェーンソフトウェアのカテゴリーリーダーとしての地位を確保できる」と意欲を見せた。
パナソニックコネクトは、Blue Yonderを投資フェーズの事業と位置付ける。樋口氏は、「SaaS事業は投資フェーズで正しく投資を実行しなければ、どこかで成長が鈍化しボロが出る。投資フェーズにどれだけアクセルを踏んで投資を実行できるかが大切。短期的収益よりも長期的戦略に沿って事業運営できるかが鍵になる」と述べ、投資戦略を加速する姿勢を示した。
また取締役 執行役員 シニア・エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデントの原田秀昭氏は、「サプライチェーン管理(SCM)関連の上場企業の多くは、株価が上昇しており、株式市場から高いポテンシャルが評価されている。成長が期待される市場だが、Blue Yonderはそこで勝って行かないといけない。そのためにはSCM事業を上場させ、そこで得た資金でSCM事業に再投資をしていく」と語る。
同社は、Blue Yonderに関して2億ドルの投資を発表する一方で、7項目で構成する「Value Creation Plan(VCP)」も発表した。「優れたCX(顧客体験)の提供」「PURE SaaS」「ビジネスの簡素化と最適化」「近代化、標準化、差別化」「GTM(Go to Market)エンジンの加速」「従業員の育成」「市場の統合」に注力する姿勢を示している。
樋口氏は、「カスタマーサクセス機能の強化、オペレーションの効率化、Pure SaaS環境へのマイグレーションなどに行う投資が重要。今後3年間で2億ドルの集中投資を追加し、2026年度以降は売り上げと利益を全力でドライブするフェーズに入る。それによりSCM業界で圧倒的な地位の確立を目指す」と今後の成長戦略に意欲を見せた。
樋口氏は今回、新たな指標としてパナソニック コネクト全体で、2027年度にEBITDAで2000億円を目指す計画を発表、「中期経営計画の2024年度の売上高およびEBITDAの目標達成を見込んでいる。そこで、新たに目指す姿を打ち出した」と述べる。
2000億円の内訳は、Blue Yonderおよびアビオニクスの合計で1000億円、プロセスオートメーション、メディアエンターテインメント、モバイルソリューションズ、現場ソリューションカンパニーの4事業で1000億円を計画している。前者のEBITDA率は20%強、後者を10%強としており、Blue Yonderおよびアビオニクスがパナソニック コネクトの中期的な成長をけん引し、4事業は専鋭化と筋肉質化で収益拡大を目指す考えを示した。
「Blue Yonderとアビオニクスは、いずれも米国に本社があり、米国でオペレーションしている。優秀な経営者に恵まれている点も共通し、米国人経営者のスピードが速い改革など、パナソニック コネクト全体の経営の近代化を推進するという点で学ぶところは多い」(樋口氏)
Blue Yonderが注目を集める領域の一つに、WMS(倉庫管理ソリューション)がある。倉庫コントロールシステムをはじめとしたサブシステムを提供するとともに、パナソニック コネクトが持つセンシング技術やロボティクス制御技術、さらにはパナソニック コネクトが2017年に買収したZetesのサプライチェーン最適化ソリューションを組み合わせることで、倉庫や物流における課題を解決する提案を行っている。
原田氏は、「倉庫や物流領域での関心が高まっている。パナソニック コネクト、Blue Yonder、Zetesの三位一体の提案で事業拡大できる」と述べた。