Equinix、AWS、VMwareと連携–日本ヒューレット・パッカード、GreenLakeの最新情報を紹介

今回は「Equinix、AWS、VMwareと連携–日本ヒューレット・パッカード、GreenLakeの最新情報を紹介」についてご紹介します。

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 日本ヒューレット・パッカードは8月3日、6月中旬に米国ラスベガスで開催された年次イベント「HPE Discover 2023」での発表内容をまとめて紹介するプレス向け説明会を開催した。

 同社は2019年開催の同イベントの基調講演で最高経営責任者(CEO)のAntnio Neri(アントニオ・ネリ)氏が「3年以内(2022年まで)に全ての製品をas-a-Serviceで提供する」と宣言して以来、“HPE GreenLake”を中心にビジネスを展開してきているが、今回の説明も「HPE GreenLakeの進展、最新動向」をテーマとして開催された。

 説明会に登壇した執行役員 クラウドサービス事業統括本部長の吉岡智司氏は、GreenLakeが提供開始された10年ほど前の状況を振り返って「当初はどちらかと言うと『オンプレ環境の支払型のオプションのような形で、従量課金ができます』というものだったが、2019年にCEOのAntnio Neri氏から『全ての製品とソリューションをas-a-Serviceにする』という宣言がなされた」と説明した(図1)。

 「その時点でas-a-Serviceビジネスの受注額は$2.8Bだったが、2022年に『全てのas-a-Service化が完了した』と発表した時点で$8.3Bになっており、さらに今年はおよそ$10Bになっている。全てが完了したことを受けて、次のステージに進んでいくということで矢継ぎ早にいろいろな発表を行っており、今回は『エコシステム拡大』『プラットフォーム強化』『クラウドサービス拡充』について発表した」(吉岡氏)。

 今回の発表された主な内容は「HPE GreenLakeプラットフォーム」「ハイブリッドクラウド戦略を支援するIaaS」「エコシステム拡大とクラウドサービス拡充」の3つの領域にまとめられる。

 まずHPE GreenLakeプラットフォームは、2022年4月に発表された「1つのコンソールからさまざまなサービスにアクセスしてクラウドエクスペリエンスを拡大していく」ことができる統一された簡便なプラットフォームで、無償で利用可能。ここに今回、2023年3月に買収したOpsRampのテクノロジーを組み込む作業が進行中だという。

 次に、IaaSに関しては“HPE GreenLake for Large Language Models”という形でクラウドサービスそのものの提供開始に踏み切ったのが注目されるポイントだ。背景について吉岡氏は「HPEがクラウドそのものをやるというのは今までは戦略になかったが、数多くのご要望にお応えすべく、スーパーコンピューターを商用モデルとして扱っているHPEがこれをやるべきだということで発表した」と説明した。

 大規模言語モデル(LLM)としては、独Aleph Alphaとのパートナーシップに基づいて事前トレーニング済の「Luminous LLM」を提供する形で、その実行基盤としてGPUなどを組み込んだ同社のスーパーコンピューターアーキテクチャーとソフトウェアを活用する。ただし、Luminous LLMは英語とヨーロッパ言語のサポートのみで日本語はサポートされていないため、国内においてはこの実行基盤をユーザーが独自のAIシステムを実行するためにIaaSとして利用する形が主となると想定しているという。

 オンプレミス環境に展開されるプライベートクラウド向けソリューション「HPE GreenLake for Private Cloud Enterprise」(2022年発表)には機能拡張が発表されており、コンテナー基盤として「Amazon EKS Anywhere」と「Red Hat OpenShift Container Platform」のサポートが追加された。また、新ソリューションとして「HPE GreenLake for Private Cloud Business Edition」が発表された。

 こちらもプライベートクラウド向けで、名称の面からも少々紛らわしいが「VMware環境に特化し、AWSとの連携を意識した簡易的なプライベートクラウド環境」だと説明されている。また、運用管理はHPEのマネージドサービスではなく、ユーザーが自分で行うか、あるいはパートナーがマネージドサービスを提供する形が想定されている点も違いだ。

 最後に、エコシステム拡充については、Equinix、AWS、VMwareの3社との連携強化が発表された。Equinixとの連携では、特に「HPE GreenLake Private Cloud」をあらかじめEqunixのデータセンターに事前配備しておき、短納期で利用可能とする取り組みが注目される。

 まず対象となるのはグローバル7カ所のデータセンターで日本は含まれていないが、吉岡氏は「今後検討していきたい」としている。AWSでは、前述のGreenLake for Private Cloud EnterpriseにおけるEKS Anywhereのサポートのほか、「HPE GreeLake for Backup and Recovery」(SaaS)のAWS上のサポート対象が拡大され、Amazon RDS/EKS Anywhre/EC2/EBSが追加されている。また、「AWS Marketplace」にHPEソリューションが追加された。VMwareに関しては「VMware Cloud FoundationがGreenLake上でas-a-Serviceモデルで利用できるという形に進化した」という。

 2019~2022年の3年間で公約通りに全ての製品/サービスas-a-Serviceモデル(GreenLake)に対応させたわけだが、これはある意味で既存のビジネスをクラウドシフトするための変革期間だったと言えるだろう。そしてこの変革が完了したことで、今年からは新たにクラウドビジネスとしての攻めの施策が打ち出されるようになってきたと理解してよさそうだ。

 「AIのためのHPCプラットフォーム」という特化した領域の取り組みとはいえ、従来はHPEとしては手掛けないだろうと思われていたIaaSの提供に踏み切ったことも、従来のビジネスの延長ではなく新しいクラウドビジネスに対する取り組みが始まっていることを象徴する動きなのかもしれない。

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