OSSコミュニティーの4年後生存確率は50%超–NTTと九大が分析
今回は「OSSコミュニティーの4年後生存確率は50%超–NTTと九大が分析」についてご紹介します。
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NTTと九州大学は12月4日、オープンソースソフトウェア(OSS)のコミュニティーにまつわる“6つの神話”を調査分析した報告書「OSS Myths and Facts(OSSの神話と真実)」を発表した。
この取り組みは、両者が新しいソフトウェア開発の働き方として注目しているという、インターネットのコミュニティーでOSSを開発するスタイルをテーマにしている。OSSコミュニティーにまつわる意見や通説などを“神話”として、「GitHub」のリポジトリーから約4万件の関連データ(対象規模は開発者40万人超、コミュニケーション230万件)を基に、その真偽を科学的に検証したとのこと。結果をソフトウェア開発者や組織の従業員体験などに活用してもらうのが狙いだという。
両者が調査分析した“神話”と“真実”は以下の通り。
神話1:OSSコミュニティーのコミュニケーションは緩やかである
議論の種類によらず、約半分のコミュニケーションは4時間以内のやりとりをしている。OSSコミュニティーは、企業の開発者と同等かそれ以上の素早いコミュニケーションを行っている。
神話2:OSSコミュニティーは眠らない
OSSコミュニティーの活動時間帯は、北米のオフィスアワーに偏っている。北米の深夜時間帯は、世界中のOSSコミュニティーの人々も活動していない(眠っている)。
神話3:OSSコミュニティーは終わるのも早い
OSSコミュニティーの4年後の生存確率は50%を超える。いま活動をしているOSSコミュニティーの半数は、4年後も継続して活動している可能性が高い。
神話4:OSSコミュニティーはクラッカーに負けない
開発者の多いOSSコミュニティーでも脆弱(ぜいじゃく)性の解決期間は概ね3カ月を要している。OSSもクラッカーの後塵を拝している可能性がある。
神話5:OSSコミュニティーは要求に素早く応える
OSSコミュニティーにおけるバグ修正や機能追加の要求の多くは、2週間以内に解決されている。一方で、全体の4分の1は3カ月以上要している。OSSコミュニティーでも素早く対応するものと、そうでないもので対応期間のばらつきが大きい。
神話6:OSSコミュニティーの参加者はトップ開発者だ
OSSコミュニティーにおける役割は、プログラミングだけではなくバラエティーに富んでいる。OSSコミュニティーには他人のコメントにリアクション(スタンプなど)するだけの人もいる。
“神話”について九州大学 システム情報科学研究院 教授の鵜林尚靖氏は、「世の中的には、OSSコミュニティーは理想郷(ユートピア)であるような通説も存在している。一方、今回の調査結果からは、必ずしもそれらは真実ではなかった。OSSの活動に関する研究として、これだけの大規模データを用いた体系的な調査は今回が初めてであり、調査結果の信頼性も非常に高いと考えられる。調査の内容は今後の企業や組織での新たな働き方に対しても示唆に富む内容だった」とコメントしている。