開発者不足の先にある世界は?–セールスフォース幹部に聞く
今回は「開発者不足の先にある世界は?–セールスフォース幹部に聞く」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
最近になって多くのIT企業で人員削減が行われたが、この状況がこのまま続くとは考えにくい。というのも、人工知能(AI)やシステム統合といった技術的なスキルに対する需要は高まる一方だからだ。
ありふれた仕事に関して言えば、AIを活用することで技術者不足に対応することも可能かもしれない。しかし、熟練した専門家に対する需要は、今後も増え続けることを認識する必要がある。
そう述べたのは、Salesforce傘下のMuleSoftで最高経営責任者(CEO)兼ゼネラルマネージャーを務めているBrent Hayward氏だ。筆者は、同社が最近ニューヨークで開催した会合でHayward氏に話を聞く機会を得た。同氏は、IT人材をめぐる状況の変化について私見を語ってくれた。
「世界の開発者の数は足りていない」と同氏は言う。「すでに状況はしきい値を超えており、アプリケーションやテクノロジーのペースが、企業が技術者を増やせるペースをはるかに上回るようになっている」
Hayward氏は、環境が複雑になっていることも、状況がひっ迫する一因だと指摘した。「今では、フルスタック開発者になることは不可能に近い。これは、とにかく技術が多すぎるからだ。あらゆるものの仕組みを知るために授業を受けていたら、一生かかっても足りない」
最近の雇用統計もHayward氏の主張を裏付けている。Deloitteのアナリストは、The Wall Street Jounalに掲載された記事で、「米労働統計局のデータによれば、人材、特にITのスキルを持つ人材に対する需要は引き続き堅調に推移している」と述べている。「特にIT業界の従業員に対する需要は強く、1月の雇用者数は、解雇者数を4万1000人上回り、求人数は9万9000件に達した」
AIや自動化技術によるイノベーションは、企業がより高度な人材を必要とするようになることを意味する一方で、人材不足を緩和する方向にも役立つ。Hayward氏は、AIや自動化技術は低レベルで面倒な統合作業を代行できるため、開発者やIT専門家の仕事は、「マッピングをレビューして確認する」ことになると考えている。
同氏は、人々がスキルを充実させていくプロセスの中で、AIは競争を緩和させ、高度な知識をあらゆる組織に行き渡らせるのに貢献するはずだと主張した。「われわれは、ローコード開発やノーコード開発はもちろん、プロコード開発(プロの開発者による従来の開発方法)のシナリオについてさえ、あらゆる人に最高の知識を提供する」
同時に、人材は実装の鍵であり続けるという。「AIや自動化技術が、豊富な知識を持ち、技術を深く理解している開発者の代わりになるかどうかは疑わしい」と同氏は述べた。「これは、競争を緩和させて、基本的なスキルしか持たない人材を平均レベルまで引き上げられる大きなチャンスだ。それによってエラーも減り、問題も減り、効果的に規模を拡大できるようになるだろう」
Hayward氏によれば、引き続き優れた人材を必要とするであろう大企業にとって課題になるのは、バックエンドや、プロの開発者にしかできない統合、システムの自動化パターンを、より現代的なタスクベースのワークフロートリガーと結びつける必要があることだという。「これらの世界は混じり合っている。規模拡大のペースと比べると、世界の開発者が足りなくなりつつある一方で、アプリケーションを使え、データモデルを理解している非常に賢い人々が育っている。これらの世界が融合することで、強烈なパラダイムシフトが起きるだろう」と同氏は語った。